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一貫性がない音楽活動を経て細井徳太郎の中に残ったもの

――あと、今、音楽を作るのが、バンドですらデータのやりとりで完結しちゃうことも多いじゃないですか。でも、集まってなにか雑談したりするとして、その時の会話の内容とかその場の空気とかって、やっぱり音楽に入ってくると思うんですよ。

細井「そうですね」

――演劇もやっぱり集団創作だから、それと同じことが、今回もあるんじゃないかと。というか、そうなったら面白いし、そうなりそうだと稽古を拝見していて思いました。今まで色々な劇団の稽古を見学してきましたけど、ヌトミックはその中でもダントツに民主的。俳優から「ここ、こうしてみたらどう?」という提案がよく出てくるし、額田さんもそれを拾う。強権的なトップダウンとは対照的に、色々な人の意見を汲み取って作品に昇華しているのがヌトミック及び額田さんのクリエイションの特徴だと思います。

細井「異議なし! ということで……」

額田「あっ、(取材が)終わりの雰囲気だけど僕から聞きたいことがあります。細井君は即興演奏から歌ものまで、かなりジャンルを横断してるじゃないですか? 音楽をやる上でバランスを取っているのか、それとも取らないでやってるのか。それは気になりますけどね。そこは一貫性があるのか、逆になくてもいいと思っているのか」

細井「うーんと、多分今の俺と3年前ぐらいの俺とで違うと思うんだけど、3年前ぐらいの俺は、一貫性を持たないようにしていた。ザルじゃないけど、自分の頭から出てきたものをなんでもかんでもやるようにしてたし、それができていた。でもそれは、やってはいけないことだったかもしれない。結構しんどかったから。ただ、ザルの中にちょこっと残ったものがあって、それは自分の中で大事なものなんだなっていうのもわかって。そのちょこっとの部分を大事にしている。それが筋になってるから。

だから、変な言い方だけど、今は自分で自分を可愛がってやってるって感じかな。だから、自分の中で本当に大切だと思えることを大事にしながら音楽をしていく、という点で一貫性を持つようにしてるのかな」

 

戯曲という特殊なメディアに許される特権性

――細井さんから質問は?

細井「じゃあ一個だけ。演劇、どういうところが好きなの(笑)?」

額田「うーん……。あ! 戯曲が好きですね。戯曲はやっぱりすごくいいものだと思うんですよ」

――小説とは違う読み物のジャンルとして。

額田「それももちろんあるし、あとは、観客が目の前にいることで語れる範囲が小説と違う。小説もその範囲は広いけど、戯曲には別の広がりがあるというのかな。で、戯曲って小説ほど正直読まれないし、演劇もどんどん分かりやすい脚本が目に入るようになってきてるんだけど……。本当にぶっ飛んだテキスト、つまり戯曲が世の中にいっぱいあるってことが、やっぱいいなって思うんですよね。人が見ていることを利用して何かを演じられる。それって音楽の世界でもあるじゃないですか」

――戯曲はその可能性がとにかく広いと。

額田「そうですね」

細井「なるほど」

額田「あと、今、何かを作る時、受け手側が意味が分かることが重要視されすぎている気がします。似たようなことで、同じ集団の中でもみんなが良いと思ったものを選択して上演するような。

でも、戯曲って作家がある意味好き勝手に書きたいことを書けるっていう性質があって。言葉にするのが難しいけど、ある種の特権性みたいなものが戯曲には内包されていて、それは多分、書かれた言葉というメディアだから許容されていると思うのですが。その言葉をどう上演するか、どれだけ奇妙でも書かれた言葉を信じながら物事が進んでいくという、特殊なメディアだと思います、本当に」

――額田さんは今年、いわき総合高校の生徒たちと演劇(「白い夜の多さについて」)を作りましたけど、あの高校の子たちはいまだにシェイクスピアとかをやったりしていたわけで。

額田「そうそう、そこが戯曲の面白さですよね。あまりない例な気がする。演劇の可能性の一つだと思いますね」

細井「なるほどね。わかったというか、額田くんが伝えてくれたことを考えたり、自分でも話してみたり、色々と勉強になった気がするよ。今日はありがとう」

 


INFORMATION
世田谷パブリックシアター フィーチャードシアター
ヌトミック『彼方の島たちの話』

作・演出・音楽:額田大志

2025年11月22日(土)-30日(日)
会場:シアタートラム

遥か彼方の生と死が繋がり出す、演劇カンパニー・ヌトミックが描く新作音楽劇。

父の弔いのために海岸へ訪れた私は、とある女性と出会う。この景色に見覚えがある、と呟く女性は、ふとしたことから1万年前の記憶を語りだす。思い出を辿って現れる人々は口々に話しだし、出会うはずのない物事が重なり合い、混線した記憶の中、私たちは船を漕ぎ出して……。

全編を通じた生演奏とラップのような語り、歌と台詞の境界を行き来する声により、日本語音楽劇の新たな地平を切り開く。遥か遠い死への眼差しを描いた、ヌトミックの新作公演!

■出演
稲継美保、片桐はいり、金沢青児、東野良平、長沼航(ヌトミック)、原田つむぎ(ヌトミック)
ギター:細井徳太郎 ベース:石垣陽菜 ドラム:渡健人

■公演スケジュール
2025年
11月22日(土)18:00
11月23日(日)13:00
11月24日(月・祝)13:00
11月25日(火)休演日
11月26日(水)19:00
11月27日(木)19:00
11月28日(金)14:00
11月29日(土)13:00・18:00
11月30日(日)13:00
*ロビー開場は開演45分前、開場は開演30分前
*一部公演にてアフタートークを開催予定

■チケット発売
一般発売:2025年9月6日(土)10:00 ※早割は9月30日(火)まで
世田谷パブリックシアター友の会先行:2025年9月4日(木)
せたがやアーツカード先行:2025年9月5日(金)

■料金(全席指定)
一般:早割 4,500円*/前売 5,500円/当日 6,000円
U30(30歳以下):前売 3,500円/当日 4,000円
U18(18歳以下):前売 1,000円/当日 4,000円
世田谷パブリックシアター友の会割引:4,500円*(前売のみ/要事前登録)
せたがやアーツカード割引:5,300円*(前売のみ/要事前登録・世田谷区在住の方対象)
*=枚数限定

[車椅子スペースのご案内](定員有・要予約)
料金:一般料金より10%割引(付添者は1名まで無料)
申込:劇場チケットセンター03-5432-1515へ(先着順)

[託児サービスのご案内](定員有・要予約)
料金:2,600円
対象:生後6ヶ月以上9歳未満(障害のあるお子様についてはご相談ください)
申込:ご利用希望日の1週間前までに劇場HP〈託児サービスお申込みフォーム〉からのお申込み

■取り扱い
・世田谷パブリックシアターチケットセンター
03-5432-1515(電話・窓口:10:00〜19:00、発売初日は電話のみ) https://setagaya-pt.jp/
・イープラス
・ローソンチケット
・演劇最強論-ing〈会員登録不要・各種手数料無料〉
*U18は劇場チケットセンター、演劇最強論-ingにて取り扱い。
*U30、U18をご予約のお客様は当日要証明書提示。
*未就学児はご入場いただけません。

■会場
シアタートラム
〒154-0004 東京都世田谷区太子堂4-1-1 Tel. 03-5432-1526
三軒茶屋駅[東急田園都市線(渋谷より2駅・5分)・世田谷線]より直結

■お客様お問い合わせ
ヌトミック
Mail:nuthmique@gmail.com

■スタッフ・クレジット
作・演出・音楽:額田大志
音響:稲荷森健
照明:松本永(eimatsumoto Co.Ltd.)
照明操作:佐々木夕貴(eimatsumoto Co.Ltd.)
舞台美術:佐々木文美
衣裳:臼井梨恵
舞台監督:中西隆雄
演出助手:中野真由子
宣伝美術:関川航平
広報:冠那菜奈
制作:河野遥、清水聡美

イマーシブオーディオ技術協力:株式会社ヤマハミュージックジャパン、ヤマハサウンドシステム株式会社

協力:スターダストプロモーション、劇団「地蔵中毒」、MASH、東京デスロック、散策者、快快(FAIFAI)、モモンガ・コンプレックス、青年団、みんなのひろば、急な坂スタジオ

助成:アーツカウンシル東京[東京芸術文化創造発信助成(単年助成)]芸術創造活動
公益財団法人セゾン文化財団
提携:公益財団法人せたがや文化財団 世田谷パブリックシアター
後援:世田谷区
企画制作・主催:ヌトミック

※フィーチャード・シアターとは
世田谷パブリックシアターが新たな才能と出会うために2024年度からスタートしたプログラム。白井晃芸術監督の推薦するアーティストやカンパニーが〈フィーチャード・シアター〉として招聘され、劇場のサポートを受けながら公演を行うことができる。

 


PROFILE: 額田大志
作曲家、演出家、劇作家。1992年東京都出身。東京藝術大学在学中にコンテンポラリーポップバンド〈東京塩麹〉結成。2016年より演劇カンパニー〈ヌトミック〉を率いる。〈上演とは何か〉という問いをベースに、音楽のバックグラウンドを用いた劇作と演出で、音楽劇の枠組みを拡張していく作品を創作している。