ソウル~R&B界に多大な影響を残してきたディオンヌのファミリー

 賛否あったドキュメンタリー「Whitney」によって書きづらい括りとなったが……ディオンヌの血縁者としてまず挙がるのは、姉と同じドリンカード・シンガーズを経て63年に世俗デビューした妹のディー・ディー・ワーウィックだろう。よりチャーチな歌唱を前面に出していた彼女は、60~70年代にかけてマーキュリーやアトコにヒットを残している(2008年に逝去)。そんな姉妹の叔母にあたるのがドリンカード家の末娘たるシシー・ヒューストン。スウィート・インスピレーションズを率いて名を馳せた彼女は70年にソロ・デビュー。その娘ホイットニー・ヒューストンはディオンヌの従妹にあたるわけだ。従姉妹ではディオンヌの“Love Will Find A Way”(93年)でコラボしたほか、2007年にはサントラ『Daddy's Little Girls』収録の“Family First”にて、シシー&ホイットニー母娘とディオンヌ(と両家族によるクワイア)の共演も実現した。

 一方、ディオンヌの息子として知られるのは、母の作品を足がかりに表舞台に登場したデヴィッドとデイモンのエリオット兄弟。特に先述の“Family First”を制作したデイモンは、デスティニーズ・チャイルド周辺やピンク、マイア、ボーン・サグズン・ハーモニーらのプロデューサーとして幅広く実績のある人だ。さらには、祖母の近作にたびたび参加してきた孫のシャイエン(デヴィッドの娘)も実力派のシンガーとして活動中で、ファミリーのソウルフルな系譜は受け継がれている。 *出嶌孝次