インタビュー

脱アコースティック宣言したマムフォード&サンズ、3年ぶり新作『Wilder Mind』は前進しようとするバンドの姿勢の〈成果〉

脱アコースティック宣言したマムフォード&サンズ、3年ぶり新作『Wilder Mind』は前進しようとするバンドの姿勢の〈成果〉

ニュー・フォーク・ブームの中核を担うウェスト・ロンドンの4人組が、まさかの脱アコースティック宣言!……って、活動休止期間にいったい何があったの?

 待ちに待ったマムフォード&サンズの来日がついに実現したのは2013年7月。〈フジロック〉と新木場STUDIO COASTの単独公演で観ることができたわけだが、しかしその直後に彼らは活動休止を発表。バンジョー担当のウィンストン・マーシャルが〈バンドは終わったんだ〉とコメントし(広報はそれを否定したが)、さらに〈バンジョーなんかうんざりだ〉と話したとも伝えられていたので、もうシーンに戻らないのではないかと不安に思っていた人もいたことだろう。でも、ご安心あれ。彼らは帰ってきた。素晴らしかった初来日公演から約2年、前作『Babel』から数えると約3年ぶりとなる力強いサード・アルバム『Wilder Mind』を完成させて。

MUMFORD & SONS Wilder Mind Gentlemen Of The Road/Glassnote/Island(2015)

 「ステージに立つと、〈何て不思議で驚異的なんだろう〉といった感覚が湧いてくる。でも長く音楽業界に身を置いていると、そういう感覚が徐々に失われていくんだ。危険だよね。だから、ライヴのあの感覚を絶対に手放さないでいることが本当に大事なんだよ」(テッド・ドゥウェイン、キーボード)。

 結局4人がバンドを離れてそれぞれの時間を過ごしたのは5か月間ほどで、〈あの感覚〉を手放すことなく昨年2月にふたたび集合。そして心機一転、8か月間に及ぶ曲作りが始まった。そこにはプロデューサーのジェイムズ・フォードアークティック・モンキーズ他)が参加。また、前のツアーが終わる前からよく行動を共にしていたナショナルのギタリスト、アーロン・デスナーともいくつか共作を行っている。

 「アーロンはさまざまなアイデアを最後まで追いかける。気に入らなくても捨てずに続けるんだ。おかげで僕らは互いのアイデアを尊重するようになった」(ウィンストン)。

 「うん、みんなで腰を据えていろいろなアイデアを議論した。これまでよりずっと民主的な手順を踏んだんだ」(マーカス・マムフォード、ヴォーカル/ギター/ドラムス)。

 さて、マムフォード&サンズと言えば、バンジョーやマンドリンなどの楽器を印象深く鳴らし、ルーツ音楽に敬意を表しながらダイナミズムのあるロックへと昇華させるバンドとして個性を確立してきたわけだが、新作ではプロダクションが劇的に変化。アコースティック楽器はほぼ使わず、パーカッションに替わってドラムが大きく強調されたものになっているのだ。

 「休養に入った時から、次はアコースティックの楽器は入れないだろうとわかっていた。ガラリと変えたいって4人とも望んでいたんだ。それと僕たちはもう一度、ドラムが好きになったんだよ」(マーカス)。

 「それは自然なことだった。バンドを始めた時の感覚に近かったね。誰かがエレキ・ギターを弾いたら、そこにはやっぱりドラムが合うし、シンセやオルガンを足すことも理に適っている。意図的にそうしたんじゃなく、ただ相性の良い楽器を選んでいっただけのことなんだ」(ベン・ロヴェット、キーボード)。

 もとより彼らのスタンスは自由で、〈フォークカントリー・ベースのサウンドをロックっぽく鳴らしたら楽しいだろ!?〉といった思いつきから活動を始めている。ならば現在は現在のやりたいことをやるのが一番。バンジョーからエレキに持ち替えたウィンストンもこう話す。

 「自分が弾いてみたいと思った楽器を自由に弾けるっていうのは楽しいことさ。4人とも、望むことは何だってやれるって気持ちだったし、だから成果が上げられたんだ」。

 そう、本作はまぎれもなく、自由に楽しんで前進しようとするグループの姿勢の〈成果〉だ。音の鳴りは変わったが、持ち味は少しも失っていない……どころか、歌はより情熱と説得力を増して、抑制と昂揚の匙加減はより巧妙になり、その結果、広がりが出て、グッと深みが増した。道は続く。間もなく4人はライヴの場に帰ってくる。

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