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ここ数年のR&Bに見る90年代サウンドと、ここ数年リイシューされた90年代R&B

JAZMIN SISTERS 90's Baby Familytie/Manhattan/LEXINGTON(2014)

〈4 Sisters, 1 Voice〉というキャッチからして先達を意識したような4姉妹。そのSWVの“Weak”(93年)をサンプリングした“You”の話題を受けて登場したこの初のアルバムでは、他にもスヌープ2パックなどの90年代カリフォルニアを借景したキャッチーな逸曲がズラリと並んでいた。

 

FIFTH HARMONY Reflection Syco/Epic(2015)

時代の変化によって90年代的なヴォーカル・グループが成立しづらいなか、番組の主旨的に多様なグループを生む〈The X Factor〉は重要? 本作ではマライア・キャリー“Always Be My Baby”(95年)を用いた“Like Mariah”を収録。仕掛けたJR・ロテムリック・ロスの新作でもマライア使いを披露したばかり!

 

MARY J. BLIGE Share My World Geffen/ユニバーサル(1997)

アップタウン時代の曲もアリアナらに引用されている女王メアリーJ・ブライジ。昨年リイシューされたこの3作目は〈ヒップホップ・ソウル〉の括りから逃れようとしていた時期の意欲作で、比較的軽視されがちながらも90年代らしさの宝庫。話題のケラーニヴィンス・ステイプルズも使った“I Can Love You”などを収録!

 

AUGUST ALSINA This Thing Called Life Def Jam(2016)

ノーティー・バイ・ネイチャーパフ・ダディらの90年代アンセム引用が耳に残る一作だが、その流れでいうとメロウな“Would You Know?”にそのまま歌い込まれているのはジョデシィの“My Heart Belongs To U”(93年)。当人たちの復活も手伝ってか、若い世代によるジョデシィ使いは今後も増えていきそうだ。

 

JEFF REDD Down Low EMI America/Pヴァイン(1993)

アップタウンの台頭やメアリーJのデビューに貢献し、後にK-Ci&ジョジョを後見もした男性シンガーのジェフ・レッド。これはEMI移籍後に制作されるも出回ることのなかったセカンド・アルバムが、日本でのみリイシューされた秘宝盤だ。ディンキー・ビンガムらによるミッド~スロウが典型的な90年代の味わい。

 

WALE Album About Nothing Maybach Music/Atlantic(2015)

R&B作品ではないけど……R・ケリー“You Remind Me Of Something”(95年)ネタでジェレマイが歌う“The Body”や、グルーヴ・セオリー“Tell Me”(95年)ネタの“The Glass Egg”、他にもニュー・エディションのプレ90sヒット“If It Isn't Love”(88年)使いなど、〈あの頃〉の雰囲気だらけな一作。

 

ERIC BELLINGER Cuffing/Season YFS/300/Manhattan/LEXINGTON(2015)

ミックステープ時代から往年の名曲カヴァーを得意としていたエリック・ベリンジャーだけに、ネタ仕込みは毎回のお楽しみでもある。今作ではT・ボズ本人を招いてTLC“Creep”(94年)を演ったり、モンテル・ジョーダンの“This Is How We Do It”(95年)やマライア・キャリー“Breakdown”(97年)をネタ使用。

 

CHRIS BROWN Royalty RCA/ソニー(2015)

タイガの“For The Road”でもSWVの“Rain”(97年)ネタに乗っていたクリス・ブラウン。この最新作はここ数年の着想源としてきた90年代リサイクルがピークを迎えた感もあり、曲調もさることながら、要所でジョデシィ“My Heart Belongs To U”(93年)やキース・スウェット“Nobody”(96年)などを引用しまくっている。

 

AALIYAH Age Ain't Nothing But A Number Jive(1994)

当然その不在も手伝っているのだろうが、ドレイクジェネイ・アイコらの敬慕によってテン年代のアイコン化しているアリーヤ。ずっと噂されている〈ニュー・アルバム〉の行方も気になるところで、昨年はティンクが“One In A Million”をリメイクしていたり、そろそろ機が熟してきたのかも……。 *轟ひろみ