1. Fontaines D.C. “A Hero’s Death”
Song Of The Week

天野「〈SOTW〉はフォンテインズD.C.の“A Hero’s Death”! ちなみに、彼らのことは〈2019年洋楽ベスト・ソング20!〉でも〈2020年期待の洋楽アーティスト50!〉でも紹介しているので、〈PSN〉一押しのバンドと言っていいでしょう!」

田中「そうですね。フォンテインズはアイルランド、ダブリン出身の5人組。勢い任せのポスト・パンク・サウンドとフロントに立つグリアン・チャッテン(Grian Chatten)の吐き捨てるようなヴォーカルが魅力的です。フォンテインズD.C.を最初に紹介したのは、2018年11月の“Too Real”でしたね。当時は僕が興奮していて、天野くんはそんなにノっていない印象でしたけど(笑)。いまではすっかりお気に入りのバンドみたいですね」

天野「そうです! 不覚でしたね……。いまは好きすぎて、ロンTとかバッジとか、グッズも買っちゃいましたよ! それはさておき、この“A Hero’s Death”は、高く評価されたデビュー・アルバム『Dogrel』(2019年)以来の新曲。昨年の12月に〈ビーチ・ボーイズから影響を受けた新作をLAで完成させた〉とNMEが報じていて、〈もうセカンド・アルバムが出来たの!? ビーチ・ボーイズ?? LA???〉と、期待と不安を同時に感じていました。ですが、この曲を聴いて安心しました。最高な一曲ですね!」

田中基本的にはロンドンのダン・キャリーのスタジオで録音したらしいですからね。この“A Hero’s Death”は、7月31日(金)にリリースされるニュー・アルバムのタイトル・ソング。音楽性はそんなに変わっていませんが、前作よりリヴァーブやエコーを効かせていて、音の質感や音作りがリッチになった感じがします。シャッフル・ビートと〈パッパッパッ〉というコーラスが古き良きロックンロールっぽくて、かっこいいですね」

天野「僕はやっぱり、グリアンのリリックと彼のたたずまいが好きなんですよね。特に歌詞は複雑かつ含蓄があって、ものすごくかっこいい。詩人の国、アイルランド出身ですからね。バンド・メンバーも詩が好きで、国の文化や伝統をものすごく意識している。ラップとは異なる〈ロックの詞〉が、彼らの曲からはにおい立つんですよ。簡単な言葉を使うと〈文学性〉なんですけど、もっと深くてクールというか……。特に今回は暗い曲のようで、実は前向き。〈人生は空っぽじゃない〉と、グリアンは繰り返し歌っています。〈お前に見合う光の下に座れ/そして、より明るい未来を待望するんだ〉というフレーズなんて、マジでしびれますね! 言葉通りではない、ひねりもちょっと感じますし」

田中「語りますね~。TVシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』のリトル・フィンガーことピーター・ベイリッシュ役で有名なアイルランドの俳優、エイダン・ギレンが出演したミュージック・ビデオもおもしろいので必見!」