ベルリン・フィルが自主制作盤事業に本格的に参入してきたことにより、各楽団の自主制作レーベルがにわかに活気づいている。その先陣を切ったのがロンドン響で、既に14年の歴史がある。ロンドン響はその歴史の中で、CD、そして同タイトルをCDとSACD (ハイブリッド盤。以下、同様)で同時発売していた時期を経て、近年では殆どのタイトルをSACDでリリースと、フォーマットにも拘りをみせてきた。そして今回、SACDに加え、ベルリン・フィル同様96kHz/24bit高品位音声のブルーレイ・オーディオと、さらにハイビジョン映像のブルーレイ・ヴィデオの両方を収めたブルーレイ・ディスク1枚を同梱する商品を出す。ちなみに、映像は特典としての位置づけだが、音声は複数日の演奏を編集しているのに対し、1日の演奏を未編集で収録している。

MARIA-JOAO PIRES,JOHN ELIOT GARDINER,ロンドン交響楽団 メンデルスゾーン:交響曲第3番、他 LSO Live(2014)

 今回リリースされるのは、ゲルギエフ指揮の《幻想交響曲》と、ガーディナー指揮によるシューマンのピアノ協奏曲(ピアノ独奏はピリス)とメンデルスゾーンの交響曲第3番《スコットランド》の2タイトル。双方とも単発ではなく、シリーズとなる予定だ。

VALERY GERGIEV,ロンドン交響楽団 ベルリオーズ:幻想交響曲、他 LSO Live(2014)

 ゲルギエフは2003年にウィーン・フィルと《幻想》を録音しており、本盤収録の直前にも、各所で集中的に演奏。ロンドン響も既に何度も録音している楽曲だけに、極めて完成度の高い演奏となっている。一方、シューマンのピアノ協奏曲は、1997年のアバドとの録音以来、ピリス(ピレシュ)16年ぶりの同曲録音とあって、注目度は高い。メンデルスゾーンの交響曲はガーディナーの十八番であり、1997/98年のウィーン・フィルとの録音以来15、6年ぶりの本格的なメンデルスゾーン録音で、こちらも聴き逃せない。音質・演奏ともにさらに内容濃くなった、ロンドン響自主制作盤の今後によせる期待は大きい。