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1. 出身地と音楽活動を始めたきっかけ(バンドであれば結成のいきさつ)について教えてください。

Iggy(ヴォーカル)「タイ・バンコク出身です。当初はギターのNewが友人達とdiscocxntという名前のバンドを組んで活動していました。当時のベーシストから〈ヴォーカルにならないか〉と誘われて、加入して間もなくKUNSTとバンド名が変更になりました。その後、メンバー・チェンジがありつつ、New(ヴォーカル/ギター)と私が主体となり、Korn(ドラムス)、Nut(キーボード/シンセサイザー)、Mikey(ベース)、Dome(ギター)を誘い、現在のラインナップとなっています」

2. 現在の音楽性に影響を与えたと思うアーティストや楽曲は?

New「The Smashing PumpkinsMy Bloody ValentineThe Pains of Being Pure at Heart

DomeGang of FourBrian EnoRadioheadRed Hot Chili Peppers

KornFoo FightersSonic YouthRingo DeathstarrDinosaur Jr.The National(“Dry Tears”という曲のドラム・リフのインスピレーションとアイデアをこのバンドのドラマーBryan Devendorfよりもらいました)、Badbadnotgood

IggyBjörkSlowdiveBikini KillWolf Alice (ファースト・アルバム)SquidAmyl And The Sniffers

NutGoldmundRyuichi SakamotoTom YorkeAtit Sornsongkram

3. 今回TOWER DOORSで紹介した曲はどんなふうに生まれた曲で、どんなことを表現していますか?

“Test Drive”

New「“Test Drive”はバンド結成初期に作った曲で、他の“Sorry”や“Hold On”と同時期に制作をしました。疾走感のある曲を作りたかったのですが、恋愛についての歌詞にはしたくありませんでした。制作当時、The Smashing Pumpkinsをよく聴いていた頃で、“1979”のオクターヴ・リフから着想を得ました。そして、まず〈Take my hand, let’s get a ride〉という導入部だけを書いたのです」

Iggy「この曲の制作はとてもスムーズでした。当時、Newは〈オープン・カーで海辺を走っているみたいな曲だ〉と言っていました。」

New「本当にとてもスムーズでした。だいたいいつもBTS(バンコク都心を運行する高架鉄道)で練習に向かう時間で曲を作っています。家が遠いこともあり、練習スタジオに到着するときにちょうど曲を書き終わりました。

当時、メンバーと話していたのは〈よし、曲作りが終わったら、パタヤの海辺の部屋を予約して、曲完成のお祝いと休息を兼ねて思う存分に打ち上げをしよう〉ということでした。それは曲の発想の元でもあって、車を飛ばして遊びに行き、何を気にすることもなく、すべてをあるがままに、といったフィーリングです。マイアミ・ビーチをオープン・カーで疾走し、強い風が気持ちよく吹き抜け、髪が風になびき、しばらくすると雨が降り出し、試練の時が訪れるんだけど、その雨はまるで心の苦痛を洗い流すために降ったかのようだった、というようなシーンを想像していました」

4. 交流のあるアーティストでいま注目しているのは?

NutSummer Dressです。少し前にニュー・アルバムを出していて、いまもずっと聴いています。

あとはAlec Orachi。どれだけ凄いことになっていくのか追いかけていきたいです。それと、Dogwhine。また早くライブを観たいです(現在、バンコクはライブができるバーなどが閉鎖中)」

IggyCotTon Child

KIKI

Hariguem Zaboy

Slovv Flovv

5. TOWER DOORSは新しい音楽との出会いを提供することをコンセプトとするメディアですが、あなたが最近出会った新しい音楽は?

New「beabadoobee」

Iggy「DC Comicsのプロジェクトで〈Dark Knights Death Metal〉というプロジェクトを見かけました。恐らく、コミックの新シリーズなのかと思いますが、私の好きな多くのバンドがこのプロジェクトにコラボして曲を作っています。

あとは、〈TOWER DOORS ASIA〉で初めて耳にしたManic Sheepの“Deep Dusk”です」

6. ライブやリリースといった今後の活動や、やってみたいことなど、これからの展望について教えてください。

Iggy「8月25日にEP『Super Retards』が日本でリリースされます。将来的に、コロナの状況が良くなることを願っています。また、フル・アルバムも制作するつもりなので、よろしくお願いします」

Nut「EPのリリース・パーティーをしたいです。友人達と一緒に騒ぎたいです」

 

Iggyからのコメントにもあるように、8月25日には日本でもEPのリリースが決定しています。あの頃、夢中になって追いかけていた切なくて甘酸っぱいオルタナ・ロック、どうぞ体験してみてください。

インタビューで言及されていたタイの注目アーティストも、タイ・インディー・シーンの独創性や多様性を感じてもらえる良いバンドばかりなので、合わせてチェックしてみてください!

 


RELEASE INFORMATION

KUNST 『Super Retard』 Parabolica Records(2021)

リリース日:2021年8月25日(水)
品番:PRBL-0020
フォーマット:CD/デジタル配信
価格:1,650円(税込)

TRACKLIST
1. Test Drive
2. Road Rage
3. Summary
4. Dry Tears
5. Runway

 


PROFILE: Ginn
タイ・バンコク在住15年。タイ人メンバーと結成したポスト・ハードコア・バンド〈Faustus〉で自身でも音楽活動をしつつ、日本とタイのインディー・シーンを支援するためのレーベル〈dessin the world〉を主宰。〈日本の音楽をタイに。タイの音楽を日本に。〉をコンセプトに、日・タイ音楽交流のための草の根活動を行っている。