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「トレインスポッティング」と“Born Slippy”が映す1996年の英国
さて、この記事の最後は、1996年の英国の文化を総括する映画「トレインスポッティング」の話でまとめよう。ダニー・ボイル監督、ユアン・マクレガー主演、スコットランドの首都エディンバラを舞台にしたこの映画には、90年代半ばの英国の空気そのものが描かれている。サウンドトラックの顔ぶれや選曲、オレンジ色を基調にしたポスターなどのビジュアルデザインを含め、この映画にまつわる全てが文化的事件だった。
そして、この映画の終盤のキーとなるシーンで流れるのがアンダーワールドの“Born Slippy .NUXX”だ。くぐもった音響の中で鳴るイントロのきらめきや陶酔的な反復、そして切迫したボーカルは、1995年の英国の音楽シーンの陽気で底抜けの明るさとははっきりと異なる。アルコールやドラッグの高揚感とその反動、無謀な疾走、友情、孤独、自己嫌悪、袋小路……そして裏切り。容赦なくそれらを描き切った「トレインスポッティング」の中で鳴っていた音楽を揃えたこのアルバムのサントラもまた、1996年にどんな音楽がリアルに音楽ファンに響いていたかを知る大きなヒントになるだろう。

