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A STAR IS BORN~日本ではさほど知られていない、女優としてのバーブラの真価とは?

【PEOPLE TREE】BARBRA STREISAND 『Partners』 Part.2

A STAR IS BORN~日本ではさほど知られていない、女優としてのバーブラの真価とは?

 確かに鼻は大きいし、絶世の美女とはいえないけれど、バーブラ・ストライサンドはハリウッドを制した女優であり、映画監督だ。実在した舞台女優のファニー・ブライスを演じた映画「ファニー・ガール」(68年)でスクリーン・デビュー、いきなりアカデミー賞主演女優賞を受賞したバーブラ。劇中でファニーが鏡に映った自分に向かって「ハロー、ゴージャス」と語りかけるセリフは有名だが、デビュー時の彼女はまさに〈ミス・ゴージャス〉。ルイ・アームストロングとの掛け合いも楽しい「ハロー・ドリー!」(69年)やイヴ・モンタンと共演した「晴れた日に永遠が見える」(70年)など、歌って踊れる生まれついてのエンターテイナーぶりを発揮した。

【参考動画】68年公開作「ファニー・ガール」予告編

 

 陽気で男勝りで純情。そんな人懐っこいヒロインが彼女のハマリ役だったが、ロックとニューシネマの時代=70年代に入るとミュージカルは時代遅れになり、興行成績も振るわなくなってくる。〈演技派女優〉に脱皮しなければ、と悩んでいた彼女の突破口になったのが「追憶」(73年)だった。考え方も生き方も違う男女の出会いと別れを20年間に渡って描いた本作で、彼女は自立心の強い女性を演じて女優としての新生面をアピールした。映画は大ヒットを記録してバーブラの人気は再燃。さらに「スター誕生」(76年)では歌手になることを夢見るヒロインを熱演して、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞した。自信を得た彼女は満を持して監督に挑戦。亡き父に捧げた「愛のイエントル」(83年)では、製作/監督/脚本/主演/主題歌と5役をこなして見事ゴールデングローブ賞の監督賞と主演女優賞を受賞するが、同時にゴールデンラズベリー賞の最低〈男優賞〉にもノミネートされてしまう。この時期、主演作はヒットするが批評家からはこき下ろされる、というねじれた現象を起こしていたバーブラ。彼女の強烈すぎる存在感は、もはや女優という枠を超えてショウビズ界のアイコンになり、熱狂的なバーブラ信者(とくにドラァグクイーンからの人気は絶大)を生み出すようになる。

【参考動画】73年公開作「追憶」予告編

 

 80年代後半からバーブラは監督業もこなして映画製作にのめりこんでいたが、近年では再び女優に専念。「ミート・ザ・ペアレンツ」シリーズや「人生はノー・リターン~僕とオカン、涙の3000マイル~」(2012年)など、タフな母親役で気負いなくコメディエンヌぶりを発揮している。どんなに叩かれても歌と根性で吹き飛ばすバーブラは、ハリウッド最強のビッグマザーなのだ。

【参考動画】2012年公開作「人生はノー・リターン ~僕とオカン、涙の3000マイル~」予告編

 

 

▼関連作品

左から、68年公開作「ファニー・ガール」(ソニー・ピクチャーズ)、70年公開作「晴れた日に永遠が見える」(パラマウント)、73年公開作「追憶」(ソニー・ピクチャーズ)、76年公開作「スター誕生」(ワーナー・ホーム・ビデオ)、91年公開作「サウス・キャロライナ 愛と追憶の彼方」、96年公開作「マンハッタン・ラプソディ」(ワーナー・ホーム・ビデオ)、2012年公開作「人生はノー・リターン ~僕とオカン、涙の3000マイル~」(パラマウント)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

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