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ジャズピアニストとして、そしてメタラーとして知られる西山瞳さんによる連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉。今回は、アメリカンハードロック界の〈モンスター〉として知られるベテランバンド、エクストリームについて。15年ぶりのニューアルバム『Six』の魅力とは? ギタリストのヌーノ・ベッテンコートを筆頭にエクストリームが音楽家にリスペクトされる理由とは? 9月に待望の来日公演を行う彼らの音楽に迫ります。 *Mikiki編集部

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6月7日に、エクストリームの新譜『Six』が発売となりました。

ダークに引き締まったハードロックです。とても格好良い。

EXTREME 『Six』 earMUSIC/ビクター(2023)

15年ぶり通算6枚目のスタジオアルバムとのこと、90年代にあれだけ皆聴いていたバンドだったのに、まだ6枚目という事実に驚きます。

私は2000年〜2014年ぐらいの期間、ほとんどメタルを聴いていないブランク期間がありましたが、戻ってきた時にカタログが多いと、嬉しいけどその反面、とても宿題が多い気分になる。エクストリームは、聴かないといけない作品が増え過ぎていなくて、助かりました。

エクストリームは私のような90年代メタラー、特に楽器小僧にはお馴染みのバンドで、このMikiki連載で時々行っているメタル出身ジャズミュージシャンへのインタビューの中でも、必ずと言っていいほどエクストリーム、あるいはそのギタリストであるヌーノ・ベッテンコートの話題が出てきます

格好良かったんですよね。80年代のきらびやかさを残しつつ、90年代にスタイリッシュにアップデートされている感じというか、一つ上の世代の明るく抜けた景気の良さを感じさせてくれるバンドだったし、ヌーノの人気がとにかく凄かった。メタルギタリストの中でも洗練された格好良さがありました。

 

私も最初の2枚はよく聴きました。

1枚目『Extreme』(89年)は、ヴァン・ヘイレン直系の華やかさとLAメタルのパーティ感がありながら、決してノリ一直線じゃない曲と演奏で、どこか偏差値高めのスタイリッシュな雰囲気が格好良かったです。

EXTREME 『Extreme』 A&M(1989)

89年作『Extreme』収録曲“Kid Ego”

そして2枚目『Extreme II: Pornograffitti』(90年)は、90年代メタラーのエバーグリーンな一枚。大傑作です。ファンクメタルなどとも呼ばれましたが、ホーンセクションが入り、ファンク独特の大人数合奏でのアゲ感があるサウンド。16ビートでヘヴィサウンドを演奏するというのが画期的でした。なんせ、音が景気良い

EXTREME 『Extreme II: Pornograffitti』 A&M(1990)

90年作『Extreme II: Pornograffitti』収録曲“Get The Funk Out”

名盤と言っても、アルバムとして一貫したまとまりがあるものではなく、楽しいことを詰め合わせにしました的な、わりとがちゃがちゃした作品です。それがいい。

アッパーな80年代の明るさを受け継いだ、パーティ系の最高位洗練型という印象でしたね。

高校の時、アコギを持ったら必ず“More Than Words”かミスター・ビッグの“To Be With You”を弾いてる子がいましたよね。

90年作『Extreme II: Pornograffitti』収録曲“More Than Words”

そんな我々の時代の思い出の一枚なので、この中からNHORHMでもカバーせねばなるまいと、“Decadence Dance”をカバーしています。冠さんに歌ってもらって、ホーンセクションに入ってもらって、超ハッピーなテイクになりました。

90年作『Extreme II: Pornograffitti』収録曲“Decadence Dance”

NHORHMの『New Heritage Of Real Heavy Metal II』トレーラー。エクストリーム“Decadence Dance”のカバーを収録