渋谷のストリートを拠点にライヴを繰り広げている巷で噂のジャズ/ヒップホップ・バンド、SANABAGUN。スキルも確かなプレイヤーたちが鳴らすジャズやファンク、ブレイクビーツにラップ&ヴォーカルを乗せたクール極まりない彼らの音楽は、いったいいかにして生まれたのか――それを炙り出すべく、サナバの構成員に自身の滋養となっているアーティストの作品をカメラの前で紹介してもらうことにしました! 高岩遼氏(ヴォーカル)、岩間俊樹氏(MC)のフロントコンビを進行役に、個性豊かなメンバーが毎月登場しますよ。また、こちらの映像はSANABAGUNの映像コンテンツを担う川村静哉氏が手掛けてくれます!
そして記念すべき本連載第1回は、バンドの裏ボス(?)であるベーシスト兼コンマス(コンサート・マスター)の小杉隼太。初回から大盤振る舞いで、前・中・後編の3本仕立てでお届け! さらに初回からまさかの展開で大変恐れ入りますが、2015年からメンバーの名前が変わり……というかステージネームから本名に変更になっているものの、こちらの映像が昨年中に収録されたもののため、前名義で進行しておりますこと、ご了承ください……(泣)。また映像では盛り込めなかった彼らの解説コメントもテキストに起こしておりますので、そちらも併せてご覧いただければと!
【前編】
高岩遼「ではご紹介を!」
小杉隼太「RHファクター『Hard Groove』。ロイ・ハーグローヴというトランぺッターのプロジェクトなんですけど、俺らの大パイセンですよ。元は生粋のジャズマンで、ビバップもやる。最初はスウィング(・ジャズ)で頭角を現したんだけど」
高岩「彼はバッパーだったんですかね?」
小杉「元はバッパーですよね。ディアンジェロ、エリカ・バドゥ、J・ディラとかと同世代で、コラボもよくしていたんだけど、このアルバムでもエリカ・バドゥ、コモン、ディアンジェロ、ミシェル・ンデゲオチェロ、あとアンソニー・ハミルトンも参加している。もう最強なんだよね」
高岩「アンソニー・ハミルトンが参加してるの? あのすきっ歯の? 俺、中学の時めっちゃ聴いてた」
小杉「たぶん〈ふざけんなよ〉ってなるんだよね、これ最初に出すと」
高岩「サナバのメンバーがね。サナバ的にプッシュしたい一枚なんだよね」
小杉「ベースは俺の大好きなピノ・パラディーノ先生。この人は全ジャンルいけるからね」
高岩「ピノさんはどういうところから入ったんですか?」
小杉「ジョン・メイヤーでしょ、ジョン・メイヤー・トリオ。あらゆるジャンルで活躍してるってところが好きで、俺がプレベ(プレジション・ベース)を使ってるのもピノさんの影響だし」
高岩「じゃあRHファクターはピノさんがいるからこそ好きってところもある?」
小杉「それは、ない! ピノさんは関係なくこのアルバムは最高。このなかでいちばん好きな曲かけてもいい? “Pastor ‘T’”っていう曲なんだけど」
小杉「この感じを使いたいんだよ、サナバに。これ、1曲なんだけど3曲が繋がっているような構成で」
高岩「曲間がないんだ」
小杉「そうそう。これのめっちゃおもしろいところが、ベースの話なんだけど、エレキ・ベースのピノ・パラディーノに加えて、レジー・ワシントンていうウッド・ベースの人が参加してる。つまりベースが2人いるんだよね」
高岩「ウッド・ベースは基本バスドラに合わせてるの? へぇ~、おもしろいね」
小杉「で、ピノさんはバスドラに対してプッシュしてるの。ベーシストにはこの曲がオススメ。イヤフォンで聴いたほうがいいね。このRHファクターの『Hard Groove』は最近のジャズの本(『Jazz The New Chapter』のことです)に取り上げられていて、日本盤が安く再リリースされてます」
岩間俊樹「でもベーシストって……正直俺まだよくわからないんですよ」
小杉「……じゃお前なに聴くの?」
岩間「僕ですか? 僕はあの……(ゴソゴソかばんを探る)」
小杉「ないよ、基本今回は俺だけ紹介する形だよね?」
高岩「今回1回目なんですけど、岩間がちょっと趣旨をわかってなくてですね……」
岩間「今回ご紹介するのは友川かずきの……」
