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ちなみに、この連載内で、定期的に〈過去にメタルをしていてプロになったジャズミュージシャンへのインタビュー〉をしていますが、ほぼ全員の口からドリーム・シアターの名前は出てきています。ジャズミュージシャンで、メタルに興味あった人も興味なかった人も、一番通っているメタルが、ドリーム・シアターじゃないでしょうかね、体感的に。

やっぱり90年代にバンドをしていた中高生にとって、このバンドのインパクトは物凄くて、すぐ近くにあるエクストリームな音楽が、ドリーム・シアターだったんだ思います。複雑、難しい、音は重くて格好良い、インストばっかりで歌がなかなか入らない、〈なんだこれは!〉と夢中になった人が多かったし、ここを入り口に、バークリー音楽大学というところがあるということを知った人も多かったはず。

バークリー音楽大学はジャズの名門大学ですが、ドリーム・シアターのジョン・ペトルーシ(ギター)、ジョン・マイアング(ベース)、マイク・ポートノイ(ドラムス)が通っていたことでも有名で、その少し後に留学していたジャズマンの話によると、ドリーム・シアターの影響でバークリーに入学したロックっぽい人も結構いたよ、と聞きました。ドリーム・シアターが、ある意味ジャズへの接続点になっていたのは、私も同時代を生きていて実感していますね。

そういえば私も、音大のジャズ科に通う電車でよく『Liquid Tension Experiment』(98年)を聴いていたなあ。

 

それはさておき、今月リリースの第17弾『Live At Madison Square Garden (2010)』は、これまでのライブ作品の中でも群を抜いて良いんじゃないでしょうか

DREAM THEATER 『Lost Not Forgotten Archives: Live At Madison Square Garden (2010)』 Inside Out/ソニー(2023)

白眉は“Constant Motion”〜“Panic Attack”の流れ。痺れました。

“Constant Motion”は、メタリカ直系の疾走チューンで、これまで別の作品でもライブ演奏は聴けたんですけど、バンドが一体となって駆け抜けていくエネルギーが凄まじい。続く“Panic Attack”、こちらはアイアン・メイデン系の美しい泣きの入る疾走感で、元々別のアルバムに収録されている2曲ですが、この2曲を並べて演奏することで、メタル史の継承と、メタルの持つ根源的なエネルギーが見えるようでした。

2007年作『Systematic Chaos』収録曲“Systematic Chaos” 

2005年作『Octavarium』収録曲“Panic Attack”

やっぱりライブ盤は良いですね。

そして、やっぱりライブは良いですね!

 

昨年〈Download Festival Japan〉でドリーム・シアターが来日した時は、私は仕事で行けないながらも気になって、Twitterでフェスの実況をこまめにチェックしていました。

この日、コロナ禍で途切れて以降の久々のメタルフェスで、ドリーム・シアターが大トリですよ。久々のフェスということもあり、午前中からの長丁場で体力切れレポートも多い中、最後のドリーム・シアターの2時間のライブまで楽しんで、最後の演奏曲“Pull Me Under”までたどり着いた皆さんを、超リスペクトします!

 

2月発売の第18弾『Distance Over Time Demos (2018)』も、一足先に聴かせてもらいました。

DREAM THEATER 『Lost Not Forgotten Archives: Distance Over Time Demos (2018)』 Inside Out/ソニー(2023)

『Distance Over Time』自体が2019年と、最近のアルバムなので記憶に新しいですが、曲順が違うとアルバムの顔が変わって見えますね。

デモ段階で歌も入っていないインストトラックを聴いていると、同世代のロック出身ジャズミュージシャンたちが軒並みドリーム・シアターを通った話を思い出し、テクニカルなインストゥルメンタル音楽の入り口として、もっと楽器が上手くなりたいというモチベーションとして、本当に大きな存在だったんだなと、改めて感じました。

 


RELEASE INFORMATION
■DREAM THEATER

DREAM THEATER 『Lost Not Forgotten Archives: Live At Madison Square Garden (2010)』 Inside Out/ソニー(2023)

リリース日:2023年1月11日(水)日本先行発売 (輸入盤、デジタル配信は13日)
品番:SICP 31580
価格:2,750円(税込)
高品質Blu-spec CD2仕様/解説・歌詞・対訳付/完全生産限定盤

TRACKLIST
1. As I Am
2. A Rite Of Passage
3. Act II, Scene Six: Home
4. Constant Motion
5. Panic Attack
6. Pull Me Under

 

DREAM THEATER 『Lost Not Forgotten Archives: Distance Over Time Demos (2018)』 Inside Out/ソニー(2023)

リリース日:2023年2月8日(水)日本先行発売(輸入盤、デジタル配信は10日) 
品番:SICP 31599
価格:2,750円(税込)
高品質Blu-spec CD2仕様/解説付/完全生産限定盤     

TRACKLIST
1. Song 1 (At Wit’s End)
2. Song 2 (Paralyzed)
3. Song 3 (Out Of Reach)
4. Song 4 (Untethered Angel)
5. Song 5 (Room 137)
6. Song 6 (Fall Into The Light)
7. Song 7 (Barstool Warrior)
8. Song 8 (Viper King)
9. Song 9 (Pale Blue Dot)

 

LIVE INFORMATION
■西山 瞳
2023年2月4日(土)東京・成城学園前 THE MOMENT
開場/開演:19:00/19:30 ※2セット
出演:The Tree of Life 安ヵ川大樹(ベース)/西山瞳(ピアノ)/maiko(バイオリン)
チャージ:5,500円

西山瞳トリオ+3 Special Live
2023年2月10日(金)東京・渋谷 公園通りクラシックス
開場/開演:19:00/19:30
出演:西山瞳トリオ+3 西山瞳(ピアノ)/西嶋徹(ベース)/則武諒(ドラムス)/鈴木孝紀(クラリネット)/橋爪亮督(テナーサックス/フルート)/maiko(バイオリン)
ゲストアレンジャー:梶純
予約/当日:4,200円/4,500円

2023年2月11日(土)東京・成城学園前 Cafe Beulmans
開場/開演:19:30/20:00 ※2ステージ、入替なし
出演:西山瞳(ピアノ)/鈴木孝紀(クラリネット)
チャージ:3,300円

西山瞳 ピアノコンサート
2023年2月18日(土)京都 NAM HALL
開場/開演:12:30/13:00
出演:西山瞳(ピアノ)
前売り/当日:2,500円/3,000円

うたあそびスペシャル
2023年2月19日(日)愛知・名古屋 今池 Tokuzo
開場/開演:18:00/19:00
Luna(ボーカル)/谷向柚美(ボーカル)/百本マイ(ボーカル)/水谷浩章(ベース)/西山瞳(ピアノ)/江藤良人(ドラムス)
予約/当日:3,500円/4,000円

 

RELEASE INFORMATION

西山瞳 『ホームタウン』 MEANTONE(2022)

リリース日 :2022年11月9日(水)
品番:MT-11
価格:2,750円(税込)
紙ジャケット仕様

TRACKLIST
1. Fairy Tale フェアリー・テイル(作曲:西山瞳)
2. Take the “K” Train テイク・ザ・ケー・トレイン(作曲:西山瞳)
3. Yawn ヨーン(作曲:西山瞳)
4. Walking in the Park ウォーキング・イン・ザ・パーク(作曲:西山瞳)
5. 200km 200キロメートル(作曲:西山瞳)
6. HIRAKATA Park West ヒラカタ・パーク・ウェスト(作曲:西山瞳)
7. Our Memorial Attractions アワ・メモリアル・アトラクションズ(作曲:西山瞳)
8. Romance ロマンス(作曲:西山瞳)

録音日:2022年4月18日、奈良 NMG Studio
録音/ミックス/マスタリング:三輪卓也(NMG Studio)
アートディレクション/平岡直樹(yuu)

西山瞳(ピアノ)
鈴木孝紀(クラリネット)
光岡尚紀(ベース)

 


PROFILE: 西山瞳
79年11月17日生まれ。6歳よりクラシックピアノを学び、18歳でジャズに転向。大阪音楽大学短期大学部音楽科音楽専攻ピアノコース・ジャズクラス在学中より、演奏活動を開始する。卒業後、エンリコ・ピエラヌンツィに傾倒。2004年、自主制作アルバム『I’m Missing You』を発表。ヨーロッパジャズファンを中心に話題を呼び、5か月後には全国発売となる。2005年、〈横濱JAZZ PROMENADE ジャズ・コンペティション〉において、自身のトリオでグランプリを受賞。2006年、スウェーデンにて現地ミュージシャンとのトリオでレコーディング、『Cubium』をSpice Of Life(アミューズ)よりリリースし、デビューする。2007年には、日本人リーダーとして初めて〈ストックホルム・ジャズ・フェスティバル〉に招聘され、そのパフォーマンスが翌日現地メディアに取り上げられるなど大好評を得る。以降2枚のスウェーデン録音作品をリリース。2008年に自己のバンドで録音したアルバム『Parallax』では、スイングジャーナル誌日本ジャズ賞にノミネートされる。2010年、〈インターナショナル・ソングライティング・コンペティション〉(アメリカ)で、全世界約15,000のエントリーのなかから自作曲“Unfolding Universe”がジャズ部門で3位を受賞。コンポーザーとして世界的な評価を得た。2011年発表『Music In You』では、タワーレコードのジャズ総合チャートで1位、HMVの総合2位にランクイン。CDジャーナル誌2011年のベストディスクに選出されるなど、芸術作品として重厚な力作であると高い評価を得る。2014年には自身のレギュラートリオ、西山瞳トリオ・パララックス名義での2作目『Shift』を発表。好評を受け、アナログでもリリースする。2015年には、ヘヴィメタルの名曲をカバーしたアルバム『New Heritage Of Real Heavy Metal』をリリース。マーティ・フリードマン(ギター)、キコ・ルーレイロ(ギター)、ヤング・ギター誌などから絶賛コメントを得て、発売前よりメタル・ジャズの両面から話題になり、すべての主要CDショップでランキング1位を獲得。ジャンルを超えたベストセラーとなっている。同作は『II』(2016年)、『III』(2019年)と3部作としてシリーズ化。2019年4月には『extra edition』(2019年)もリリース。自身のプロジェクトの他に、東かおる(ボーカル)とのボーカルプロジェクト、安ヵ川大樹(ベース)とのユニット、ビッグバンドへの作品提供など、幅広く活動。〈横濱JAZZ PROMENADE〉をはじめ、全国のジャズフェスティバルやイベント、ライブハウスなどで演奏。オリジナル曲は、高い作曲能力による緻密な構成とポップさが共存した、ジャンルを超えた独自の音楽を形成し、幅広い音楽ファンから支持されている。