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ウッドベースを始めたのはブロードウェイでの演奏

――ウッドベースの話が出てこないけど、その頃はまだ演奏していなかったんですか?

「ウッドベースは、アメリカから帰って上京して、TRI4THに加入するタイミングで始めたんです。僕、ずっとウッドベースはやらないって決めてたんですよ。仕事がきても断ってたけど、そうしたらやっぱり仕事が増えなくて、アンダーグラウンドで20代前半は過ごしてたんですけど、転機がTRI4THのメンバーと出会ったことで。

まだファーストアルバム(2010年作『TRI4TH』)を出す前なんですが、三谷幸喜さんのミュージカル『TALK LIKE SINGING』(2009年、主演:香取慎吾)をニューヨークのブロードウェイでやるので、そのバックバンドの話がTRI4THにきたんですよ。ただ、それにはウッドも弾かないといけなかったんです。それまでウッドは断っていたけど、それ以上に、帰国してからは〈アメリカに仕事をしに行く〉っていうのが第一の目標だった。〈じゃあやるか〉みたいな感じでスタートしたのが、ウッドの演奏を始めたきっかけ。

その仕事がアメリカで約13公演、日本で約50公演。勿論、当時自分たちがやっていた仕事と全然スケールが違ったけど、バンドにとっても自分にとっても、とても良い転機になりました」

――他に、TRI4THがバンドとして盛り上がってきたなと感じた時期ってありましたか?

「Playwrightのレーベルに入らせてもらった時、そこでぐっと広がったというか、やっぱりPlaywrightにはファンが一定数いて、そこに新しい風を吹き込めたかなという」

 

海外での学びを糧に日本のジャズを盛り上げる

――今、TRI4THのファンってどういう年代の人が多いですか? ジャズの中でも、商業的な前線にいるからこそ、そういう人たちが今何をどう感じているのかを聞きたいです。

「同年代かそれ以上が多いですよ。でも、大学のサークルでTRI4THのコピーしてくれたり、楽器が好きだったりする層は、ちょっと若かったりします。

やっぱり、若い人にも聴いてもらいたいし、そこに向けて球を投げてる割には、どうしてもチケット代が高いのが気になりますよね。専門学校でも教えているので肌感覚でわかるんですけど、やっぱりチャージが5,000円とか、若い人にはなかなか出せないと思います。でもあまり安くすると続けられない。学割を設定する時もありますけど、もうちょっと何かできるんじゃないかなと試行錯誤しています。

フジロックにも呼んでもらったし、音楽フェス、ロックフェスとか、若い層に球を投げられるような場所で、ジャズを聴いたことがない人でもわかりやすく、でも自分たちが飽きないように、いいバランスで知恵を出しつつ進んでいきたいです。ライブに来てくれたら、盛り上げる、楽しんでもらえる自信はあるんで。

今年10月に韓国のジャズフェスに出演したんですが、若い人も沢山来て盛り上がりました。ヘッドライナーを動員できるポップアーティストにして、予算を組んで、ジャズミュージシャンも呼んで、ちゃんとフェス全体でビジネスとして成り立つように工夫されていた。

コロナ禍直前に、アメリカのSXSWっていう大型フェスへの出演と、打首獄門同好会などの日本のロックバンドとアメリカ西海岸を何ヶ所か回るツアーが決まってたんですけど、コロナ禍でキャンセルになっちゃって、それが実現できていたら、ちょっと未来が変わっていたかもなと思うこともあります。

でも、これからも海外にも目を向けつつ、そこから何かを学んで輸入できたら、日本でももっとジャズが盛り上がってくるのかなって思います」