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1969年にマンフレート・アイヒャーがドイツのミュンヘンに創設したレーベル、ECM.(〈Edition of Contemporary Music〉の略)。その透明感のあるサウンドと澄んだ音質、洗練された美しいジャケット・デザインなどが特徴的で、キース・ジャレット『ザ・ケルン・コンサート』(75年)やチック・コリア『リターン・トゥ・フォーエヴァー』(72年)、パット・メセニー『ブライト・サイズ・ライフ』など数多くのジャズの名盤を輩出。’84年には現代音楽にスポットを当てた〈ECM New Series〉をスタートさせ、ジャンルの幅をさらに拡げている。創立53年経った今なお、創立時から一切変わることなく〈静寂の次に美しい音〉を作り続けるレーベルの21世紀の注目作品全20作品を初SHM-CD化でご紹介。ピアノ、トランペット、サックス、ギター、ヴォーカルなど、幅広い分野における最新のECMをアップデイトできるシリーズ!

 

シャイ・マエストロ Shai Maestro
1987年、イスラエル生まれのジャズ・ピアニスト。5歳からクラシック・ピアノ、8歳からジャズの演奏をスタートさせ、テルマ・イェリン国立芸術高等学校でジャズとクラシックを学び、その後ボストンのバークリー音楽大学へ入学。2006年からはイスラエル・ジャズ・シーン確立の立役者の一人、アヴィシャイ・コーエン(ベース)のグループに参加し注目を浴びる。2017年には、自身のバンドで東京JAZZのメイン・ステージに出演、日本での人気も高い。ECMデビュー・アルバムとなる『ザ・ドリーム・シーフ』はシャイにとって5枚目のリーダー作となり、最新作は2021年にリリースされた『ヒューマン』(UCCE-1187)。

 

コリン・ヴァロン Colin Vallon
1980年、スイス、ローザンヌ生まれ。クラシック音楽を2年間学んだ後、14歳でジャズ・ピアニストのマーク・ユイターに師事。その後スイス・ジャズ・スクールに入学し、シルヴァノ・バザン、ウィリアム・エヴァンス、マニュエル・ベルッチ、ベルト・ジョリスに師事。1999年に自身のトリオを結成し、2005年にアルバム『Les Ombres』でデビュー。この頃より、独自のプリペアド・ピアノのテクニックを発展させていく。2011年にトリオの3作目となる『Rruga』でECMデビュー。2012年、ローラーに代わり、ドラマー、ジュリアン・サルトリウスがトリオに参加。2014年に 『Le Vent』、2017年に『Danse』をリリース。

 

ヴィジェイ・アイヤー Vijay Iyer
ニューヨーク、オルバニー生まれ。幼少よりヴァイオリンを学びながら独学でピアノを習得。イェール大学で数学と物理学を学び、カリフォルニア大学バークレー校で音楽認知科学を学びながらジャズ・クラブに出演し音楽の道へと進んだという異才。2007年、ロスコー・ミッチェルのノート・ファクトリーのメンバ ーとして参加したライヴ・アルバム『ファー・サイド』でECM作品に初参加、その後アルバム1枚ずつの契約が常であるECMにおいてアルバム3枚のという異例の契約を締結。次々と異なるプロジェクトで活動し精力的 に作品を発表。最新作は2021年リリースの新トリオ作品『Uneasy』(352-696)。

 

アーロン・パークス Aaron Parks
1983年、シアトル生まれのピアニスト/コンポーザー。15歳でワシントン大学に入学し、数学、コンピュータ・サイエンス、音楽の3つを専攻、3年後にアメリカ・ピアニスト協会のコール・ポーター・フェローに選ばれた神童。テレンス・ブランチャードの3枚のアルバムに参加した後、ブルーノートで自身のカルテット作品『インヴィジブル・シネマ』でメジャー・デビュー。2013年、韓国のヴォーカリスト、イエウォン・シンのアルバム『Lua Ya』でECMデビュー、その2か月後に自身のリーダー作『アーボレセンス』もリリース。最新作はB・ストリート(ベース)、B・ハート(ドラムス)との2013年初トリオ作品『Find A Way』。

 

ヤコブ・ブロ Jakob Bro
1978年、デンマーク生まれのギタリスト/コンポーザー。デンマークの王立音楽院、ボストンのバークリー音楽大学、ニューヨークのニュー・スクールで学ぶ。ECM作品には、ポール・モチアンのツイン・サックス/トリプル・ギター・バンドのメンバーとして、『Garden Of Eden』(2006年)で初参加。その3年後、トーマス・スタンコの『Dark Eyes』(2009年)で再登場。2015年、トーマス・モーガンと伝説のドラマー、ヨン・クリステンセンを迎えたトリオのリーダーとして、アルバム『Gefion』でECMリーダー・デビューを果たす。以来これまで5枚のアルバムをリリース、最新作は2021年リリースの『Uma Elmo』(352-8227)。

 

マティアス・アイク Mathias Eick
1979年、ノルウェー生まれのトランぺッター/マルチ・ミュージシャン/コンポーザー。父、母、兄妹全員がミュージシャンという音楽一家に生まれ、5歳からピアノやトランペットを習い始めた。名門トロンハイム音楽院を卒業すると、ノルウェーを中心にジャガ・ジャジストほか様々なグループで演奏活動を行い、徐々に認知度を高める。2008年にECM初リーダー作『The Door』をリリース。この作品がヨーロッパ各国チャートを席捲すると、ロックやポップス、エレクトロニカにも通ずる独自の感性をより強く打ち出し、活動の幅を広げている。最新作は2021年9月にリリースされたECM 5作目の『When We Leave』。

 

ダヴィ・ヴィレージェス David Virelles
キューバ、サンティアゴで生まれ育ったピアニスト/コンポーザー。2001年にカナダへ、2009年にニューヨークへ移住。ヘンリー・スレッギルに作曲の個人レッスンを受けるなど研鑽を積む中、アンドリュー・シリル、クリス・ポッター、ワダダ・レオ・スミス、トム・ハレル、ミルフォード・グレイブス、ラヴィ・コルトレーンなどのライヴやレコーディングに参加。トーマス・スタンコの2013年作品『Wislawa』、同年クリス・ポッターの『The Sirens』などにサイドマンとしてECM録音に参加。その後2014年に『Mboko』でECMリーダー・デビュー。『Antenna』(2016 年)、『Gnosis』(2017年)をリリース。

 

クリス・ポッター Chris Potter
シカゴ生まれのサックス/フルート奏者/コンポーザー。1989年、ニュー・スクールへの進学のためNYに移り、ビバップの象徴であるレッド・ロドニーと共演、18歳の神童としてNYのシーンに登場。彼のディスコグラフィーは、リーダー作16枚、サイドマンとして100枚以上のアルバムに上り、ハービー・ハンコック、パット・メセニー、ジム・ホール、ポール・モチアン、レイ・ブラウン、ジョン・スコフィールド、デイヴ・ダグラス、ミンガス・ビッグバンドなどと共演。『The Sirens』で2013年にECMリーダー・デビューを果たした。最新作は2017年リリースの『The Dreamer Is The Dream』。

 

キット・ダウンズ Kit Downes
1986年、イギリス生まれのピアニスト/オルガン奏者/コンポーザー。2008年にBBCジャズ賞を受賞し、2010年にマーキュリー・プライズにもノミネート。自身のバンド(〈ENEMY〉、〈Troyka〉、〈Elt〉、〈Vyamanikal〉)や、スクエアプッシャー、ジャンゴ・ベイツなどの世界ツアーにも参加、ピアノ、チャーチ・オルガン、ハルモニウムを世界中で演奏。2018年に教会のオルガンでほぼソロで録音した作品『Obsidian』でECMソロ・デビューを果たした。 2019年には2作目『Dreamlife Of Debris』をリリース。最新作は今年2月にリリースされたトリオ作品『ヴァーミリオン』(UCCE-1189)。