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タツロー自身のハーモニーワークが肝!

話を“DREMING GIRL”に絞ろう。遠い記憶を呼び起こすオルゴールふうのイントロでのそれをはじめとし、しなやかさと格調高さを兼ね備えたタツロー自身のハーモニーワークがこの曲の肝だ。全編で静かに敷き詰められているコーラスの波が楽曲に得も言われぬ重厚感を与えていて実に素晴らしい。また自身の手によるストリングスアレンジも、豊潤さと澄み切った清涼感を湛えているだけでなく、夏の午後に差し込む淡い翳りのようなものをどこか感じさせたりもするのだが、サウンドに溶け込んだ淡い季節感の表現はここにきて大いに冴え渡っている。

そして主役とも言える彼の歌唱はというと、鼻にかかった粘り気のあるボーカルが独特なリバーブ感に包まれてめくるめく響きを空間いっぱいに広げていく。それが、松本・山下コンビにとってうってつけのシチュエーションと言える雨上がりの情景に瑞々しい陰影を与えているのだ。また、松本ならではの言葉の配置によって生み出された独特なリズムも見逃せないもので、優れたモンタージュで構成された映像作品を観ているような感覚すら抱かされる。山下自身が操るグロッケンをはじめとする打楽器類のチャーミングな音色が、ドリーミーな佇まいをしたアメリカンオールディーズの名曲たちを想起させるところも見逃せない。

 

全曲、このコンビ作で固めた作品が作られたら……

とにかく初めて耳にした30年前から印象の誤差がまったく生じてないところ。その事実にただただ恐れ入ってしまう。これから先も変わらず超然とした存在感を放ち続けるに違いないこの曲に対する現在のタツロー氏の思いは、来たる『COZY』の30周年あたりにでもあらためてキッチリ語られるはずなので楽しみにしたい。

そういえば、松本・山下コンビ作を4曲収めた『COZY』の頃のインタビューで、全曲コンビ作で固めた作品が作られたら、ものすごいコンセプチュアルなアルバム、いわば自分にとってのビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』ができるんじゃないかという予感がしている、なんて未来への展望を彼が口にしており、思いっきり興奮した、ってな記憶がこのたびの再会によってよみがえってきたのだが、これってもしも実現したらやっぱりとんでもないものを目の当たりにすることになるだろう。そんな話、絶対に無理だとわかっているけれど、こちらだってこれほどまでの甘やかな期待をやっぱりそう簡単に捨てるわけにはいかないのだ。

 


TV INFORMATION
連続テレビ小説「ひまわり」
2026年4月20日スタート
毎週月曜日から土曜日 午前7時15分から午前7時30分 NHKBS/BSプレミアム4K 同時放送
毎週日曜日 午前8時から午前9時30分 1週間分6話連続 NHKBS
15分 × 全162回

作:井上由美子
音楽:山下達郎
主題歌:山下達郎 “DREAMING GIRL”
語り:萩本欽一
出演:松嶋菜々子/夏木マリ/藤村志保/佐々木すみ江/三宅裕司/川島なお美/遠藤雅/真田麻垂美/大鶴義丹/上川隆也/浅野ゆう子/沢田亜矢子/寺脇康文/寺泉憲/藤波辰爾/河西健司/大塚良重/藤谷美紀/大沢さやか/鈴木清順/奥田瑛二 ほか  

初回放送
1996年4月1日から1996年10月5日
NHK総合「連続テレビ小説」にて