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「BURRN!」編集部は放任主義?

――メタルについて書きはじめた経緯も教えてください。

西山「私はメタルの曲をカバーするNHORHMというバンドを始めてから、『ヘドバン』で書かせてもらうようになったんです。アンケート企画や自分のブログで書いているうちに、編集長から依頼を受けるようになって。

その後、NHORHMの2枚目と3枚目の間が2年空いたので、ディレクターの阿部淳さんに〈繋ぎとしてMikikiでなんか書いて〉と言われ、〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉が始まりました」

――BABYMETALの登場も大きかったのではないでしょうか?

西山「そうですね。ベビメタのことを書いていたから自分のブログも読まれました。ベビメタと出会う前は能動的にメタルを聴いていなかった時期でしたが、ベビメタを聴いて若いサポートミュージシャンたちの演奏にびっくりして」

――清家さんがライターとしてものを書きはじめたきっかけは?

清家「音楽系の書籍を読むのが好きで、編集をしたいなと思って就活で出版社を受けました。そんななか、シンコーは『BURRN!』を出しているし、よく読んでいたので受けて。面接で好きなジャンルを聞かれて、〈デスメタル〉と答えたら〈珍しいね!〉と驚かれました(笑)。後日、〈2次面接の代わりに『BURRN!』の編集長と面談して〉と言われ、そこでメタルオタクなしゃべりをしたら最終的に『BURRN!』編集部に配属になって。

配属された当時は大学のレポートぐらいしか文章を書いたことがなくて、仕事としていきなり書きはじめたんです。でも当初から文章について指摘されることはほとんどなく、わりと放任でしたね(笑)。不安になって、フリーになったタイミングで岡村詩野さんの音楽ライター講座を受講しました」

西山「メタルの編集者やライターは同じ人がずっと書いているから新人がいままでとちがうことを書いてくれたのがよかったんだと思いますよ」

――「BURRN!」編集部は新人指導も厳しいのかと勝手に思い込んでいました。

清家「いえ、エクストリーム方面はかなり任せてくださっていました。なので、やりやすかったですね。〈この人はメロデス、この人はスラッシュ〉と管轄が決まっていたので、DEVILOOFを取り上げたり、ムック『BURRN! PRESENTS BASTARDS!』を作ったときはブリング・ミー・ザ・ホライズンを表紙にしたり、新しい音楽はやりたいようにできていて」

『BURRN!PRESENTS BASTARDS! Vol.1』 シンコーミュージック(2020)

――清家さんのアイデアや企画を肯定してくれる自由な環境だったんですね。

清家「Twitter(X)では昔からの読者の方に〈『BURRN!』はデスメタルを叩いていたぞ〉と言われたこともありましたが、〈それ、私が生まれる前だしなあ〉と思って(笑)。編集部内ではそんなことはなかったですね」

――清家さんはメタル以外のジャンルについても書いていますね。

清家「なんでも好きなんです。アニソンを聴いていたおかげか、ラップも電子音楽も聴いておもしろければなんでも書きます。ただ散漫になっても〈どのジャンルも浅い人〉になっちゃうので、最近はメタルに集中していますね」

 

偏ったライターのジェンダーバランス

――Mikikiの編集をしていて、女性ライターの少なさは悩みどころです。メタルはよりその傾向が強いと思います。

西山「90年代はそれが当たり前だったので、和田信一郎さんが監修した『現代メタルガイドブック』の執筆者は女性が多かったから、時代が変わったなと感じました。メタル自体、男社会なので、和田さんは意識的に女性の書き手に依頼したんだと思います。私は本業がジャズミュージシャンだから、ジャズライターも男女比率は偏っているなと感じますね」

和田信一郎 『現代メタルガイドブック』 ele-king books(2022)

――私もジャズの仕事は多いのですが、恥ずかしながらジャズについては女性ライターと仕事をした経験がかなり少ないです。それと、清家さんの世代でも女性の書き手は少ないですよね。

清家「そうですね。音楽ZINEの『痙攣』では、第2号以降は編集長の李氏さんがジェンダーバランスを考えて、私も編集者として協力しました。ヒップホップやJ-POP、アイドルでは女性が多いと思います。激ロックでは、V系と並行してラウド系も聴いている女性の方が書いていることがありますね」

――70~90年代の洋楽ロックだと、女性ライターがたくさん書いていた印象があります。

西山「クラシックだと自分で演奏していた人が多いですし、女性ライターはいますね。青柳いづみこさんの存在が大きいとは思います。でもメタルとなると、周囲の女性とメタルについてしゃべったことすらないしなあ」

清家「そもそも男性でも、若いメタルの書き手がいないですね」

――ライター自体、若手が減っていると感じます。

清家「Xやブログ、noteで書いてきた方に商業媒体で書いてもらうと、ルールがちがうから編集者が文章を直すのが大変なんですよね。それもネックだと思います」

――そうですね。いまはSNSに文章をいくらでも投稿できますし、YouTubeやポッドキャストでしゃべることからスタートする方も多いです。