ありそうでなかった、と言うより、ついに出た。1919年に発明家レフ・テルミンにより発明された楽器テルミン。しかしその楽器がクラシックで使用されることは少なく、交響曲での登場や協奏曲といった曲に絞られていた。しかし1990年代に入り、米Moog社によりテルミンの開発が進んで以降状況が一変、今回のソナタをはじめ作品が多く生み出される土壌が出来上がった。このアルバムで演奏するエイクや、作曲のタルノフはそんなテルミン新時代の寵児といえよう。浮遊感だけでなく、しっかりとした音程を求められたりと、これまでの色物ではない、楽器としてのテルミンを楽しめる内容となっている。