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キッスのリアルな魅力と特別な物語を刻んだ衝撃作

しかし、そうした裏事情についてはさておき、この『Alive!』が従来のスタジオ作品以上にキッスの魅力をリアルに伝えるものになったことは間違いない。実際、メンバーたちもそれまでのアルバムでのサウンドに納得できておらず、それがセールス不振の理由だと考えていたようだ。そして結果、このライブ作品は全米チャートで最高9位を記録するヒットとなり、“Rock And Roll All Nite”のライブバージョンによるシングルも12位まで上昇。それによってキッスの知名度は一気に広がることになった。実際、筆者自身も同シングルの音源を初めて耳にした際、スタジオ音源との迫力の違いに驚かされたものだった。同じような衝撃を味わったリスナーが、世界各地にたくさんいたことだろう。

この『Alive!』のヒットは、それまで資金面での問題を抱え、オーコイン個人のクレジットカードを食い潰しながら自転車操業的な活動を続けていたキッスを取り巻く環境の改善にも繋がり、充分な予算を費やしながら制作された『Destroyer』ではサウンドプロダクションも格段に向上。同作はバンドの黄金期を象徴する作品のひとつとなった。そして、キッスをそうした状況へと導いたのが、この『Alive!』だったのである。発売から50年が経過した今も、その輝きには彼らの他のアルバムとはひと味違うものがあるし、特別な思い入れを抱き続けているファンも多いはずだ。それは、〈熱心なファンの声援がこのアルバムを生み、それがキッスを不遇の時代から脱出させた〉という物語が透けて見えてくるからでもあるのではないだろうか。