OPUS OF THE YEAR 2020
[特集]2020年の100枚+
どんな一年だった?なんて呑気に振り返るのも難しいかもしれない……でも、そこに鳴っていた音が、こんなアルバムたちと共にいい記憶として残っていきますように!
100 MAI AND RUNNING
bounceの選ぶ2020年の100枚・後編

ライヴと人生を重ねた表題で臨んだ1年ぶりのアルバム。表題通り自身の足取りを描いた側面が強く、いつも以上に劇的な雰囲気の中に刃頭から¥ellow Bucksまで意味のある名が並ぶ。名古屋城での豪勢な配信ライヴも話題となった。 *出嶌

ライヴハウス支援のために初のベスト盤を発表するなど、一段上の存在感を見せる姿も頼もしかった6人が、素直な人間味と包容力で受け手に寄り添った3.5枚目のアルバム。新年にはアイナ・ジ・エンドのソロ作も! *出嶌

実に8年ぶりとなった7作目は、DJキャンパーの現行R&Bモードと持ち味を融合したプログレッシヴな傑作に。チャンス・ザ・ラッパーやダニエル・シーザーも参加を招き、30年近いキャリアにおいても普通に攻める姿勢がかっこいい。 *出嶌

BOB DYLAN 『Rough And Rowdy Ways』 Columbia/ソニー(2020)
約17分の先行曲“Murder Most Foul”も含む8年ぶりのオリジナル作。その間に発表された3枚のカヴァー集と同様に、アメリカーナ調のサウンドと、シリアスながらも温もりを湛えた歌声が途轍もない説得力で迫る傑作だ。 *土田

高品質の音楽表現を披露してきた声優トリオの3作目。3人の女性の物語をコラージュした“記憶”、2曲を同時再生することで1曲を成す“循環讃歌”などの実験ポップと初期曲の新アレンジ版から彼女たちの5年の進化を楽しめる好盤だ。 *土田

FONTAINES D.C. 『A Hero’s Death』 Partisan/BIG NOTHING(2020)
高い評価を獲得したデビュー作『Dogrel』から1年で早くも届いた2作目。クールで詩情に富んだポスト・パンクの放熱を尖ったギター・サウンドでシャープに展開し、成長の幅も見せた作りで堂々の全英2位を獲得! *出嶌

FUTURE 『High Off Life』 Freebandz/Epic(2020)
ズバ抜けた人気と影響力を長らくキープしつつの8作目。ダベイビーやヤングボーイNBAらも従えたキャッチーなトラップ伝統芸もいつも変わらずただ最高なだけ、だが今回はドレイクとの“Life Is Good”など曲の粒が揃っていた。 *出嶌

HAIM 『Women In Music Pt. III』 Haim/Polydor/ユニバーサル(2020)
グラミーにも2部門でノミネートされた3作目。レゲエやヒップホップなどをブレンドしたオーガニックなサウンドはとてもリラックスしたムードながら、どことなくメロウネスも纏っているような。これまででもっともパーソナルな詞世界ゆえか。 *土田

ドキュメンタリー映画も公開されたこの年、彼にしては長い制作期間を経て生まれた12枚目。硬派な“INTRO”や言いたいことを言う“SORIMACHI”など、時代の変化を投影しながらリリカルに力強さを増した姿が頼もしい。 *出嶌

JESSIE WARE 『What's Your Pleasure?』 PMR/Island(2020)
アトモスフェリックな音を纏ってきたシンガーがニューウェイヴ~ポスト・ディスコ風の解放感を表現したら、キャリア最大のヒット作に。バナナラマの引用など気取りのない80s作法の表出も実にスマートなやり口でした。 *出嶌

“タイムズスクエアのガールズバンド”を耳にしたときの歓喜といったら! 元blue marbleのソングライター・チームによる初作は、テクノ・ポップ経由で2020年の都市ポップを鳴らした傑作に。ヴィンテージ・シンセを使用した音も抜群だ。 *土田

自身の創作意欲を改めて確認し、4年半ぶりに完成したフル・アルバムはShigekuni、トオミヨウという二人のサウンド・プロデューサーと制作。染み入るような歌とニュアンスを大事にしたプロダクションに貫かれた芳醇なポップス集だ。 *土田

DISCLOSURE 『ENERGY』 Island/ユニバーサル(2020)
5年ぶりのフル・アルバムには、仏語を操るブリック・バッシーとファトマタ・ジャワラ、ラッパーのアミーネとスロウタイも参加と、ゲストの人選にも新たなトライが。ソウルフルなダンス音楽で、その実力を改めて示してみせた。 *土田

多様な活動を通じて新世代UKジャズの盛り上がりを広く遠くへ届けてきたサックス奏者の、アーシーな味わいに溢れたコンコードからのデビュー作。UK産品では『Blue Note Re:Imagined』の充実も忘れちゃいけない。 *出嶌

但し書き不要な独自の個性を完全に確立した2枚目のフル・アルバム。内面の変化をキャッチーに伝えてくる“感傷謳歌”や作曲も担った“浪漫”など多様な表情で一気に駆け抜け、新年には武道館公演まで決定! *出嶌

POP SMOKE 『Shoot For The Stars, Aim For The Moon』 Victor Victor/Republic(2020)
ドリルの熱気で勇名を馳せながらも2月に他界した若きブルックリンの雄が生前に作っていた初の公式アルバム。総監督を担った50セントら00年代NY式への敬意を踏まえたオーセンティックな良さもあって惜しまれる。 *出嶌

コロナ禍の状況に合うトーン&マナーをアーロン・デスナーらと追求した新たなモードで、サプライズで登場するや未開の層の心も掴んだ厳かなフォーク・アルバム。暮れにはさらなるサプライズで『Evermore』も投下したばかり! *出嶌

¥ellow Bucks 『Jungle』 To The Top Gang(2020)
あえて〈ヤングトウカイテイオー〉を名乗る不敵さで名を売った若きラップスタアの初フル・アルバム。MIYACHIやShurkn Pap、Jin Doggらと醸し出す若さとタフな伝統性を兼ね備えた内容の濃さはすでに風格十分でした。 *出嶌

広い裾野まで届いた“Lemon”をはじめ、多くのタイアップ・ソングが居並ぶ様に、時代の顔となったことを改めて感じる最新作。野田洋次郎とのコラボ曲なども挿みつつ、ポップスターとしての才と当人のナイーヴさが共存した一枚に。 *土田

北から南へ旅する青年の物語を2枚組、全17曲で綴った最新作。80sポップのエッセンスを随所に忍ばせつつ、エレクトロニクスと生楽器を丁寧に重ねた現代のバンド・ミュージックは、雄大で力強い美しさに溢れている。 *土田

表題通り、バンドが〈2020年〉という特別な年と向き合った一作。大統領選や人種差別に対して声を上げる重厚なロック・チューンから日常に近いカントリー調のナンバーまで、そのメッセージと力強い歌声に鼓舞されるリスナーも多いはずだ。 *土田

ジャズを基軸に自然体でヒップホップやフュージョンなどを取り込んできたヴァージニア州リッチモンド産バンドのコンコード移籍作。小技を効かせつつ一面的な新しさの演出に腐心しないグルーヴの野太さが実に逞しかった。 *出嶌

THE CHICKS 『Gaslighter』 Columbia/ソニー(2020)
ディキシー・チックスから改名しての14年ぶりとなるオリジナル作。米国の人種差別の歴史に対する毅然とした態度をその改名と新たな楽曲で示した3人だが、聴き心地はとてもポップ。美麗なハーモニーに彩られたモダンなカントリー盤だ。 *土田

Have a Nice Day! 『Rhapsodies 2020』 avex trax(2020)
かつてない事態に見舞われたなかで公開し続けた楽曲群をパッケージした本作。ディスコ・パンクやマッドチェスターなロック・チューンなどへ音楽に対するアティチュードやシニカルな視線を映した〈2020年〉のひとつの記録がここに。 *土田

前作が多方面から評価されたブリストルのポスト・パンク・バンドによる最新作には、新たにヒップホップのフィーリングが。暴力的なビートに乗せて発する、さまざまな社会問題に向けたシニカルな声明。どこを切ってもエッジーで痺れる。 *土田

ラブリーサマーちゃん 『THE THIRD SUMMER OF LOVE』 コロムビア(2020)
レイジーな歌い口とローファイなサウンドにやられる“I Told You A Lie”をはじめ、クールな強さを手に入れた最新作。マッドチェスターやブリット・ポップなど自身の原点に立ち返ったバンド・サウンドを背に歌う彼女はシンプルに格好良い! *土田

RUN THE JEWELS 『RTJ4』 Jewel Runners/BMG Rights(2020)
〈ブラック・ライヴズ・マター〉運動が改めて広がるなか、ザック・デ・ラ・ロッチャとファレルが客演した“JU$T”を筆頭によりメッセージ性を強めた4作目を投下。DJプレミアら他のゲストとのコラボからも、揺るぎない気骨がひしひしと。 *土田

UNISON SQUARE GARDEN 『Patrick Vegee』 トイズファクトリー(2020)
KEBABSやXIIXといったメンバーの別プロジェクトも並走する中で届いた本作は、3人のバンド・アンサンブルに改めてフォーカスした印象。ニュートラルなアイデアのやり取りが目に浮かぶ、辞世を吹き飛ばすような風通しの良さが全編に。 *土田

デビュー20周年イヤーに届けられたフル・アルバム。予想だにしなかった困難な状況下で編まれた楽曲群は、時代のムードを反映しながらも、聴き手にポジテイヴな空気をもたらすもの。眩しいほど晴れやかな歌声にその意志が宿っている。 *土田

情勢を問わず常にコンシャスな歌を作ってきた彼女の4年ぶりのアルバム。挑戦する者を鼓舞する“Underdog”やBLM運動に呼応する“Perfect Way To Die”のほか、後進と積極的に絡んで音楽的な野心も忘れない快作だった。 *出嶌

デビュー曲が全英No.1ヒット。レディー・ガガの再来と噂されてきたシンガーの初アルバムは、ピーター・シリング“Major Tom”など楽曲に仕込まれた80sの名曲のフレーズがキャッチー&華やかな吸引力を生んでいる。〈天国〉〈地獄〉の2部仕立てながら、トータルでは超ポップな一枚に。 *土田

1975所属レーベルに見い出され、早くから評判の高かったシンガー・ソングライターの初作。ソニック・ユースやスマパンら90年代の音から得た衝動を素朴なベッドルーム・ポップで奏でるラヴリーな様がちゃんと身に付いてて実に魅力的! *出嶌

BRUCE SPRINGSTEEN 『Letter To You』 Columbia/ソニー(2020)
久しぶりにEストリート・バンドとガッチリ組んだ作品という話題もありつつ、単純にグッとくる名曲だらけ。己の枯れを受け入れながら、人生を振り返る姿までもが前向きでパワフルな“Last Man Standing”ぶりには心が震えた。 *出嶌

DABABY 『Blame It On Baby : Deluxe Edition』 Interscope(2020)
すでにビッグだったノースキャロライナの新星を時代の寵児へと押し上げたアルバム。ロディ・リッチと組んだキッチン仕立ての“Rockstar”は〈Black Lives Matter Remix〉のインパクトも手伝って2020年を象徴する一曲となった。 *出嶌

ピアノ・トリオとしてのIDを再確認/更新したかの如き楽曲が揃った最新作。管楽器の導入したナンバーや、十八番であるポリリズム・ロックの最新型、リンキン・パークのカヴァーなど、彼らの王道の2020年版を発見することができる。 *土田

JUICE WRLD 『Legends Never Die』 Grade A/Interscope(2020)
前年の本企画で100枚に選んだ傑作『Death Race For Love』に続く没後アルバムだが、これがそれ以上の規模で支持を得るという残酷さ。マシュメロとの“Come & Go”や“Smile”もヒットして、この流れは新年も余裕で続きそう。 *出嶌

社会現象化した「鬼滅の刃」の主題歌“紅蓮華”も含む本作は、そもそもの異名=〈ロック・ヒロイン〉を体現する楽曲が並ぶ流石の出来に。同時リリースの“炎”もヒット、〈紅白〉への出場も決定と、お茶の間級の存在感は増すばかりだ。 *土田

MACHINE GUN KELLY 『Tickets To My Downfall』 Bad Boy/Interscope/ユニバーサル(2020)
結局そうなるのかとも思いつつルーツに回帰した初のパンク・アルバムは、ヤングブラッドらヒップホップ育ちの内省ロッカーが目立った年にも相応しいフレッシュな大正解となった。初の全米1位を獲得したほか、ミーガン・フォックスとの交際もあって絶好調でした。 *出嶌

三船雅也のソロ・プロジェクトとなって初のアルバムは、岡田拓郎ら固定のバンド・メンバーと音を鳴らす喜びに溢れた仕上がりに。菅弦楽器も交えた壮麗なサウンドスケープのなか、〈君の物語を絶やすな〉という言葉が頼もしく響き渡る。 *土田

自身のより心地良い在り方へと到達した待望の3作目は、解放を求めるようなダンス・トラック多めの躍動的な仕上がりに。腹心の敏腕エンジニア、スティーヴ・フィッツモーリスがミスチル新作を手掛けたのも話題になりました。 *出嶌

TikTok発のヒットが多発する昨今、その動きに先鞭を付けた“Sunday Best”で知られるコンビが本邦初上陸。リゾート感覚とベッドルーム情緒でマイルドに満たされた素直な曲の良さは荒んだ時代の心を癒す良薬となったはず。 *出嶌

〈フジロック〉への出演歴もある生粋のライヴ・バンドが新たなドラマーを迎えて発表した最新作。上半身裸のがむしゃらなプレイで聴き手を魅了するステージさながらの熱量の高さといったら! 切実なメッセージにも胸を打たれる。 *土田

ARIANA GRANDE 『Positions』 Republic/ユニバーサル(2020)
自身の信条とプロモーションを大統領選とリンクさせた展開の巧みさ以上に、私生活の充実を反映したこれまでにないセンシュアルな内容に驚かされた傑作。ウィークエンドやドージャ・キャットの起用も絶妙に2020年。 *出嶌
ほぼ1年に1枚のペースはコロナ禍でも崩れず、15年目の4人からも届いた14作目。ロックンロール/ブギ/オールディーズな基本の音楽性をその時々の格好良さで提示するスタイルも健在で、今回もやっぱりロックンロールにさらわれた! *土田

ジャズやネオ・ソウルの匂いも漂わせつつ、幅広い外部仕事を糧にオリジナルのポップスを確立した最新作。LAの鍵盤奏者であるロブ・アラウージョにシンガポールのシンガー・ソングライター、チャーリー・リムとゲストの人選もユニーク。 *土田

20周年イヤーに届けられた最新作。20年前のデモに現在の鬼束が改めて詞を寄せた本作は、サウンド・プロデューサーの兼松衆をはじめ、君島大空やCRCK/LCKS、tricotのメンバーら若手実力派が多く参加。王道ながら新鮮な一枚に。 *土田

PJ MORTON 『Gospel According To PJ』 Morton/Tyscot(2020)
穏やかなメッセージが時代背景にマッチしていたのはもちろん、ルーツを前面に出した仕上がりはそうでなくてもソウルフルな歌い口をより滋味深く響かせた。“Nobody's Love”に続くマルーン5の動きもそろそろ? *出嶌

カミラ・カベロの『Romance』からちょうど1年で届いた4作目は4連続で全米No.1を獲得。そんな記録の凄さやジャスティン・ビーバーとの“Monster”のデカさ以上に、率直さが共感を生む時流に沿う内省を深めた作りが光った。 *出嶌

Tomato Ketchup Boys 『The First Encounter Of This Odyssey』 Pヴァイン(2020)
理想的な初作を発表した静岡発の3人組。90sオルタナ/パワー・ポップ~2000sのUKガレージ/パンクからの影響が顕著な途轍もなく瑞々しい初期衝動にときめかずにはいられない。KiliKiliVilla周辺が好きな方にも。 *土田

昭和を巣立っての初アルバムはBACHLOGICが全曲を手掛けた人情味もスキルも全開の一枚。ILL-BOSSTINOやKREVAら大物ばかりが招かれているなか、彼らに比肩する風格を主役が纏っていることに改めて気付かされたり。 *出嶌

