制作陣を以前のチームに戻してアトランティック時代でも屈指のヒットとなった、70年代を代表する一枚。スティーヴィー・ワンダー作の“Until You Come Back To Me (That’s What I’m Gonna Do)”を収め、“Ain’t Nothing Like The Real Thing”やレオン・ラッセル“A Song For You”の解釈も見事。ダニー・ハサウェイらNYの演奏家と都会的でスタイリッシュな作法を極めた傑作だ。 *出嶌
アリスタ移籍第1弾。旧知のアリフ・マーディンとチャック・ジャクソンが制作を分け合い、TOTOや元キングピンズ一派らが演奏した楽曲は、ドゥービー・ブラザーズで有名な“What A Fool Believes”のカヴァーも含めてAORやアーバン・ソウル的な感触が強い。壮大なバラード“United Together”はアレサ節の真骨頂。縁深いオーティス・レディング“Can’t Turn You Loose”にも挑んでいる。 *林
アリスタ時代屈指の名盤とされるルーサー・ヴァンドロスのプロデュース作第1弾。ダンサブルな表題曲を筆頭に、サム・ディーズ作のスロウ、リーヴァイ・スタッブスとの共演、アイズレー・ブラザーズ名曲のカヴァーなど、ルーサー軍団のマーカス・ミラー(ベース)やナット・アダレイJr(キーボード)、ヨギ・ホートン(ドラムス)らが奏でるしなやかなグルーヴに乗って泳ぐように歌うアレサが素晴らしい。 *林
ナラダ・マイケル・ウォルデンをメイン・プロデューサーに、活動領域をポップ・フィールドに広げたアルバム。大ヒットしたジャンプ・ナンバー“Freeway Of Love”を含み、コロムビア時代に吹き込んだ“Sweet Bitter Love”を自身の制作で再演もした。女性のエンパワーメントを謳ったユーリズミックスとの“Sisters Are Doin' It For Themselves”は80年代版の“Respect”とも言える。 *林
ARETHA FRANKLIN 『One Lord, One Faith, One Baptism』 Arista(1987)
前年にポップ・フィールドで特大の成功を収めた反動なのか、スピリットを調えて足場を見定めるかのように『Amazing Grace』以来の教会実況録音をセルフ・プロデュースで敢行したゴスペル・ライヴ盤。亡き父の教会を舞台に地元の演奏家たちを迎え、姉妹やメイヴィス・ステイプルズらも交えて厳かに放熱する。結果的にはアレサがリアルタイムで出した最後のライヴ盤にもなった。 *出嶌
一時は引退作とも言われたアリスタでの最終オリジナル。トロイ・テイラー、ゴードン・チェンバース、ジャム&ルイスらがオールドスクールな感触をモダンに再現した上質なR&Bを提供し、ロン・ローレンス制作の“Wonderful”はグラミー受賞曲となった。メアリーJ・ブライジがペンを交え、バック・コーラスでも参加したヒップホップ・ソウルも登場。還暦を迎えてもアレサは凄かった。 *林
80~00年代のコラボ録音のみを集めた編集盤で、アリスタ時代にフィールドを跨いで広がった華やかな交友録が一望できる便利な一枚。ジョージ・マイケルやホイットニー・ヒューストン、エルトン・ジョン、キース・リチャーズ、シナトラまで、オリジナル・アルバム未収録の曲も多めに楽しめる。ジョン・レジェンドとファンテイジアをそれぞれ迎えたエクスクルーシヴなデュエットも聴きもの。 *出嶌
ARETHA FRANKLIN 『Aretha Franklin Sings The Great Diva Classics』 RCA/ソニー(2014)
ラスト・アルバムはディーヴァたちの名曲を歌った企画盤。エタ・ジェイムスからアリシア・キーズまで新旧の人気曲が並び、アデル“Rolling In The Deep”は凄みを効かせた声で我が曲のように披露。チャカ・カーン“I’m Every Woman”に“Respect”を繋いだ女性讃歌メドレーもアレサらしい。ジャズ調でスキャットを交えて歌うプリンス作“Nothing Compares 2 U”も独創的だ。 林