約30年ぶりの歳月を経て待望の再録音。ツィメルマン、ラトル&ロンドン交響楽団による『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集』。ベートーヴェン生誕250周年の昨年12月に録音。今年大注目のアルバムの1枚と言っても間違いはない。円熟味増したそのテクニックと表現力からは、1人1人の聴き手の心情にじっくりと音を介して演奏の凄味を語りかけてくる。その音色は時に熱く、穏やかで、第1番から第5番がまるで一人の人生の物語のように聴こえてきてならない。旧録音盤も、録音されてから名盤として多くの人々に聴き継がれている。再録盤もまた同様に、これから未来永劫聴き継がれていくに違いない。