
PEOPLE TREE
耳で聴いたピープル・トゥリー
アヴリルにとって、音楽家としてのキャリアを歩むきっかけを作ってくれた恩人と言うべき存在にあたる同郷カナダはオンタリオ州のシンガー。2022年のシャナイアを讃える授賞式でアヴリルが歌った“No One Needs To Know”は、この大ヒット・アルバムとなった2作目に収録。軽妙さが愉しいポップ・カントリーの佳曲だ。
ウィーザーやファウンテインズ・オブ・ウェインらと2000年頃のパワー・ポップを盛り上げたウィータス。本作収録のロック・クラブ・アンセム“Teenage Dirtbag”でも特徴の、ヒップホップ的なリズムとハードロッキンなギターを重ねつつ、青臭いメロディーをシャウトするスタイルは、以降に多くのフォロワーを生み出し、アヴリル初期にも繋がる。
日韓英語を操るトリリンガルのラッパーは、自身の母親と同列に、アヴリルを〈やりたいことを貫いて輝く姿に憧れた〉と語る。こちらは、そんな彼女の4作目。トラップやラテンなどグローバルなポップ・トレンドを反映したトラックとY2K的なギター・サウンドが巧みなバランスで混ざっており、特に“TOKYO 4AM”は絶妙だ。
『Love Sux』前後は、リア・ケイトやキャシエットといった初期のアヴリルを彷彿とさせるパンキッシュな作風のポップ・シンガーの登場が目立ったが、彼女もそのひとりと言えるだろう。この初作は、“Sk8er Boi”然とした“Cages”も備えつつ、デカダンなサウンドはパンクと言うよりエモ。『Let Go』以上に『Under My Skin』寄りだ。
いま振り返っても2021年序盤に『Let Go』オマージュ?なジャケットをあしらったのは早かったし、トレンドへの感度ではなくまっすぐな愛情が透けて見えた。マンチェスター発の4人組による2作目は、2000年代のリンダ・ペリー仕事にも通じる整理されたバンド・サウンドが魅力。この切ないキラキラ感こそがY2Kポップの肝では?
ブリンク182のドラマーであり、プロデューサーとしても大活躍中のトラヴィスはポップ・パンク視点からのアヴリル再評価を確立させた最大の立役者だろう。本作は、ソロ名義では現状唯一のアルバム。多数のラッパーを含む豪華な面々が参加したミクスチャー要素の強いラップ盤で、なんともロウな音にストリート感が宿っている。
〈服装も音楽もやりたかったことを先にやられた〉と登場時のアヴリルを振り返るカエラだが、実は二人は同い年。2011年には揃って〈サマソニ〉に出演した。本作は、岡村靖幸やチャットモンチーらと洋楽ヒットを取り上げたカヴァー集。CSSとポップ・エトセトラの海外勢も参加していて、アヴリルにも声が掛かったのかな?と思わなくもない。
ミリオンセラーを記録した表題曲はもともと『Let Go』用に書かれており、そのため共作者にアヴリルの名前が並んでいることは有名な話だが、2022年、『Let Go』の20周年記念盤に合わせて、ついにアヴリルが同曲を録音。グランジーで陰りのある音作りに、ケリー版のホーリーなポップネスを再認識したり。
往時の4ADや中期クリエイションに通じるサウンドを鳴らしてきた東京発のインディー・ロック・バンドが、オルタナやインダストリアル~ポップ・パンクを昇華したセカンド・アルバム。Erika Murphyのアヴリルっぽいヴォーカルが、突き抜けたキャッチーさを楽曲に運んでいる“One Last Girl”や“Honey”からどうぞ。
84年生まれで、90年代に多感な時期を過ごしたアヴリルは、やはりその時期にラジオなどでよく流れていたバンドに思い入れが深いようで、グー・グー・ドールズやクランベリーズなどと共にオアシスの本作収録曲“Wonderwall”を、〈昔からのお気に入りの1曲〉に挙げていた。彼女が〈ギターで弾けるようになった初めての曲〉だそう。
このスネイル・メイルを含めフィービー・ブリジャーズやサッカー・マミーといったインディー畑からのラヴコールも近年のアヴリル再評価を後押ししたことは間違いない。この2作目はバンド・サウンドが整理され、ややメインストリーム寄りのプロダクションに。みずからの恋愛経験を率直に歌うところもアヴリルに触発されているのかも。










