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黄金期のハッシュが残した名盤たちと、その同時代を彩った名品たち

FREDDIE JACKSON 『Rock Me Tonight』 Capitol/ユニバーサル(1985)

メルバ・ムーアのバック・コーラスから出世してハッシュの黄金時代を牽引することになったシンガーの初作。マーヴィン・ゲイ“Sexual Healing”の打ち込みマナーを進化させたポール・ローレンス製の大名曲“Rock Me Tonight (For Old Times Sake)”は多くの追随者を生む80sブラコンのひとつの頂点に。大半を手掛けたバリー・イーストモンド作の“Love Is Just A Touch Away”も名曲。 *出嶌

 

MELI’SA MORGAN 『Do Me Baby』 Capitol/ユニバーサル(1985)

ハイ・ファッションなどの活動を経てハッシュ入りしたクイーンズ出身シンガーのソロ・デビュー作。パッションのある甘い歌声とリセット・ウィルソンらによる都会的なサウンドがクールにマッチし、ポール・ローレンスが手掛けた表題曲(プリンスのカヴァー)はR&Bチャート首位をマークした。後にジェイ・Zがネタ使いして再評価される“Fools Paradise”など、過不足なく佳曲が揃った名品だ。 *出嶌

 

KASHIF 『Send Me Your Love』 Arista/FTG(1984)

ハッシュ・サウンドの基盤固めに貢献し、そのセンスを多方面に撒き散らした才人のセカンド・アルバム。バック・ヴォーカルにリロ・トーマスやメリッサ・モーガンを従えてキビキビしたアップやロマンティックなラヴ・バラードを歌い、特に後者ではハッシュの何たるかを教えてくれる。後にプロデュースで関与するホイットニー・ヒューストン、ケニーG、ララをゲストに招聘。 *林

 

MELBA MOORE 『A Lot Of Love』 Capitol/ユニバーサル(1986)

ハッシュの女帝。キャピトル時代最大のヒット作で、旧知のジーン・マクファデンが手掛けた“A Little Bit More”と“Falling”の2曲がR&Bチャート1位を記録している。前者はフレディ・ジャクソンとの共演だが、本作にはカシーフとのデュエット“Love The One I’m With (A Lot Of Love)”も収録。ハッシュ勢総出で主役の華やかな歌声をバックアップした記念碑的な作品だ。 *林

 

THE CONTROLLERS 『Stay』 MCA/ユニバーサル(1986)

70年代はTK一派だったアラバマ出身のヴォーカル・グループによるMCA移籍第2弾。ハッシュ・プロの所属ではないが、ボー・ハギンズが総指揮を務め、バリー・イーストモンドをメイン・プロデューサーに起用してハッシュ・マナーに染め上げたアーバンな一枚だ。表題曲はTR-808使いのスロウ・グルーヴ。ジェフリー・スミスも助力し、アップにはカシーフの影響も。 *林

 

PAUL LAURENCE 『Haven’t You Heard』 Capitol/FTG(1985)

ハッシュを代表する名匠。ソロ・デビューを果たした本作では、ハッシュ・サウンドのエッセンスを散りばめながらアグレッシヴなファンクとポップなバラードを繊細かつエモーショナルな歌声で聴かせる。同年にデビューした舎弟のフレディ・ジャクソン、リロ・トーマスを招いた“She’s Not A Sleaze”は、音楽制作集団としてのハッシュ・プロの旗揚げ的なミディアムだ。 *林

 

RAY,GOODMAN & BROWN 『Take It To The Limit』 EMI America/ユニバーサル(1986)

スウィート・ソウルを代表するグループ(元モーメンツ)がハッシュ・プロダクションズの援護を受け、EMIに移籍して放ったアルバム。ラーニ・ソングの制作でナジーのサックスが絡むドゥワップ・テイストのタイトル曲がR&Bチャート8位を記録して注目された。ウィリアム・ラインハートやジーン・マクファデンが彼らの甘茶感をハッシュらしい80sテイストで蘇らせている。 *林

 

BEAU WILLIAMS 『No More Tears』 Capitol/ユニバーサル(1986)

テンプテーションズを惹きつけ、ノーマン・コナーズの作品でも歌声を響かせた実力派。この4作目ではハッシュ・プロダクションズの援護を受け、ウィリアム・ラインハート、ロイヤル・ベイヤン、マクファデン&ホワイトヘッドという新旧ハッシュ勢がソリッドなアップやロマンティックなスロウを手掛け、主役のソウルフルな歌を盛り立てる。ヴァニース・トーマスもコーラスで参加。 *林