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悲劇からの再出発、そしてアメリカを代表するバンドへ

そんなメタリカに初期最大の事件が起こる。1986年9月スウェーデンでのツアー中の交通事故でベースのクリフが亡くなってしまうのだ。ファンの嘆きを受けながら新たにジェイソン・ニューステッドを加えたグループは翌1987年に5曲入りEP『The $5.98 E.P.: Garage Days Re-Revisited』を発表するが、これが改めての誕生宣言でもあった。

ダイアモンドヘッド、ホロコースト、バッジーといったUK系のハードロックバンドやニューウェーブ時代のキリング・ジョーク、そしてアメリカのインディ系ハードコアパンク、ミスフィッツといった知名度は低くとも、自分たちのルーツとなったバンドへのリスペクトを全身で示すカバーを再出発の門出に聴かせ、これは全米18位までランクインした。

こうして新しい時代に入ったグループは1988年9月、新体制でのアルバム『...And Justice For All』をリリースする。初めてMVが作られたシングル“One”のヒットを始め、アルバムはトップ10入り、最高6位を記録し、アルバムジャケットにも描かれた〈正義の女神テミス〉を用いた巨大なライブセットを持ってのツアーは世界中で大人気となった(今でも1989年の日本ツアー、代々木第一体育館のステージで女神が崩れ落ちる瞬間の記憶は鮮烈だ)。

以後、メタリカの新作オリジナルアルバムは全米1位が定位置となったし、アメリカを代表するバンドとしてのポジションは今も揺らぐことはない。だからこそ、そのメジャー進出の原点として『Master Of Puppets』は特別なものであり、40周年というアニバーサリーを最高に祝われるべき作品だろう。