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今改めてボン・ジョヴィのこの大ヒットアルバムたちを聴くと、よくできているなあと思います。ことごとく歩けるテンポ、愚直なまでの8ビート、サビに大合唱という、ロックに興味がなくても人間のフィジカルに本能的に働きかけるボン・ジョヴィ的クリシェとでも言いましょうか、最初の『夜明けのランナウェイ』からそれがあるので、これこそがボン・ジョヴィのやりたいビジョンだったのだと思います。

84年作『Bon Jovi』収録曲“Runaway”

これらは体に直接作用するので、自然と歩くリズムで体を動かしてしまう。誰にでも開かれている強い音楽だなと、改めて思います。

 

また、〈メタルを聴き始めると、ボン・ジョヴィは少し軟派なものと思って、聴かなくなる〉というのも、我々世代の通る道ではと思います。私もそうで、イングヴェイ・マルムスティーンにハマって以降はほとんど聴かなくなってしまいましたが、しばらくボン・ジョヴィを忘れた時に聴いたのが、『This House Is Not For Sale』(2016年)。そして『2020』(2020年)です。

BON JOVI 『This House Is Not For Sale』 Island/ユニバーサル(2016)

BON JOVI 『2020』 Island/ユニバーサル(2020)

近作は非常に自覚的に社会問題に向き合い、ロックの力で発信しようとしていて、そんなボン・ジョヴィの2000年代以降を知らなかった私は、〈え、めっちゃかっこいいやん〉と思いました。

2020年作『2020』収録曲“Limitless”

近作は、良い意味で老いとともにある音楽で、HR/HMだとよく〈声が出なくなった〉や〈衰えた〉など言われることがありますが、ずっと同じだったら、普通おかしいですよ

私がジャズをやっているからというのもありますが、年齢とともに身体と向き合い、深めた思慮との折り合いをつけ、音楽に昇華するのは、年齢を重ねながら音楽をすることの勲章みたいなものだと思っています。ジャズの先輩方には90代の方まで普通にいらっしゃいますが、もうめちゃくちゃ格好良いもの。

ボン・ジョヴィは、良い年齢の重ね方をしていてとても素敵で格好良いなと思います。

 

今回はメタルから少し外れましたが、ボン・ジョヴィ再考の良い機会が盆ジョヴィでした!

 


LIVE INFORMATION
2023年9月1日(金)埼玉・蕨 Our Delight
開場/開演:19:00/19:30 ※2セット、入替なし
出演:西山瞳(ピアノ)/橋爪亮督(テナーサックス)
一般/29歳以下の本業学生/29歳以下の社会人:3,600円/1,100円/2,600円(いずれもドリンク代別)
有料配信あり

2023年9月2日(土)神奈川・横浜 上町63
開演:15:00(1st)/16:30(2nd)
出演:西山瞳(ピアノ)/座小田諒一(ベース)/池長一美(ドラムス)
チャージ/学生:3,300円(ドリンク代別)/2,750円(1ドリンク付/要学生証提示)

2023年9月3日(日)小岩 COCHI
開演:20:00 ※2セット
出演:西山瞳(ピアノ)/馬場孝喜(ギター)
チャージ:2,800円

2023年9月15日(金)京都 Bonds Rosary
開場/開演:18:30/19:30
出演:西山瞳 HIRAKATA TRIO 西山瞳(ピアノ)/鈴木孝紀(クラリネット)/光岡尚紀(ベース)
前売り/当日:3,000円/3,500円(いずれも+2オーダー)

2023年9月16日(土)東京・用賀 工房花屋
開場/開演:
出演:The Tree Of Life 安ヵ川大樹(ベース)/西山瞳(ピアノ)/maiko(バイオリン)
チャージ:4,000円(別途オーダー)

★詳細やその他のライブについては西山瞳のオフィシャルサイトへ

 

RELEASE INFORMATION

西山瞳 『ホームタウン』 MEANTONE(2022)

リリース日 :2022年11月9日(水)
品番:MT-11
価格:2,750円(税込)
紙ジャケット仕様

TRACKLIST
1. Fairy Tale フェアリー・テイル(作曲:西山瞳)
2. Take the “K” Train テイク・ザ・ケー・トレイン(作曲:西山瞳)
3. Yawn ヨーン(作曲:西山瞳)
4. Walking in the Park ウォーキング・イン・ザ・パーク(作曲:西山瞳)
5. 200km 200キロメートル(作曲:西山瞳)
6. HIRAKATA Park West ヒラカタ・パーク・ウェスト(作曲:西山瞳)
7. Our Memorial Attractions アワ・メモリアル・アトラクションズ(作曲:西山瞳)
8. Romance ロマンス(作曲:西山瞳)

録音日:2022年4月18日、奈良 NMG Studio
録音/ミックス/マスタリング:三輪卓也(NMG Studio)
アートディレクション/平岡直樹(yuu)

西山瞳(ピアノ)
鈴木孝紀(クラリネット)
光岡尚紀(ベース)

 


PROFILE: 西山瞳
79年11月17日生まれ。6歳よりクラシックピアノを学び、18歳でジャズに転向。大阪音楽大学短期大学部音楽科音楽専攻ピアノコース・ジャズクラス在学中より、演奏活動を開始する。卒業後、エンリコ・ピエラヌンツィに傾倒。2004年、自主制作アルバム『I’m Missing You』を発表。ヨーロッパジャズファンを中心に話題を呼び、5か月後には全国発売となる。2005年、〈横濱JAZZ PROMENADE ジャズ・コンペティション〉において、自身のトリオでグランプリを受賞。2006年、スウェーデンにて現地ミュージシャンとのトリオでレコーディング、『Cubium』をSpice Of Life(アミューズ)よりリリースし、デビューする。2007年には、日本人リーダーとして初めて〈ストックホルム・ジャズ・フェスティバル〉に招聘され、そのパフォーマンスが翌日現地メディアに取り上げられるなど大好評を得る。以降2枚のスウェーデン録音作品をリリース。2008年に自己のバンドで録音したアルバム『Parallax』では、スイングジャーナル誌日本ジャズ賞にノミネートされる。2010年、〈インターナショナル・ソングライティング・コンペティション〉(アメリカ)で、全世界約15,000のエントリーのなかから自作曲“Unfolding Universe”がジャズ部門で3位を受賞。コンポーザーとして世界的な評価を得た。2011年発表『Music In You』では、タワーレコードのジャズ総合チャートで1位、HMVの総合2位にランクイン。CDジャーナル誌2011年のベストディスクに選出されるなど、芸術作品として重厚な力作であると高い評価を得る。2014年には自身のレギュラートリオ、西山瞳トリオ・パララックス名義での2作目『Shift』を発表。好評を受け、アナログでもリリースする。2015年には、ヘヴィメタルの名曲をカバーしたアルバム『New Heritage Of Real Heavy Metal』をリリース。マーティ・フリードマン(ギター)、キコ・ルーレイロ(ギター)、ヤング・ギター誌などから絶賛コメントを得て、発売前よりメタル・ジャズの両面から話題になり、すべての主要CDショップでランキング1位を獲得。ジャンルを超えたベストセラーとなっている。同作は『II』(2016年)、『III』(2019年)と3部作としてシリーズ化。2019年4月には『extra edition』(2019年)もリリース。自身のプロジェクトの他に、東かおる(ボーカル)とのボーカルプロジェクト、安ヵ川大樹(ベース)とのユニット、ビッグバンドへの作品提供など、幅広く活動。〈横濱JAZZ PROMENADE〉をはじめ、全国のジャズフェスティバルやイベント、ライブハウスなどで演奏。オリジナル曲は、高い作曲能力による緻密な構成とポップさが共存した、ジャンルを超えた独自の音楽を形成し、幅広い音楽ファンから支持されている。