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自分自身をより信頼している

 そんなマイルスやベーシストのアレクサンダー・ボンファンティ、鍵盤奏者のカディーム・クラーク(シムズの初期作でも演奏していた)ら制作チームとの共同作業は、スタジオに入ってすぐにシムズが自身の不安や自信喪失について率直に告白するところから始まったという。そして〈もし自分の道を踏み外している私を見たときは、どうかそこから私を引き上げてほしい〉というお願いまでしていたそうだ。

 「彼らはそうしてくれた。いままででいちばん力を貰った。私のパワーを取り戻してくれたの。私にリードさせてくれる人々に囲まれていた。特に、自分の能力に不安を感じていた時期にね」。

 新しいチームに囲まれて変化していった彼女のコンディションは、楽曲ごとに如実に反映されてアルバムに起伏を作り出している。冒頭の“Thief”にはアタックの強い攻撃性が表れ、オボンジェイヤーとムーンチャイルド・サネリーを迎えた不吉な“Flood”では〈天国へ行けるよう祈りなさい/彼らはあなたを地獄へ引きずり込もうとしている〉と厳しい眼差しを向けるが、その雰囲気はアルバムを聴き進めるにつれてサウンド的にも視界が開けていくのだ。ボサノヴァ風味の“Only”にはリディア・キットをフィーチャー。それに限らずゲストの活躍が目立つのも『Lotus』の特徴で、“Peace”にはミラ・メイとモーゼス・サムニーが招かれ、オボンジェイヤーが再登場する“Lion”にはサックスと歌でヴェンナも参加。“Enough”にはユキミ(・ナガノ)とドラマーのモーガン・シンプソン(元ブラック・ミディ)、“Blood”ではレッチ32とキャッシュがマイクを回し、表題曲“Lotus”ではマイケル・キワヌーカとユセフ・デイズが名を連ねる。制作前に抱えていた不安を吐露するラストの“Lonely”と“Blue”を彩るのはサンファの歌声だ。

 「彼らの声や音楽はどれも個性的で唯一無二。このプロセスでは私が多くを背負わなければならないと感じることはなかった。他の人たちが自分たちのマジックを披露して、担う余地がたくさんあった。私一人ですべてをやる必要はなかった」。

 そんなフィーリングに則って、今回の彼女はリリックをすべて記憶し、ブースでライヴ・パフォーマンスするようにレコーディングするというやり方に挑んだという。そうやってより気負いなく、より感情的に取り組んだ『Lotus』は、今後のシムズにとっても重要な作品となるだろう。

 「このプロジェクトを作ることで、私がアーティストとしてどう変わったか? 実を言うと、力が湧いてきている。自分自身をより信頼しているし、自分の直感や自分の耳を信頼しているし、それはとてもいい気分だわ」。

リトル・シムズが参加した近作を紹介。
左から、コールドプレイの2024年作『Moon Music』(Parlophone)、RMの2024年作『Right Place, Wrong Person』(Bighit)

リトル・シムズのアルバム。
左から、2015年作『A Curious Tale Of Trials + Persons』、2016年作『Stillness In Wonderland』、2019年作『GREY Area』、2021年作『Sometimes I Might Be Introvert』(すべてAge 101/AWAL)、2022年作『No Thank You』(Forever Living Originals/AWAL)