春のリイシューは花粉よりもキクぜ!
全然リリース量が減らないし、欲しいものもなくならないなか、いかがお過ごしでしょう……ってところで、今月もいろいろ出ていますよ。こちらでマンハッタンズのスウィート系のネタ使いについて触れていますが、その観点からも外せないのがボビー・グレンの76年作『Shout It Out』の世界初CD化! ジェイZさん指折りの名曲“Song Cry”で響き渡るあの“Sounds Like A Love Song”を収めた一枚で、これは問答無用でしょう。
本作など超レアな作品を立て続けに銀皿化しているKTI産のブツでいえば、ルビー・アンドリュースの72年作『Black Ruby』も世界初CD化。これまた“Didn't I Fool You?”のような人気ネタを含むシカゴの名品ですが、ジャケ買いでもOKですよ。
また、レアリティーというところだと、TKで活躍したマイアミ・ソウルの重要人物、ミルトン・ライトの編集盤『Complete Friends And Buddies』もなかなかの逸品です。これは当時ファイナル音源が2種存在したという75年作『Friends And Buddies』の、後世に残った〈Version Two〉と幻の〈Version One〉を2in1にしたもの。なお、〈Version One〉のみアナログも出ていて、いずれにしてもマニア向けなのでしょうが。
で、たまにはハワイ産の素敵な逸枚を……MUROがミックスCDで曲を用いたことからハワイアン・メロウ&レア・グルーヴの佳品として探されていたリル・アルバートの76年作『Movin' In』も初CD化です。フィリピン系でハワイというとブルーノ・マーズも思い当たりますが、強引にその元祖と言えなくもないAOR~青春ソウルがメロウに流れる佳曲が並んでいます。これからの季節にも美味!
そして日本の各社から相次ぐ千円リイシュー・シリーズからは、ダンスに主眼を置いた〈DISCO 1000 BEST COLLECTION〉がズラリとラインナップ。このタイミングで注目したいのは、ベリー・ゴーディJrの息子として華々しくデビューした、ロックウェルの84年作『Somebody's Watching Me』の久々の復刻。マイケル・ジャクソンが参加している表題曲でのみ知られる人ですが、こういう泡沫感は捨て難いんです。
同シリーズのブツでは、レディ・フォー・ザ・ワールドの85年作『Ready For The World』も20年ぶりぐらいにリイシュー。マスターが昔のままというのはどうかとも思いつつ、“Oh Sheila”に代表されるタイトなデジタル・ファンクは最高です!