Page 2 / 2 1ページ目から読む

レコードをそのまま再現するようなライヴが理想

郷太「ところで、メイヤーが曲作りをするなかで、これはタキシードでやろう、これはソロでやろうっていうのは、作りながら振り分けてますか? それともタキシードの曲は最初から2人で集まって作っているのか、どっちかなーって思って」

メイヤー「タキシードの場合、ジェイクが出してきたアイデアを僕が仕上げていくっていうのが基本なんだよね」

ジェイク「ファーストのときはまず集まろうと言って作りはじめて、それからこれはメイヤーのソロでやったほうがいいんじゃない?っていう曲もあったけど、基本的にはメイヤーが言ったように、僕がアイデアを出してメイヤーが仕上げるというのがタキシードの音楽だね」

メイヤー「僕がソロでやるものは政治的なものだったりポエティックだったり抽象的なメッセージが込められていたりするけど、タキシードの場合はパーティー・ミュージックというか、もっとキャッチーだし、歌詞もものすごくシンプルだからね」

郷太「うんうん、メイヤーの音楽も日本人にとってフレンドリーでわかりやすいんだけど、タキシードはさらに言葉もシンプルで易しいから、日本人にウケたんじゃないかなって思う」

メイヤー・ホーソーンの2016年作『Party Of One』収録曲“Time For Love”
 

――アートワークもカッコ良いですしね。

ジェイク「それはメイヤーのおかげだよ(笑)」

郷太「2人ともめちゃくちゃ忙しいと思うんだけど、この間リリースされたセカンド・アルバム『Tuxedo II』は思ったより早く出てびっくりしたよ」

メイヤー「みんなから求められちゃったからね。〈もうちょっと先に〉という選択肢がなかったんだよ(笑)」

郷太「本当はそういうつもりじゃなかったのに(笑)?」

ジェイク「結局、ファーストを発表した後にツアーがあって、2人でずっといっしょにいる時間が多かったから、今回収録された曲はそのときに書いたものがほとんどなんだよ。だからセカンドを早く出してって言われてもそんなに苦じゃなかったのは、すでに曲が何曲も出来ていたからなんだよね」

TUXEDO Tuxedo II Stones Throw(2017)

――タイトルもシンプルに〈II〉を加えただけになったのも、ファーストの延長線上にあるという意味で?

メイヤー「あとはそう、ザップやシカゴにオマージュしてるところもある(笑)。『XVII』ぐらいまで出せたらいいね」

――気の早い話、『III』も楽しみです。ポップスやロックの歴史上、3作目っていうのは問題作が多いだけに。

郷太「レッド・ツェッペリンとかね」

メイヤー「そういえば自分のソロも3作目はそれまでの2作と違った方向性になってるから、それは当たってるよね。ただ、タキシードっていうのは特殊なプロジェクトで、僕とジェイクがソロでやっていることはそれぞれタキシードとはぜんぜん違うものだし、そういう意味では3作目になってもびっくりするぐらい変わることはないかも。ちょっとヒネリを入れたりはするかも知れないけど。タキシード自体やっていることが独特なので、このままの調子でずっと行く感じかもね」

ジェイク・ワンがサウスサイドと共同プロデュースした、フューチャーの2017年作『Future』収録曲“Outta Time”
 

郷太「僕の息子がいま7歳なんだけど、タキシードのアルバムをよく聴いてるんですよ。家族みんなが好きだから、僕が家にいないときでも聴いているみたいで。『II』を買って帰ったときも、僕が聴くより前に息子に奪われちゃって(笑)」

ジェイク「子どもからタキシードのことを教えてもらったなんていう話はほかにも聞いたことがあったなあ、日本で。あと、デ・ラ・ソウルのメイスも娘から僕らのこと聞いたって言ってた」

郷太「そういうの多いかもね」

メイヤー「すごくシンプルだし、子守唄っぽいところもあるからかな」

――新しい音楽だっていうことを肌で感じとっているところもあるんでしょうね。

郷太「たしかに、僕もレイト70s~80s、それから90sの途中あたりまでの音楽がすごく好きで、タキシードにもそういう薫りが漂ってると思うんだけど、やっぱり単なる昔のサウンドとは違うんですよね。〈今〉の音楽。20年プロでミュージシャンをやっていると新譜から得られる新鮮さってどうしても減ってくるんだけど、メイヤーやタキシードはいつも新鮮で、良い音楽を聴かせてくれる。新しいアルバムが出てドキドキしながら聴けるアーティストがいるって、本当に幸せなことだから。まあ、作るほうはちょっとたいへんだけど、お2人にはもっと頑張ってもらって(笑)」

メイヤー「がっかりさせないように頑張らなきゃね(笑)」

郷太「メイヤーのライヴも日本に来たときにいつも観に行ってるんだけど、タキシードもライヴがすごく良いんだよね。もうちょっとDJとヴォーカルみたいな感じのセットになるかと思いきや、多少の同期をあてながらもバンドでやっているというスタイルがすごくカッコ良くて」

ジェイク「バジェット的に合うのであればいつもそのスタイルでやりたいね。日本でも売れてるおかげでみんなを連れて来られるわけだから、すごくうれしいよ」

タキシードの2017年のライヴ映像
 

郷太「少人数でやろうと思えばできるかもしれないところをゴージャズに見せてくれるから、いつもすごく楽しみで」

メイヤー「やっぱりライヴはそういう形で観てほしいから、手間をかけなきゃいけないところはかけなきゃって思ってるよ」

――根本的に人力でやる音楽が好きなんですか?

ジェイク「うん、全部がそういうわけじゃないけどね。DJはDJでまったく違うエネルギーを感じたり発することができるものなので、それは別のものなんだよね。ただ単純に生だとかっていうことよりも、しっくりくる音をいちばん求めているから、ライヴでもっともしっくりくるもの、アルバムで出した音をそのまま感じてもらえるものって考えると、タキシードの場合はバンド・セットになるということなんだ。とにかくカヴァー・バンドだと思われるのが嫌なので、そう思われないように自分たちの作ったレコードはそのままライヴで再現できるようにしたいと思っているよ」

郷太「僕もLAに行ってレコーディングしたりとか、いろいろ自分が尊敬してきたレジェンドと仕事をさせてもらったりしているので、2人ともいつかいっしょに曲を作れたらいいなあ……って思うよ」

メイヤー「じゃあちょっとスケジュール調整しようかな! とりあえず、帰りの飛行機でもらったCDを聴いておくよ」

郷太「やった(笑)。今日はありがとう!」

メイヤー&ジェイク「アリガトウ!」

 


■タキシード

〈Billboard JAPAN Party!〉
日時:2017年8月19日(土)
時間:16:00~20:00(予定)
会場:SUMMER SONIC 2017(QVCマリンフィールド&幕張メッセ)内Beach Stage
出演:ケラーニ、ホンネ、タキシード
★詳細はこちら

〈タキシード単独公演〉

日時:2017年8月16日(土)、17日(日)
会場:Billboard Live TOKYO
1stステージ:開場17:30/開演19:00
2ndステージ:開場20:45/開演21:30
チケット:サービスエリア 10,000円/カジュアルエリア 8,500円
★詳細はこちら

日時:2017年8月22日(火)
会場:Billboard Live OSAKA
1stステージ:開場17:30/開演18:30
2ndステージ:開場20:30/開演21:30
チケット:サービスエリア 9,800円/カジュアルエリア 8,800円
★詳細はこちら

■NONA REEVES

〈デビュー20周年記念 赤坂ノーナ最高祭!!! 第二夜〉
日時:2017年5月28日(日)
会場:東京・赤坂BLITZ
開場/開演:16:45/17:30
共演:KIRINJI
★詳細はこちら

〈YATSUI FESTIVAL! 2017〉
日時:2017年6月17日(土)
★詳細はこちら

〈中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2017〉
日時:2017年9月23日(土)、24日(日)
★詳細はこちら