Page 4 / 4 1ページ目から読む

リハーサル通りに演奏する指揮者にはなりたくない

――最後に、指揮者としての久石さんについてお伺いしたいです。お2人から見た、指揮者としての久石さんについてはいかがでしょうか?

石川「音楽に対して誠実であるというのが、まずひとつ。それともうひとつは、ストイックということをすごく感じるんですよ。指揮者にも色々なタイプがいると思うんですけど、久石さんの場合は削ぎ落して音楽の本質を掴まえて、それをお客さんに届ける、というスタイルだと思っています。その研ぎ澄まされた美しさに僕はすごく共感していますし、それを意識して演奏しています」

福川「久石さんは、作曲家目線でベートーヴェンやブラームスの作品について〈こういう明確な意思がある〉ということをよくお話しされるので、それを聞いているのがとても楽しく新鮮で勉強になります。

その一方で、奏者のイマジネーションやその場のインスピレーションを自由に演奏させてくれるタイプの指揮者なんです。例えるなら、指揮者も入って一緒に室内楽をやっているような感覚です。なので、この言い方が適切かどうかはわかりませんが、一緒に音楽で〈遊んでいる〉感じで、毎回楽しいです」

久石「僕自身は、コンサートのような人前で演奏する音楽で育っていないんですよ。ずっとレコーディング中心だったので、スタジオ録音が基礎にあるんですよね。固定化された音源で、ずっとやってきた訳です。コンサートを始めたのはかなり後になりますから、ライブであっても、実は頭の中ではいつも音源をスピーカーで聴くことを想定しているんです。

だからこそ、リハーサルの通りに本番で演奏する指揮者にはなりたくない。なぜなら、毎回条件が違うじゃないですか。その時々で、最大限の良いアプローチを選びたい。そういう意味では、すごくライブ的な指揮者かもしれません」

――皆さん、長い時間、ありがとうございました。

久石譲、石川滋、福川伸陽のインタビュー動画

 


RELEASE INFORMATION

久石譲 『ミニマリズム4』 ユニバーサル(2021)

リリース日:2021年7月7日
品番:UMCK 1682
価格:3,300円(税込)

TRACKLIST
Contrabass Concerto (2015)
1. Movement 1
2. Movement 2
3. Movement 3

The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra (2020)
4. Crossing Lines
5. The Scaling
6. The Circles

 

LIVE INFORMATION

新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #637
2021年9月11日(土)東京・錦糸 すみだトリフォニーホール
2021年9月12日(日)東京・赤坂 サントリーホール
指揮:久石譲

■曲目
・久石譲:新作
・マーラー:交響曲第1番 ニ長調「巨人」

日本センチュリー交響楽団京都特別演奏会
2021年9月20日(月・祝)京都コンサートホール 大ホール
指揮:久石譲(日本センチュリー交響楽団 首席客演指揮者)

■曲目
・メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 作品90「イタリア」
・久石譲:mládí for Piano and Strings
・久石譲:Symphonic Suite Castle in the Sky

日本センチュリー交響楽団首席客演指揮者就任記念 第257回定期演奏会
2021年9月24日(金)ザ・シンフォニーホール
指揮:久石譲(日本センチュリー交響楽団 首席客演指揮者)
チェロ:佐藤晴真

■曲目
・久石譲:Encounter for String Orchestra
・スメラ:チェロ協奏曲
・ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 作品92

 


PROFILE: 久石譲
国立音楽大学在学中よりミニマル・ミュージックに興味を持ち、現代音楽の作曲家として出発。多数のソロ・アルバムを生み出し、ジャンルにとらわれない独自のスタイルを確立する。「風の谷のナウシカ」以降の宮崎駿監督作品の音楽を担当するほか、「HANA-BI」「おくりびと」「悪人」「かぐや姫の物語」「家族はつらいよ」「海獣の子供」など国内外の映画音楽を多数手がける。日本アカデミー賞最優秀音楽賞受賞をはじめ、紫綬褒章受章など、国内外で数々の賞を受賞。ピアノ・ソロやオーケストラなど様々な演奏活動のほか、近年は指揮者として世界的に活躍。コンサート・シリーズ〈MUSIC FUTURE〉のプロデュース、〈フューチャー・オーケストラ・クラシックス〉を主宰するなど、活動の場は多岐にわたる。国立音楽大学招聘教授。新日本フィルハーモニー交響楽団Composer in Residence & Music Partner。日本センチュリー交響楽団客演首席指揮者。

 

PROFILE: 石川滋
読売日本交響楽団ソロ・コントラバス奏者、洗足学園音楽大学客員教授、桐朋学園音楽大学非常勤講師。25年間の海外におけるソロ、オーケストラでの音楽活動を経て2013年に帰国。ベルン交響楽団ソロ首席奏者、フロリダ・フィルハーモニック・オーケストラ首席奏者などを経て現職。海外メディアには〈王冠の宝石〉〈抗い難い魅力〉などと評価された。今までにバッハの無伴奏チェロ組曲などのソロ・アルバムを発表。日本テレビ、NHK BS、BSテレビ東京、NHK-FM、東京FMなどのメディアに出演。JAA音楽賞受賞(アメリカ)、BASS94国際コントラバスコンクール第3位入賞。慶應義塾大学経済学部卒、ジュリアード音楽院修士課程卒業。

 

PROFILE: 福川伸陽
NHK交響楽団首席奏者。第77回日本音楽コンクールホルン部門第1位受賞。ソリストとして、バドヴァ・ヴェネト管弦楽団、NHK交響楽団、京都市交響楽団日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、大阪交響楽団、横浜シンフォニエッタ他と共演。英ロンドンのウィグモア・ホールをはじめ、米LAやブラジル、アジア各国でリサイタルをするなど、世界各地から数多く奏者として招かれている。東京音楽大学准教授。