近年のバッド・ラビッツにソウルフルかつファットな近似性が感じられたぐらいで、バンド・サウンドでヒップホップ以降の肉弾グルーヴを鳴らすという意味での正調フォロワーは多くなく、そんな状況だからして、具体的なFFサウンドの伝承はFF自身の楽曲よりも、彼らのプロデュース・ワークによってなされていることが多い。
特にUTFOの“Roxanne Roxanne”やリアル・ロクサーヌ“Bang Zoom(Let's Go-Go)”などのクラシックは、聴けば誰でも〈おや?〉と思うほどラップのド定番フレーズやブレイクを輩出。また、JBの作中でJBネタをビートボックスで調理した“Godfather Runnin' The Joint”なども初期のプロディジーから近年のケイティBに至るまで再利用されまくっている音ネタの宝庫だ。
一方で歌メロの引用が多いのはリサ・リサ&カルト・ジャムの初期曲で、アルーア&112のカヴァーやジル・スコットのリメイクが著名な“All Cried Out”以上に、ズバ抜けて人気なのは“I Wonder if I Take You Home”だ。マライアやカイリー、ミーク・ミルや9thワンダーに至るまでが同曲からさまざまなフレーズを抜いているが、もっとも有名なのはブラック・アイド・ピーズ“Don't Phunk With My Heart”か。ちなみに、FFはワイルド・オーキッド時代のファーギーをプロデュースした経歴もあって……つくづくビッチに縁のあるFFである(違う)。
▼関連作品
左から、バッド・ラビッツの2013年作『American Love』(Bad Rabbits/Pヴァイン)、プロディジーの92年作『Experience』(XL)、ケイティBの2011年作『On A Mission』(Rinse)、ジル・スコットの2011年作『The Light Of The Sun』(Warner Bros.)、マライア・キャリーの2005年作『The Emancipation Of Mimi』(Island)、ブラック・アイド・ピーズの2005年作『Monkey Business』(Will.I.Am/A&M)、ワイルド・オーキッドの98年作『Oxygen』(RCA)
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