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【ろっくおん!】第31回 Part.1―今月のレポート盤:YO LA TENGO 『Extra Painful』

ロック好きの大学生が集まって放課後タイムにダラダラおしゃべり! 専攻科目よりも皆さんロック史の研究に夢中なようですね!!

 ここはT大学キャンパスの外れに佇むロック史研究会、通称〈ロッ研〉の部室であります。2014年も残すところ1週間をきった時期だというのに、室内には灯りが点っていますね。

【今月のレポート盤】

YO LA TENGO Extra Painful Matador/HOSTESS(2014)

梅屋敷由乃「私、忘年会の幹事なんて初めてですので、ちょっと緊張しております」

汐入まりあ「そんなに固くならなくても大丈夫! ところで今日は誰が来るの?」

梅屋敷「コヤス先輩とジョン先輩、鮫洲先輩、雑色さん、それとエージ先輩も顔を出してくださるそうです。残念ながら他の方々は帰省中なようで……」

雑色理佳「おは~っす! いや~、こんな年の瀬に登校するなんて皆さん酔狂ですよね~!」

梅屋敷「あらあら、そういう雑色さんは?」

雑色「私はロッ研に操を立てていますから! っていうか、未成年だし、にゃはは! そんなことよりコレですよ、コレ!」

汐入「あ、ヨ・ラ・テンゴの『Extra Painful』! 私も買ったよ!」

雑色「流石は会長、美人なうえにヨ・ラ好きとはウチに嫁いでほしいくらいです!」

梅屋敷「廃盤の93年作『Painful』とは違うものなのですか?」

汐入「バンド結成30周年を記念してリリースされた『Painful』のデラックス版で、オリジナル盤に加えてDisc-2には未発表のデモ・トラックやアコースティック・ヴァージョン、ライヴ音源などを10曲も収録したものだよ」

雑色「いまもステージのトリを飾ることの多い超名曲“I Heard You Looking”のライヴ・テイクが、ちゃんとDisc-2のラストに収録されているのもニクイ!」

汐入「有名なヴァージョンはノイジーな“Big Day Coming”が、簡素なアコースティック・アレンジで聴けるのも嬉しいよね」

雑色「そのDisc-2だけでもお腹いっぱいですけど、さらに90年代初頭のレア音源が大量に聴けるダウンロード・クーポンまで付いているんだから、ファンなら垂涎でしょ~、じゅるじゅる」

梅屋敷「ヨ・ラ・テンゴって現役感の強いバンドなので、結成30年というのは驚きですこと!」

雑色「そりゃもう現役バリバリっすよね! 2014年の5月に行われた5年ぶりの来日公演も最高でした!」

梅屋敷「私は最近の作品しか存じませんが、『Painful』とはどのようなアルバムなのでしょうか?」

汐入「轟音ギターとアンビエントな浮遊感、そしてポップなのに哀愁漂うメロディー、つまり一般的にイメージされるヨ・ラのサウンドが確立された重要作かな。近頃ではシューゲイザー的な視点からも評価されているよね」

【参考動画】ヨ・ラ・テンゴの93年作『Painful』収録曲“Big Day Coming”

 

雑色「それまでは良くも悪くもヴェルヴェット・アンダーグランドのフォロワーっていうか、アマチュアっぽいアングラ・バンドって印象だけど、ここでペロッと一皮剥けた感じで!」

汐入「97年の名盤『I Can Hear The Heart Beating As One』と並んでファン人気も高いし、マタドール移籍後初の作品というのもポイントだよね」

梅屋敷「いまではレーベルの看板を背負っているバンドですものね」

汐入「本作以降のヨ・ラが現行のインディー・シーンに与えた影響は大きいと思う。例えば、気怠い浮遊感と儚いメロディーはビーチ・ハウスに代表されるドリーム・ポップ勢に、ノイジーかつまどろむようなサイケデリック感覚はディアハンターなどにも受け継がれているし……」

【参考動画】ビーチ・ハウスの2012年作『Bloom』収録曲“Lazuli”

 

雑色ローファイで、ポップで、サイケなんて、キーワードで結ぶとアリエル・ピンクにも繋がりますかね。新作『Pom Pom』を聴いて思いましたが、サウンドはやや異なるものの、アリピンは案外ヨ・ラ・ファンですよ!」

【参考動画】アリエル・ピンクの2014年作『Pom Pom』収録曲“Picture Me Gone”

 

梅屋敷「そういえば、私の好きなクラウド・コントロールも影響を受けていますわ! 何だかとても『Extra Painful』が聴きたくなってきましたので、温かいお紅茶を飲みながらいかがでしょうか!?」

※ヨ・ラ・テンゴ『Extra Painful』の試聴はこちら

雑色「ウメちゃん先輩、それ賛成!」

杉田俊助「Hello! あれ、飲み会の前に女子会!? どんなガールズ・トークをしてたのさ、Ha! Ha! Ha!」

雑色「いや女子会っていうかヨ・ラ会ですよ、にゃはは」

杉田「ヨラカイ? What's!? ガールのトレンドってよくわからないよネ!」

 言われてみれば、ここで女子だけのおしゃべりを聞くのは初めてでしたが、内容はジョンの期待するガールズ・トークとはほど遠い代物でしたね。たまには恋の話でも聞いてみたいものです。 【つづく】

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