クラシックとユーロ・ジャズからの影響をもとに国内外で活躍中のジャズ・ピアニスト、西山瞳。ジャズ界に身を置きながら、HR/HMをジャズ・カヴァーするプロジェクト・NHORHMでは現在までに4枚のアルバムをリリースするなど、メタル愛好家としても知られており、〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉は、そんな西山さんに〈メタラーのジャズ・ピアニスト〉の視点からHR/HMのおもしろさを綴っていただく連載です。

今回は12月27日(金)に公開を控える映画「ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!」をピックアップ! 巷で話題のこのヘヴィメタル・バンド映画に太鼓判を押す西山さんに、その推しポイントを教えてもらいました。 *Mikiki編集部

★西山瞳の“鋼鉄のジャズ女”記事一覧


 

みなさん、今年はどんなCDを聴きましたか? どんなライヴで感動しましたか?

私は、今年もたくさん新譜を聴きましたが、中でもブラッド・メルドー『Finding Gabriel』が刺さりました。ライヴも色々行きましたがアーロン・ゴールドバーグ・トリオの京都公演が、記憶に残る刺激的なライヴでした。

私は自宅がシネコン徒歩5分圏内ということもあり、映画も気軽によく行っていますが、この年末公開の映画を一足先に観たのでご紹介します。

その名も、「ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!」。
なんとヘヴィメタル映画、しかも〈北欧メタル〉の映画です。狭い!

「ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!」トレイラー

 

ロックの中でも特にメタル系を題材にした映画といえば、1984年の名作コメディ映画「スパイナル・タップ」が昨年6月に日本で劇場初公開になり、私も新宿武蔵野館で、見知らぬ隣の人と一緒に爆笑して観ました。

「スパイナル・タップ」トレイラー

そして何といっても、昨年11月には「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットしましたね。

今年は3月にNetflixで「ザ・ダート:モトリー・クルー自伝」が公開となり、メタル界隈で話題になりました。こちらは、ドラッグにセックスに、それはもうヒドい内容の映画でしたが、強烈で本当に楽しみました。というかモトリー・クルーがそもそもおもしろいし、音楽も格好良いし、まあおもしろくなりますよね。こんな滅茶苦茶してて、普通死にますよ。身体が強すぎる。

この映画、とにかく面白かった上に、11月には〈ツアー停止契約書を爆破して復活〉(爆破動画付き)という、映画の続きのようなどこまでがフィクションかわからない事態がまだ続いております。復活発表すぐ後にメタル雑誌「BURRN!!」の表紙になっているところまで、もうなんというか……最高です。

爆破動画