音楽の都ウィーンを育てた、ハプスブルク帝国。黄金期に生まれた偉大な作曲家の名作の数々を聴く

 実力と人気を兼ね備えた指揮者、飯森範親がナビゲーターを務め、ゲストとともに昼下がりの銀座でクラシック音楽を堪能する〈飯森範親と巡る芸術〉。第2回目は、情感豊かな演奏と絶妙のトークで聴き手をとらえるピアニストの金子三勇士をゲストに迎える。題して〈19世紀ハプスブルク家と音楽家たち〉。

 ハプスブルク家の栄華を誇る時代にウィーンで花開いた芸術は、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、リスト、ブラームスら偉大な作曲家の作品が次々に世に送り出された黄金期。第1次世界大戦によってハプスブルク家が終焉を迎えるまで、数々の名作が誕生し、これらの作品は王族に愛され、またウィーンの人々の心を癒し、活力を与え、〈音楽の都ウィーン〉の活性化につながった。それらの名曲はいまなお世界中の人々に愛され、クラシックの王道をいく作品としてウィーンの歴史と伝統を伝えることに大きな役割を果たし、音楽のみならず文化をも伝えてくれる。

 飯森範親はベルリン留学を経て、いまや国内外のオーケストラを幅広く指揮。オペラとシンフォニーを両輪とし、オーケストラをダイナミックに革新性をもって指揮し、作品に新風を吹き込んでいる。金子三勇士はハンガリーと日本の血を引き、リストを得意とするピアニスト。ふたりがウィーンの黄金期を彩った多彩な作品を紹介し、芸術家たちのストーリーにも触れる。会場のヤマハホールは木造りの美しい響きを特徴とし、音楽がまろやかな音色となって聴き手に届けられる。

 プログラムはモーツァルトの“トルコ行進曲”からスタート。シューベルトの歌謡的な旋律を存分に生かした即興曲、“楽興の時”と続き、ベートーヴェンの“悲愴ソナタ”が奏され、ブルックナー、リスト、ブラームスの名曲を経て、リストの“ハンガリー狂詩曲”でフィナーレを迎えるという趣向。まさに金子三勇士の真骨頂を存分に聴き取ることができる。

 その温かな音色を全身にまとった後は、ヤマハホールのすぐ近くに位置するワールド資生堂ホールにおいて、アフタヌーンパーティーが行われる。ここでは飯森範親と金子三勇士のトークに耳を傾けながら、美味なるアフタヌーンプレートを味わうひとときが待っている。〈心とからだに栄養を与える〉この妙なる時間。上質な音楽は人を豊かにし、無上の喜びを与えてくれるもの。エレガントで上質なひとときは、しばし日常を離脱し、別世界へと運ばれる感じ。至福の大人の時間をぜひ!

 


LIVE INFORMATION
Elegant Time Concert ~上質な時間を貴方に~
飯森範親と辿る芸術 Vol.2 金子三勇士(ピアノ)を迎えて
~19世紀のウィーンを支えた音楽家たち~

2018年3月13日(水)東京・銀座 ヤマハホール
開場/開演:12:30/13:00

■出演
ナビゲーター:飯森範親(指揮者)
演奏:金子三勇士(ピアノ)

■曲目
W. A. モーツァルト/ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 「トルコ行進曲付き」 K.331 より 第3楽章
F. シューベルト/即興曲集 Op.142, D935より第2番 変イ長調
F. シューベルト/楽興の時 Op.94, D780より第3番 ヘ短調
L. V. ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調「悲愴」 Op.13
A. ブルックナー/思い出 変イ長調 WAB.117
J. ブラームス/ワルツ集 Op.39より第15番 変イ長調
F. リスト/パガニーニ大練習曲より第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」
F. リスト/コンソレーション(慰め) より 第3番 変ニ長調
J. ブラームス/ハンガリー舞曲集より第5番
F. リスト/ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調

https://www.yamahaginza.com/hall/