ビョークと同じく、ハートブレイクを乗り越えて新たな〈ユートピア〉を見つけたそれぞれのドキュメント

二度と戻れない幸せな結婚生活への未練をアンビエント・テクノなオケに乗せたクリス・マーティンは、その1年後に過去の亡霊を振り払うべく、スターゲイトに全面サポートを要請して本作をドロップ。ノエル・ギャラガーやトーヴ・ロー、さらに元妻など多数のゲストを招き、エレクトロ・ファンクあり、EDMありのカラフルな音景色を広げています。鳥をモチーフにしたリリックが目立つのは、自由を謳歌しようという決意表明?
コールドプレイの2014年作『Ghost Stories』(Parlophone)

元旦那のデリック・ウィブリー(サム41)も裏方として関与したアコギ主体の2011年作『Goodbye Lullaby』は、〈ひとりでもやっていけるわ〉と強がる姿が痛々しかったものですが……。2人目の夫=チャド・クルーガー(ニッケルバック)と作ったこの移籍作では、爽快なパワー・ポップを軸にマリリン・マンソンとのデュエットやブロステップ調のキティちゃん讃歌など、超ノリノリに好きなモノを全盛り。泣くだけ泣いてスッキリしたら、以前よりパワーアップしちゃいました。
アヴリル・ラヴィーンの2011年作『Goodbye Lullaby』(RCA)

ゲーム中毒者やDV男など数々のろくでなしと付き合い、30歳を迎えた2015年にはとうとう望みのないハネムーンまで妄想するようになったラナ。どん底まで落ちて我に返ったか、〈生きることへの欲求〉を表題に掲げたこの最新作では、60sガールズ・ポップ的なコーラスやビートを現行のインディー・マナーに溶かし、にっこりと微笑みながら普遍的な愛の素晴らしさを説いています。痛みを乗り越えた彼女の歌が持つ説得力&優しさといったら!
ラナ・デル・レイの2015年作『Honeymoon』(Interscope)

CHVRCHES 『Every Open Eye』 Goodbye/Virgin EMI/HOSTESS(2015)
ジャーナリストとしての顔を持つローレンは、取材の応対も客観的かつクールなことで知られています。が、歌詞を書く際は感情剥き出し。実際、初作ではイレイジャー風の無機質な演奏とは裏腹に、恋人との別れを生々しくレポート。思いの丈を歌に込めたからこそ、過去を受け入れて未来へ進もうとする本作が誕生したのは言うまでもありません。そしてシンディ・ローパーを手本にグンと開けた音も作用し、グループはさらなる高評価を得ることに。
チャーチズの2013年作『The Bones Of What You Believe』(Goodbye/Virgin EMI)

GWEN STEFANI 『You Make It Feel Like Christmas』 Interscope/ユニバーサル(2017)
ホリデイ盤なのだからハッピーなのは当然ですが、それにしたって半数を占める書き下ろし曲はどれも歌詞を読むだけで赤面必至! ホーン&ストリングスを贅沢に配したオールドタイミーな音の上で、婚約者ブレイク・シェルトンへの愛を熱烈に告白しています。元夫に対する怒りや失意を前作にしたため、離婚という苦渋の決断をした先で見つけた新たな幸せ。ヴァレンタイン・シーズンもバッチリ盛り上げてくれるロマンティックな一枚です。
グウェン・ステファニーの2016年作『This Is What The Truth Feels Like』(Interscope)

誰が呼んだか〈失恋ソングのスペシャリスト〉……というのは、この2作目が出るまでの話。ドロドロの恋模様を曲にしてブレイクした彼女はデビュー時に膿を全部出し切り、オーガニックなバンド・サウンドからジェイク・ゴスリング製のエレクトロニックなビートに衣替えして、世の女子たちに〈もっと自分を愛そう〉と呼びかけます。手拍子もゴキゲンなエド・シーランとの共演曲など、〈面倒な恋愛はもうこりごり〉と言ってのける感じが素敵!
クリスティーナ・ペリーの2011年作『Lovestrong』(Atlantic)