3. Stats “Come With Me”
天野「3位はスタッツの“Come With Me”。この曲は亮太さんが推したものでしたよね。シンセサイザーのド派手なうねりとか、なんだか懐かしいエレクトロ・チューンに思えるのですが、どうしてそんなにお気に入りなのでしょうか? そもそもこの人、何者?」
田中「スタッツはウェールズ出身のアーティストで、2019年にアルバム『Other People Live’s』をリリースし、同作がUKのメディアを中心に高評価を受け、いくつかのレビューではLCDサウンドシステムやグルーヴ・アルマダの名が引き合いに出されていました。要はダンス・ミュージックの要素を取り入れたロックということですが、そうしたサウンドのなかでも個人的にはホット・チップやグラス・アニマルズといったアート・ポップ寄りのバンドに近い印象です。メロディーやプロダクションにひねりが効いていて、どこかチャーミングなんですよね。フロントマンでソングライターのエド・シード(Ed Seed)を中心とした6人組としている記事もありますが、いまはほぼシードくんのソロ・ユニットに近い感じなんじゃないかなと。アーティスト写真も彼1人で写っていますし。あと、これを言うとさすがに天野くんも興味が出てくると思うんですが、シードくんはデュア・リパのライブ・バンドのメンバーなんですよ! ギタリストとして世界ツアーに帯同しています」
天野「へー」
田中「響かない!」
天野「まあ、たしかにデュア・リパのリミックス・アルバム『Club Future Nostalgia』と一緒に聴くのがいいかも、と思いました」
田中「この“Come With Me”は、11月13日(金)にリリースされるセカンド・アルバム『Powys1999』からのリード・シングル。〈Powys(ポーイス)〉というのはウェールズの地名で、シードくんが育った場所でもあるんだとか。彼の家は街から少し離れた山の上にあったそうで、ハゲタカの鳴き声とイギリス空軍の飛行機の騒音が強く記憶に残っているらしいです。“Come With Me”はスタッツのなかではひときわアグレッシヴでバンガ―な楽曲ですが、そんな荒涼としながらも騒々しい原風景が反映されているんでしょうね」
天野「ウェールズの山の風景と、このビガビガしたエレクトロ・サウンドがどう繋がるのかは謎ですが……(笑)」