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インタビュー

BurnQue『激情』ピストルズの再来か、ただの悩める野郎3人か? 路上発、〈火山〉をやめたロック・バンドが取り戻したあの頃の気持ち

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BurnQue、火山をやめる

――そして、今回ついにファースト・アルバムが全国流通でリリースされました。この経緯は?

宮川「『春』を作った時に、この流れでアルバムを出したかったから知ってる人に音源を送りまくって、ディスクユニオンでSo Sorry,Hoboを担当してる人にも送ってたんです。そしたら〈めっちゃいいね!〉っていう感想が来て、〈ウチから出したらいいじゃん〉って言ってくれたんですね」

『激情』にも収録されている『春』のリード・トラック“春”のMV
 

宮川「で、〈アルバム出したいんですよ! お願いします!〉って言ったら〈え、マジで出したいの?〉みたいな返事が来て(笑)。でも、そこから緊急事態宣言が出ちゃって、予定されてたいろんなリリースも飛んじゃって、しばらく連絡がなかったので、もう話はなかったことになったんだなと思ってたんです。そしたら思い出したように連絡が来て、〈CD、12月リリースでどうですか?〉って言われて」

――でもその時、まだ音はないわけですよね。

宮川「そうです。〈既存の音源(火山盤)をマスタリングし直して出せばいいじゃん〉って言われたんですけど、でも当時ちょうど俺ら、〈火山〉をやめたんですよ(笑)。〈火山をやめたのに、なんで火山盤の音をまた出さなきゃいけないんだよ〉と思って」

――話が飛ぶな(笑)。そもそもBurnQueは、自分たちのことを〈バンドじゃないです、火山です〉って言ってましたよね。ライブは〈噴火〉で。個人的にはあれ、好きだったんですけど、それをやめたんですか。

宮川「〈火山〉をやめたんです」

――で、何になった?

宮川「ロック・バンド(笑)」

川井「コロナの期間中に落ち着いて考えることができたんですよね。(宮川が)急に〈火山って何だよ?〉みたいに言い始めて」

宮川「〈火山は演奏しないだろ。俺、ヒトだし〉ってね(笑)。それは作る曲が変わってきたっていうのもあると思います。今までとは方向をちょっとだけ変えたんです。〈とりあえず驚かしてやる!〉みたいなのをナシにして、劇画ちっくな曲作りをやめて」

――それはなんとなく分かります。

宮川「そういう曲が集まってきて、やってるライブを観返してみたら〈これ火山じゃないなあ〉って」

一同「(笑)」

――今まではギターがコードをガシガシ弾いて、ベースはルート弾き、ドラムスも8とか16の基本的なビートを叩いてて、いわゆる〈これぞロック〉な音が多かったと思うんです。でも今回の収録曲はちょっと変則的な動きをしたり、凝った演奏をしたりしてる気がします。

宮川「本当それ。今までは凝ってなかった(笑)。元気がなくなったっていうのはあると思うし、自分が高校生の時にやりたかったような音楽をちゃんと完成させる、みたいな気持ちを取り戻したんだと思う。昔はそういうのをやりたかったけど、メンバーの技術も伴ってなくて、〈この曲、本当はアークティック・モンキーズなんだけどな〉〈これ本当はブランキー(BLANKEY JET CITY)なんだけどな〉ってやりたくてもできなかったのを取り戻そうとして」

――それは〈火山〉っていうアイデンティティーを捨ててでもやりたかった?

宮川「そのほうがむしろ高校生に届くものになると思って。この数年、あえて避けてきた、自分がやりたかったものに向き合うことにしたんです」

――それは成長なんですか? それとも幼児退行なんですか?

宮川「成長した結果の幼児退行だと思う。バンドが出てきて〈火山でーす!〉って言ったら〈なんだこいつら!?〉って思うじゃないですか。そういうエンターテイメント性を捨てようと思ったんです。だってガキが本当に喜ぶのはそういうことじゃないと思って」

――どっちがガキなんだか分かんなくなってきた(笑)。

宮川「〈笑ってもいいんですよ!〉っていう予防線を張るのをやめたんです。コミック・バンドの人が正気に返ったみたいなことで。ふざけてる場合じゃなくなっちゃったし……って前もふざけてたわけじゃないんですけど、純粋にカッコいいものを見せたいなって」

――なるほど。それはなぜですか?

宮川「第5次ブランキー・ブームが来たっていうのもあるし(笑)、路上をやってるうちにちゃんとカッコいいバンドになってきたなって思えてきたっていうのもある。火山が好きだった人には申し訳ないけど、ウチの奥さんは喜んでました。〈やっとネタに旬があることに気付いたか、3回で飽きたわ〉って(笑)」

――2人はどうでしたか? 火山をやめて、作る曲も変わってきて。

川井「みんな曲を作ってて手応えがあった頃に〈火山やめる〉って言い出したんですよ(笑)。〈休符を弾く〉っていうことがちゃんと分かってきた頃で。だから〈そうだよね〉って思いました。BurnQueって〈熱い〉って言われる曲が多いんですけど、それに違和感があったので、火山って言わなくなったことに納得しました」

出口「そうですね。だいたい同じで、曲作りをする時に聴く音楽が変わったっていうのもあるのかなって思います。ナショナルってバンドを教えてもらって、フレーズで叩くっていうのを意識するようになりました」

川井「ナショナルは今まで新しいのばかり聴いてたんですけど、昔の曲も面白いんだっていうのを教えてもらって」

宮川「昔っていうか『Boxer』のライブ盤(2018年作『Boxer (Live In Brussels)』)ね!」

川井「そうだ! あれをきっかけに、ナショナルって昔の作品は結構生々しかったよねって話になって。あの感覚を自分たちの曲作りの中に入れてみようと」

宮川「好きだったパンク・ニューウェイヴをもう一度掘り直してみたら、炎の色で例えるなら赤じゃなくて青みたいな、ああいうカッコよさを取り入れたくなった。俺も〈熱いっすね~〉とか言われると腹が立って」

――あれだけ火山火山言ってたのに(笑)。とにかく火山をやめて、熱いんじゃなく冷たい炎みたいなものを灯して、だから今まで〈火山盤〉で出した曲を録り直すのも違うってなったわけですね。でも出来たアルバムのタイトルが『激情』って、やっぱり熱いものじゃないですか。

宮川「どうせクールな曲を作っても普通の人からは〈熱い〉って言われるんだから、わざわざ〈俺は熱いですよ!!〉って言わなくてもいいやっていうことですね。でも『激情』っていうタイトルを付けて、上がってきたジャケットが炎とかじゃなかったのが良かったな。『激情』っていうのはつまりパッションのことで、どんな人の日常にもある。ロックンロールってのは日々のサウンドトラックなんだよっていう意味ですね」

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