
分析するより体験するのがいい音楽
――ナラはロンドンに移ったあと、レコード屋でバイトをしていて、古いジャズからラテン音楽、民族音楽まで、幅広くディグっていて、DJもやっていたそうです。
「そういう人は、とにかくジャンルが関係ないんですよね。〈このジャケット、いいな。なんだろう?〉と勘で聴くことを常日頃からしているでしょうから。1年足らずだけど、僕もレコード店で働いたことがあるから、いろんなものを聴きましたね。意外な出会い方をしたレコードが愛聴盤になったりするので、ナラ・シネフロがレコード店で働いていたところから音楽を作りはじめたのは有機的な流れだと思います。なので、分析するよりも体験するのがいい音楽って感じがしますね」
――まさに、ナラの音楽を体験できる機会がやってきます。11月25日(月)に東京・めぐろパーシモンホールで来日公演が開催されるんです。昨年のライヴの予定が中止されてしまったので、待望の公演ですね。
「パーシモンホールはいいですね。あそこはすごく落ち着いていて、大きさもちょうどいいですし、楽しみです。彼女の音楽を聴いている人は、若い人が多いのでしょうか?」
――ナラのアルバムにはロンドンジャズシーンのプレイヤーが参加しているので、旧来のジャズファンというより、同地の音楽や最新の音楽に興味がある若い人が聴いている印象です。
「ヌバイア・ガルシアも何曲かで参加していますしね。ジェイムズ・モリスンという名前も知っています」
――エズラ・コレクティヴのサクソフォニストですね。
「なるほど! 今のロンドンとマンチェスターのシーンって、あまり接触がないと思っているんですよね。さっき言ったマシュー・ハルソールはマンチェスターの人ですが、ロンドンのミュージシャンと一緒にやっている印象はあまりないので」
――ゴーゴー・ペンギンもマンチェスター出身で、マンチェスターにはロンドンと異なる独特のシーンがありますよね。
「ゴーゴー・ペンギンは、彼のレーベル(ゴンドワナ)からレコードを出していましたからね。
あと、ナット・バーチョールというマンチェスターのサックス奏者をすごく気に入っているんです。若い人ではチップ・ウィカムというサックス奏者がいて、彼のこともすごく好きです」
――サックス奏者といえばジャズの花形ですが、ナラの音楽にはビバップ的な熱いソロはないですよね。
「僕が好きなマシューはトランペット奏者ですが、彼の演奏にも圧はないんです。グルーヴがあっても、すごく柔らかい感じですね」