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ロイ・エアーズの当連載的名盤を紹介!

紙幅の都合で掲載は70年代からの作品に限っているが、そうじゃなくても転機としてわかりやすい作品はこれだろう。ポリドールに移籍して70年代の扉を開き、スライらの影響も垣間見せるミクスチャーなファンクネスを快く響かせた一枚。アレンジや曲作りのブレーンとなるエドウィン・バードソング、ハリー・ウィテカーら演奏陣が揃ったのも重要で、表題はこの後バンド名に発展する。 *出嶌

 

ロイがスコアを手掛けた、パム・グリア主演映画のサントラ。オープニングで流れる“Coffy Is The Color”やエンディング・テーマ“Shining Sy­mbol”などカール・クレイと共作した疾走ジャズ・ファンクはヴァイブの音色も鮮やかなロイの真骨頂だ。和み系のメロウ・チューンも快演で、“Coffy Baby”ではソロ・デビュー直前のディー・ディー・ブリッジウォーターが熱を込めて気高く歌い上げる。 *林

 

ROY AYERS UBIQUITY 『A Tear To A Smile』 Polydor(1975)

後に4ヒーローがカヴァーしてディーゴがレーベル名にもしたスピリチュアル路線の“2000 Black”をはじめ、レアグルーヴ以降の評価に繋がっていくような粋でメロウなジャズ・ファンクがグルーヴィーに展開されていく。涼やかなEW&Fのカヴァー“The Way Of The World”、ディー・ディー・ブリッジウォーターの歌唱が素晴らしい“Time And Space”もここに収録。 *出嶌

 

ROY AYERS UBIQUITY 『Everybody Loves The Sunshine』 Polydor(1976)

いまではメアリーJ・ブライジの“My Life”とセットで記憶されている気怠くメロウな表題曲でお馴染みの代表作。ユビキティに加入したフィリップ・ウーのシンセによって、ジャジーな“The Third Eye”のほか、“The Golden Rod”のようなパーカッシヴなジャズ・ファンクにも洗練が加わった。ジノ・ヴァネリの“Keep On Walking”を原曲以上のメロウネスで聴かせる洒脱なセンスに惚れる。 *林

 

RAMP 『Come Into Knowledge』 ABC Blue Thumb/Pヴァイン(1977)

サタデイ・ナイト・スペシャルと名乗っていた男女5人がランプ(Roy Ayers Music Productionの略)名義で録音。ロイやエドウィン・バードソングらの制作で、ATCQネタのジャジーな“Daylight”、エリカ・バドゥがリメイクしたファンク“The American Pr­omise”を含み、ループ感のあるタイトな演奏と共に魅惑的な歌を聴かせる。“Everybody Loves The Sunshine”はユビキティ版以上に神秘的だ。 *林

 

ソウル・チャートにおいてもTOP10入りを記録したロイ・エアーズ・ユビキティ名義での最終作。後にATCQ“Bonita Applebum”などで使用されるサンプリング定番“Running Away”はこちらに収録されている。エドウィン・バードソングとウィリアム・アレンが共同プロデュースを手掛け、ディスコ方面に届きうる親しみやすさを増しているような印象。同年のランプ作とも比べて聴きたい。 *出嶌

 

ROY AYERS 『Let’s Do It』 Polydor(1978)

ディスコ・ブームに呼応しつつ自身の歌にもこだわったヴォーカル濃度の高い一枚。ウィリアム・アレンのサポートを受け、バーナード・パーディらが叩き出すビートやフィリー・ソウル風のストリングスに支えられてノビノビと歌っていく。後にニューヨリカン・ソウルとの共演で蘇るハウス調の“Sweet Tears”、パーカッシヴなディスコ・ファンク“Freaky Deaky”のインパクトが強い。 *林

 

ROY AYERS PRESENTS UBIQUITY 『Starbooty』 Elektra(1978)

フィリップ・ウーやリッキー・ローソン、フスト・アルマリオらを含むユビキティが独立バンドとして放った唯一のアルバム。制作はロイで、ディスコな表題曲を筆頭にファンキー&メロウな美学が貫かれているが、各演奏陣の個性がくっきりと浮かび上がる。紅一点のシルヴィア・コックスも活躍し、“Love Is Love”ではミスティックな女声を披露。ウノ・メロディックの青写真的な一枚だ。 *林

 

EIGHTIES LADIES 『Ladies Of The Eighties』 Uno Melodic/Expansion(1980)

ウノ・メロディック第1号アルバム。シルヴィア・ストリップリンをはじめ、デニー・コルベットやマーヴァ・ヒックスら実力派で結成された女性5人組が、ロイとエドウィン・バードソングが制作したアーバンなディスコ・ダンサーを魅惑的かつ力強いリードとユニゾンのコーラスで歌う快作だ。ロイの猥雑さを洒脱なムードに昇華したミディアム・スロウ“He Is Mine Forever”も絶品。 *林

 

ROY AYERS 『Africa, Center Of The World』 Polydor(1981)

前年のフェラ・クティとの共演盤『Music Of Many Colours』に続く一作。そこに収録されていたフェラ作の表題曲を我流で披露する一方、都会的なディスコの佳曲“Land Of Fruit And Honey”や小粋なダンサー“There's A Master Plan”もあってジャケまんまの雰囲気には終わらない。オマー・ハキムらのタイトな演奏、エイティーズ・レディーズ組のスムースな歌唱も心地良い。 *出嶌

 

SYLVIA STRIPLIN 『Give Me Your Love』 Uno Melodic/Pヴァイン(1981)

ノーマン・コナーズのアクエリアン・ドリームでも歌っていた歌姫がエイティーズ・レイディーズ参加直後に放ったソロ作。ロイとジェイムズ・ベッドフォードの制作で、コケティッシュな歌声でメロウなディスコ・ダンサーを披露する。サンプリング・ソースの定番でもある浮遊系ミディアム“You Can't Turn Me Away”、ダイアナ・ロスに通じるダンス・クラシックの表題曲が目玉。 *林

 

VARIOUS ARTISTS 『The Best Of Uno Melodic Records』 Expansion(2018)

80~83年という短命で終わったウノ・メロディック(と傍系のゴールド・ミンク)のコンピで、アルバムに至らなかった面々もだいたい把握できる便利盤。エセル・ビーティの“I Know You Care”や曲名まんまなジェイムズ・ベッドフォード“Just Keep My Boogie”といったフロア曲が耳を惹く一方、ボビー・ハンフリーのファンキーなフルート曲“Baby Don't You Know”もかっこいい。 *出嶌

 

ROY AYERS 『Silver Vibrations』 Uno Melodic/BBE(1983)

ポリドールとの契約を終え、ウノ・メロディックから放った本人作。同年にUSで出した『Lots Of Love』の内容を一部変更したUKオンリー盤で、80年代型に進化させた、腰が浮き立つようなダンス・ナンバーを披露する。シカゴやワシントンDCの地名を謳った曲や女声リードのトライバルなディスコ、スティーヴィー ・ワンダー風のコード進行に酔わされる美しいスロウなど充実の内容だ。 *林

 

コロムビア移籍第1弾。スタンリー・クラークとの共同制作を中心とした作品で、当時らしい打ち込みによるダンス・ビートの曲が並ぶが、それゆえにロイの流麗なヴァイブ・プレイが際立つ。グローヴァー・ワシントンJrやトム・ブラウンの参加でフュージョン感覚も強まった。スポークンワーズを交えたブラコン風の“Poo Poo La La”は後半でミキ・ハワードがソウルフルに絡んでくる。 *林

 

ROY AYERS 『You Might Be Surprised』 Columbia(1985)

当時絶好調のジェイムズ・エムトゥーメイに半分ほどのプロデュースを委ねたコロムビア第2弾。シンセとドラムマシーンの醸すトワイライト感とタワサらの歌唱が重なれば完全にエムトゥーメイ式ブギー・ファンクだが、80年代らしいクールさがホットな良曲揃いなのは間違いない。ロイ主導曲ではドン・ブラックマンが手腕を発揮し、ジーン・カーンを迎えたミディアムの表題曲が良好。 *出嶌