Companhia de danca DEBORAH COLKER
シルク・ド・ソレイユ「OVO」も担当! ブラジル気鋭の女性振付家率いるカンパニー最新作 いよいよ日本初上陸!!
今から15年位前にはじめてブラジルでコンテンポラリー・ダンスの公演を見た時の衝撃はかなり強烈だった。それまで欧米のカンパニーのものは観ていた。そのイメージはモノトーンの衣装に無機質な舞台装飾、ダンサーの体は、特に女性は胸とお尻は出来るだけ押しつぶした極力凹凸の無い体型、というものだった。
しかしブラジルのカンパニーのそれは全く別のものだったのだ。カラフルなロッククライミングでもやるかのような舞台装置、女性ダンサーの体はブラジル人の大好きなお尻と胸がしっかり出ていてとくに太ももはかなり肉感的。ダンサーの体が気になって内容に集中出来ないくらいだ。それが私とデボラ・コルカーのMIXとの出会いだった。
ブラジル、リオデジャネイロのダンスカンパニー主宰、振付家のデボラ・コルカーは1980年代、ウルグアイ人グラシエラ・フィゲロアのカンパニーに属し、1990年代にはブラジル子供番組のキャラクターの振り付けやリオの有名サンバ・カーニバル・グループの先頭ダンサーの振り付け等も行っている。リオデジャネイロのオフィシャル・チームに2年間在籍したというバレーボールの選手としての経歴もある。
溢れ出るアイディアを表現するため1994年自身のカンパニーを設立。
VULCAOとVELOXを上演、好評を博す、これは後に1996年リヨン・ダンス・ビエンナーレで発表されたカンパニーの代表作品となるMIXの元となっている。1996年よりブラジルの石油会社ペトロブラスをスポンサーに迎えリオデジャネイロ、グローリア地区に自身のスタジオも構えるようになる。2001年優れた振り付けを認められイギリスで最も高い権威を持つその年に上演された優れた演劇・オペラに与えられるローレンス・オリヴィエ賞をMIXで受賞、ブラジル文化大臣賞も受賞している。2014年のワールドカップ・ブラジル大会のクロージング・セレモニーでのダンスの振り付けも担当、そして今年まで日本で上演されていた、カナダのシルク・ド・ソレイユの『オーヴォ』の振り付けも担当している。述べ132万人の来場者だったようだ。
2008年神奈川国際芸術フェスティバルの一環で神奈川県民ホールにて観覧車のような舞台装置が登場する「ルート」日本初演。
前半の平面を使った構成、と後半の立体を使ったそれとの違いに驚かされつつ、奇想天外な予想不可能な振り付けに魅了され、ブラジル文化同様、クラシックとコンテンポラリー、体と金属など様々な対照的なものの融合を表現し、大好評を得た。そして今回カンパニーの最新作「Belle(ベル)」の公演が舞台芸術専用ホール横浜のKAATで行われる。
1920年代にアルゼンチン系フランス人、ジョセフ・ケッセルによって書かれた小説「昼顔」を題材にしている。この作品は1967年シュルレアリスムの作品としてスペイン出身後にメキシコに帰化した監督、ルイス・ブニュエルによって、フランス人女優カトリーヌ・ドヌーヴ主演で映画化され、ヴェネツィア映画祭で金獅子賞を受賞している。
パリで幸せに暮らす夫婦医師のピエールと貞淑な妻セヴリーヌ。彼女は幼い頃の記憶から心に闇を抱えていた。ある日彼女は上流階級夫人達の娼宿の話を聞き、そこで昼顔の名前で働く事となる。ある若い客マルセルが彼女を本気で愛してしまい、彼女の夫を銃で撃った事で夫は全身麻痺となってしまう。その直後にマルセルは警官に銃殺される。偶然娼宿を訪れた近隣の友人が夫に彼女の昼の姿を伝えてしまう。それを夫に知られた事により心の闇からセヴリーヌは解放される。
この題材自体が、現実と幻想を行き来していて、そのテーマは二面性だ。バレエシューズからハイヒール、貞淑な妻から娼婦、充実と空虚。セヴリーヌとベルは別々のダンサーで演じられている。身体能力の高いダンサーが表現する情熱、愛と欲望、官能的なシーン、美しくエロティックな衣装、マイルス・デイビスやヴェルヴェット・アンダーグラウンドの音楽にのせた、今までのコンテンポラリー・ダンスの常識を逸したテクニックと表現。それは驚き発見の連続で強烈な印象を残す事となるだろう。
LIVE INFORMATION
デボラ・コルカー・カンパニー
『Belle(ベル)』
2015年10月31日(土)17:00開演
2015年11月1日(日)15:00開演
会場:KAAT神奈川芸術劇場 ホール
https://www.kaat.jp/