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TKが送り出した多種多様な作品から今回リイシューされた逸品たち

LATIMORE 『Latimore』 Glades/Solid(1973)

“Let’s Straighten It Out”(74年)のヒットで知られる名シンガーの初作。彼をTKに導いたスティーヴ・アレイモの制作で、冒頭からアル・クーパー本人を招いて取り上げた“Jolie”が麗しい。他にはグラディス・ナイト&ザ・ピップス“If I Were Your Woman”の性別入れ替えカヴァー、エルトン・ジョンやスティーヴン・スティルスらの名曲を味わい深い歌声で聴かせてくれる。ブルージーな“Stormy Monday”もいい感じだ。 *出嶌

 

GEORGE McCRAE, GWEN McCRAE 『Together』 Cat/Solid(1975)

当時婚姻関係にあったマックレー夫妻が、双方のソロ・ブレイクを機に再度デュオとして吹き込んだ唯一のアルバム。クラレンス・リードとスティーヴ・アレイモの制作で、各々のヒットにちなんだ〈ロッキン〉な曲や直球なダンス讃歌も含め、ファンキーで軽快なサウンドをバックにディープな歌唱をぶつけ合う。R&Bチャート44位を記録したモダンなダンサー“Winners Together Or Losers Apart”はTK流メロウネスの極致。 *林

 

LATIMORE 『It Ain’t Where You Been... It’s Where You’re Goin’』 Glades/Solid(1976)

ヒットの追い風を受けて作られた4作目。哀切漂うブルース・フィーリングを基調としつつ、今作ではクラヴィネットなどに加え、自身が弾くエレピのメロウな音を強調し、官能的なミディアム・スロウ“Sweet Vibrations”などを披露する。ブルージーでありながらメロウな“Somethin’ ’Bout ’Cha”も本作を代表する一曲だ。ジョージ・マックレーやKC&ザ・サンシャイン・バンド版でお馴染みの“I Get Lifted”もラティモア節でカヴァー。 *林

 

THE BLUE NOTES 『The Truth Has Come To Light』 Glades/Solid(1977)

ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツから派生した分家の4人組が、TK傘下のグレイズから発表した唯一のアルバム。プロデュースはジョージ“チョコレート”ペリーで、フィリー・ソウルの雰囲気を少しだけ漂わせたマイク・ルイスのアレンジによる管弦をバックに、ディスコ風の快活なダンス・ナンバーや美しいスロウ・バラードを披露する。フィリー・ダンサーのマイアミ・ソウル解釈とでも言うべき“We Can Make It”が上出来だ。 *林

 

GLOSTER WILLIAMS, THE KING JAMES VERSION 『Together』 Gospel Roots/Solid(1977)

DEV LARGEに愛されたABCピーコック発の初作『First Time We Met』(74年)の再発見で知られるようになった、ゴスペル・ソウル・グループのセカンド・アルバム。実力派の女性シンガーたちが揃い、切れ味鋭いファンキーなアップ“Get Ready For This”で幕開け。以降はホーリーなミディアムが続き、(当時の)コンテンポラリーな世俗音楽と時差のないメロウ・グルーヴが存分に楽しめる。CD化は快挙! *出嶌

 

OBATALA 『Obatala』 Gospel Roots/Solid(1977)

ドラマーのマイク・ミカーラ率いる男女混成バンドがNYのエレクトリック・レディ・スタジオなどで録音した唯一のアルバム。サンテリアの神にちなんだ名前ほどスピリチュアルな雰囲気はなく、ジャズの名曲をディスコ風にアレンジした“April”を筆頭に、女声リードによるバラードやファンキーなダンス・チューンを披露していく。AOR風の爽快でメロウなミッド・ダンサー“Shades Of September”の収録で人気を集める隠れ名作だ。 *林