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膨大なリサイクルなどに見るクール&ザ・ギャングの影響力

 かのJBに比肩するほど膨大なサンプリング/カヴァー例で知られているK&Gだが、JBと違うのはそのリサイクルのパターンがいわゆるブレイクビーツの使用に止まらないことだろう。“Chocolate Buttermilk”や“Hollywood Swingin’”などなどの定番はもちろん、ジュールス・バックリーがヒップホップのルーツにある曲を奏でた『The Breaks』にて“Rated X”が選ばれているようなブレイクスの広がりは言わずもがな、“Too Hot”などメロディアスなポップ・ヒットの大ネタ使用も頻繁だし、クルアンビンが演った“Summer Madness”やWinkが歌った“Joanna”“Cherish”のような純粋な楽曲カヴァーもあって、その使われ方や切り取られ方は非常に多面的なものだ。

 なお、触れる場所がないのでここで書いておくと、弟分バンドとしてギャング・レコーズから送り出したケイジーズの諸作はロナルド・ベルのプロデュース作としても重要。以降もK&Gは地元の後進やファミリーの作品を手掛けていくが、その延長線上にロナルドが助力したフージーズのデビュー作があることも覚えておきたい。 *出嶌孝次

左から、クルアンビン監修のコンピ『Late Night Tales: Khruangbin』(Late Night Tales)、Jディラの2006年作『Donuts』(Stones Throw)、ジュールス・バックリーのニュー・アルバム『The Breaks』(Decca)、ケイジーズの76年作『Keep On Bumpin’ & Masterplan』(Gang/De-Lite)、同77年作『Find A Friend』(共にGang/De-Lite)、フージーズの94年作『Blunted On Reality』(RuffHouse/Columbia)