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Romero “Turn It On!”

田中「Mikikiに初登場のニューカマー、ロメロは、豪メルボルンの5人組パワーポップバンドです。昨年、NMEが期待のアーティストのリストにピックアップするなど、早耳リスナーから注目を集めていた彼女たち。ついに、4月8日(金)にデビューアルバム『Turn It On!』を、クール・デス(Cool Death)とフィール・イット(Feel It)のダブルネームでリリースすることを発表しました。この“Turn It On!”は、アルバムのタイトルトラックですね」

天野「70年代のロックにしか聴こえない(笑)! ゴー・ゴーズみたい……。米フィラデルフィアのシアー・マグなんかもそうですが、ここまで振り切れていると痛快ですよね。フロントウーマンのアラナ・オリヴァー(Alanna Oliver)は、“Turn It On!”のインスピレーションを得たのはブロンディのデビー・ハリーについてのドキュメンタリーを観ていたときだったと明かしていますが、思わず〈そのまんまじゃん!〉と言ってしまいました。メロディーも〈♪フッフー〉というコーラスもギターリフとギターソロもあまりにもノスタルジックで、ぐっときますね。それでいて、突き抜けたポップさが力強い。ロメロのアルバムが楽しみになりました」

 

Doss “Jumpin’”


田中「4曲目はドースの“Jumpin’”。ドースは昨年4月に7年ぶりのEP『Puppy』をリリースしたのですが、同作からのシングル“Look”を以前〈PSN〉で紹介しました。改めて確認すると、米NYのプロデューサーで、フックのあるボーカルフレーズを使ったダンスミュージックが人気を博しています。ハイパーポップ的な過剰さとキャッチーさがありつつも、彼女の曲はハイパーポップよりもテクノやハウスなどの流儀に忠実なプロダクションだな、という印象です」

天野「今回の“Jumpin’”は、アッパーなボーカルとパワフルなボーカル、ちょっと汚れたハイハットの音などが、80年代末~90年代初頭のハウスをほうふつとさせますね。ヘヴィーなベースもすごい。ちなみに、彼女はこの曲について、『解放されること、道に迷うこと、そして揺れる光と振動する床がスローモーションのモンタージュのように重なる順序バラバラの記憶について』と言っています」

田中「酩酊してハイになって踊りまくったときの散り散りになった記憶が頭のなかでフラッシュバックしている、ということでしょうね。〈わかる!〉とうなずきました(笑)」

 

Stars “Pretenders”

天野ジャック・ハーロウの“Nail Tech”ヴィンス・ステイプルズがマスタードをフィーチャーした“MAGIC”など、この一週間はラップの話題曲も多かったのですが、今週の〈PSN〉のセレクトはロックが多くなったので、ついでのスターズの新曲“Pretenders”も紹介しましょう」

田中「カナダ・モントリオールのインディーポップバンド、スターズは、2000年代のインディーロックを聴いてきたリスナーにはお馴染みでしょうか? 20年以上活動しているので、もうベテランですよね。そんな彼らが、5年ぶりの新作『From Capelton Hill』を5月27日(金)にリリースするとアナウンス。アルバムから、この“Pretenders”と“Snowy Owl”がシングルカットされました」

天野「エイミー・ミラン(Amy Millan)が歌うメロディー、キラキラしたギターとシンセサイザー、うねるベースと16ビートのハイハットが疾走感を生むドラム……。“Pretenders”には、イントロからハートを打たれました。メンバーの年齢は50代目前ですが、ティーンエイジ・ファンクラブベル・アンド・セバスチャンに似たエバーグリーンな感覚が最高です。亮太さんが好きなブルース・スプリングスティーンからの影響を感じませんか? 〈私たちは永遠の若さに賭けた〉と歌い上げる歌詞も、ぐっときます」