『Black Messiah』にもホーンの音色を加えたロイ・ハーグローヴがソウルトロニックスの面々を中心に立ち上げたネオ・ソウル/ジャズ・プロジェクトの初作。Dが歌とウーリッツァーで客演したファンカデリック“I'll Stay”のカヴァーは、『Voodoo』直後らしいブルージーネス漂う怪演だ。 *林
一時期ザ・ルーツ・クルーとして活躍していたシンガー/ソングライター。ジミヘン~ファンカデリックに強く影響を受けた彼がDの不在期に〈反逆のソウル〉を謳って出した本作は、『Brown Sugar』風だった前作よりもロック色が濃厚に。ギターを抱えた黒い救世主はここにもいましたよ。 *林
ソロ転向時は〈ポスト・ディアンジェロ〉視もされたが、もともとバックショット・ルフォンクで活躍した彼はダニー・ハサウェイ的な志向を貫いてきたDの先達でもある。業界不信も手伝って大舞台への登場はそう多くないものの、最近はハイリーン・ギルとのコラボでクリス・デイヴとも絡んでいた。 *出嶌
リリシストとして『Black Messiah』を全面サポートしているQ・ティップ。現在はユニヴァーサル・ズールー・ネイションを率いるだけに、その見識がDを触発した部分は予想以上に大きいはず。このアルバムでは隠遁期のDを“Believe”にフィーチャーしてもいた。 *出嶌
黒人音楽のルーツ回帰を唱えつつジャズの革新に励むトランペッターがドラム・マシーンなどを使って電化ファンクを奏でたR&B風ヴォーカル盤。マイルスはもちろん、EW&F、プリンス、ATCQ、J・ディラ、そしてDまで、D的なリスニング体験を作品に反映させたこの人も黒い救世主かも。 *林
ファンクの聖地オハイオ州デイトン出身で、プリンスに取り憑かれた男。スライやイギー・ポップにも傾倒し、ファルセットを用いながらオルタナティヴなソウルを歌ってきた彼の最近作は、激しいビートにノイジーなギターを絡めたパンク・ロック的内容。D新作の前半とダブる瞬間も多い。 *林
地元ミネアポリスでプリンス一派と交流を持ち、人力演奏にこだわり続けるR&Bバンド。その彼らが当時サブ・メンバーだったクリス・デイヴを巻き込んでジミヘン風ロックをやるなどオルタナ感を強めた本作は、Dとヴァンガードにも近い。Dと縁深いアリ・シャヒードもスクラッチで参加。 *林
隠遁状態になければクエストラヴ主導で作られたアル・グリーンの『Lay It Down』(2008年)には間違いなくDの名前があっただろうし、それは本作にも通じる思いではある。D以上にマイルドな歌心を見せるジョンだが、いち早くコンシャスなテーマを打ち出した内容は『Black Messiah』とも地続きのものだろう。 *出嶌