子供の頃の純粋な気持ちを表現
――それはいい話ですね。で、先ほど70年代ソウルの話をしましたが、“Royal”は80年代のAOR〜ポップスみたいで、他の曲と少し雰囲気が違います。その現代的な解釈という意味において、サンダーキャットの『Drunk』(2017年)や、最近ファレル・ウィリアムスがヨットロックをテーマにして作った作品に通じる感覚と言いますか。
「おもしろいね(笑)。“Royal“はアルバムの中ではちょっと異色かもしれない。オーケストラをバックにした他の壮大な曲とは少し違う。
自分の音楽的な影響源としては、70年代、80年代、90年代、そしてモダンな音楽と大きく4つぐらいの時代に分けられるんだけど、これはまさに70、80年代の感じで、スティーリー・ダンやマイケル・マクドナルドの雰囲気にゴスペル的なものを加えた感じだね。でも、ビートはヒップホップ的でモダンになっているという、いい例だと思う。
さっきも言ったように、楽しい曲ができたのにいろいろと考えすぎてしまう時、立ち止まって思うのは、自分はどう感じているのかということだった。そうやって自分がいいと感じればそれでいいんじゃないかと思って作ったんだ」
――ゴスペル的といえば、ナイジェリアのアルハジ・ワジリ・オショマの曲をベースにした“Freedom”はリリックも含めてゴスペルに通じるポジティブな力強さがありますが、どんな曲なのでしょうか?
「最初に話した〈希望〉に近い、気持ちを高揚させるような歌だね。オプティミズムというものを音楽的に表現するなら自分としてはこうしたかった。
物事を純粋に楽しんで心底自由だなって最後に感じたのはいつだっただろう?と振り返った時に、やっぱりそれは子供の頃だったなと。子供の時は責任もなければ心配もないし、純粋にいろんなことができた。そんな頃の気持ちにまた戻ろうよ!みたいなストーリーにして書いたのがこの曲なんだ」
――アルバムは4曲目まで、タイトル(“Flowers”“Freedom”“Friend Or Foe”“Forgive”)がすべて〈F〉で始まる言葉になっているのですが、これは何かストーリーになっているのでしょうか? それとも単なる偶然?
「これは偶然。曲順を考えていた時に、自分でも何でこんな〈F〉ばっかりなんだろうと思って、ちょっと考え込んだ(笑)。それぞれの曲のタイトルは好きだけどね。並べた時に、まるでそこにメッセージが隠されているみたいに思われそうだし、実際に友達からも、どういう意味なんだよ?って言われたけど、特に意味はない(笑)」
――40歳になるまでに映画のサウンドトラックを作るのが目標でもあるようですね。今回のアルバムは、どこか映画音楽風だったりもして、特に“Miracle”はシネマティックな曲だなと感じたのですが。
「映画音楽を作るのは大きな夢なので〈シネマティック〉と言ってくれるのは嬉しいな。“Miracle”はまさに(エンニオ・モリコーネが音楽を手掛けた)映画『ニュー・シネマ・パラダイス』(88年)からインスピレーションを受けているんだ。シンプルなサウンドから始まり、オーケストラが鳴って、またシンプルな音に戻っていくというか、本当にビジュアル的な世界を描くつもりで作った曲。これが(映画音楽を作る)キッカケになればいいなって思っている」