★Pt.1 挑戦し続ける6人の侍、リンキン・パーク―新種の〈ポップ体験〉示す新作インタヴュー&批評精神に溢れた軌跡を振り返る
★Pt.3 リンキン・パークはどう愛されてきたのか? ONE OK ROCKからリアーナまで、ミクスチャーの変革者巡るピープル・トゥリー
DISCOGRAPHIC LINKIN PARK
リンキン・パークを知るための8枚

世はラップ・メタルの成熟期。多くのバンドが現れては消えていくなか、メタリカとナイン・インチ・ネイルズを合体させたかのような“Points Of Authority”など、知性溢れるサウンドで、若さだけで突っ走るライヴァルたちを蹴落とし、一躍時の人へ。衝撃のデビュー作だ!

このリミックス盤は外部のアレンジャーに丸投げするだけじゃなく、マイク自身もエクセキューショナーズらと共同でトラックを再構築。エイシーアローンなどゲストMCの顔ぶれからマイクの西海岸アングラ・ヒップホップ趣味が窺え、フォート・マイナーへの布石とも取れる。

『Hybrid Theory』をよりヘヴィー&ダークに深化させたこの2作目を、リンキンの最高傑作に挙げるファンは多い。若者が抱える不安や無力さをラップ&絶叫で代弁した歌詞も素晴らしく、ブリング・ミー・ザ・ホライズンら後のメタルコア勢に多大な影響を与えた一枚!

ドン・ギルモアのもとを離れ、リック・ルービンに舵取りを委ねた3作目。ラップはほぼ封印し、美しく切ないパワー・バラードを主軸に据えて狂乱のニュー・メタル・ブームに別れを告げている。先行曲がU2にそっくりと揶揄されるも、あっさり2作連続で英米1位を記録。

キング牧師らのスピーチを引用したインタールードを散りばめながら、壮大な音絵巻を展開。バンド・アンサンブルよりもプログラミングに比重を置き、レディオヘッド『Kid A』のオマージュみたいに聴こえる瞬間も! バンドの実験精神がもっとも顕著に表れた作品と言えよう。

リック・ルービンとの3部作の最終章を飾る本アルバムは、意外にも『Meteora』の続編的な内容に。ただし、スケール感たっぷりのダブワイズは前2作品の大作志向を踏まえたからこそ実現できたもの。原点回帰に終始せず、ニュー・メタルをテン年代の音に更新していて流石だ!

『Living Things』を素材に作られたキャリア2枚目のリミックス盤。当時、流行していたブロステップやロッキン・ドラムンベース系のバキバキしたアレンジがほとんどで、オリジナルのラウド&攻撃的な側面が増幅されている。新作に参加したプッシャTともここで初合体!

初のセルフ・プロデュースで、(オリジナル・アルバムでは)初めてラキムやトム・モレロ、ヘルメットら外部ミュージシャンを起用……と6作目にして初物尽くし! ギターがノイジーに響くアンセミックなパンク/ハードコアの連続で、ライヴ映えを意識した作りが熱い!
OTHERDISCOGRAPHIC
ALBUM
One More Light(2017)
LIVE ALBUM
Live In Texas(2003)
Road To Revolution: Live At Milton Keynes(2008)
EXTENDED PLAYS
Hybrid Theory EP(1999)
In The End: Live & Rare(2002)
Songs From The Underground(2008)
COMPILATION
A Decade Underground
Studio Collection 2000–2012
...And More!
(文/山口コージー)
BASS! HOW LOW CAN YOU GO?
偏愛を見せてきたマイク・シノダのストイックなヒップホップ観!
DMXらとの大ヒット“Rollin'”を生んだリンプ・ビズキットがリミックス盤『New Old Songs』(2001年)で起用したのは、当時バリバリの旬だったティンバランドにネプチューンズ、ヒットメイカーのP・ディディ、大御所のDJプレミアら。そういった名前と『Reanimation』参加メンツを比較しただけで、好みの違いは明白だ。マイク・シノダが愛するヒップホップは、商業性よりもストイックにライム・サイエンスを追求するアート性の高い西海岸アンダーグラウンドのVIPが中心だった。仲の良いスタイルズ・オブ・ビヨンドの地下名盤『2000 Fold』(98年)ではマイクがアートワークを担当していたりもするが、恐らくその源泉にあるのはノトーリアスBIG(後にリンキンの“Until It Breaks”でマイクは“Who Shot Ya?”を引いている)らNYハードコアの王道だろう。後のリンキンは(引退中の)ジェイ・Zとの共演作『Collision Course』を発表するが、その手合わせもポピュラーな権威者としてではなく、ヘッズも一目置く実力者である点が重要だったはずだ(と思ったらやはり、それ以前の“Nobody's Listening”にてジェイとビギーの“Brooklyn's Finest”を引用してもいた)。
『Reanimation』での縁をエクセキューショナーズとの合体にも繋いだマイクらしく、そのラップ・プロジェクト=フォート・マイナーのアルバム『The Rising Tied』(2005年)は、生真面目なヒップホップ愛が全開で、コモンやブラック・ソート、ルーペ・フィアスコといったコンシャス系のメジャーな名前に加え、スタイルズ・オブ・ビヨンドを実に6曲でプッシュする暴挙に出てもいる。彼らとマシーン・ショップの蜜月は長くなかったが、近作にマイクが参加するなど、いまなお続く交流は微笑ましいところだ。
以降は先述のルーペやサイプレス・ヒルと共演曲を残してもいるマイク。ツアーの前座にマシン・ガン・ケリーを抜擢するなど美意識にブレはなさそうだが、そう思うと現行シーンでもっともマイク好みなラッパーはラップ神ことエミネムしかいない気がする……。 *轟ひろみ