THE GAP BAND The Gap Band Mercury(1979)

ロニー・シモンズと組んでの再出発作となったマーキュリー移籍第1弾。ナッティン・ナイスらに引用された“Shake”などのクール&ザ・ギャング的なファンクも最高だが、チャーリーの深々とした声はメアリーJ・ブライジがカヴァーした“I'm In Love”のようなスロウでひときわ輝く。トム・トム84編のホーンも優美だ。 *林

 

 

THE GAP BAND The Gap Band II Mercury(1979)

多様なタイプのディスコ~ファンクで攻勢をかけ、初ゴールドを獲得した通算4作目。EW&Fを模した“Party Lights”やミラクルズ風の“Steppin'(Out)”以上に、筋肉質な“I Don't Believe You Want To Get Up And Dance(Oops!)”の成功こそがバンドの個性を世に認識させることとなった。チャーリーは全曲を共作。 *出嶌

 

 

THE GAP BAND The Gap Band III Mercury(1980)

エンジンをふかすSEで始まる暴走ヘヴィー・ファンク“Burn Rubber(Why You Wanna Hurt Me)”が初のR&Bチャート1位に輝いたヒット作。チャーリーの歌声も存在感を増し、メロウ・グルーヴの“Yearning For Your Love”は、ガイにカヴァーされ、ナズの曲に引用されるなどして黒人コミュニティーのアンセムとなった。 *林

 

 

GAP BAND Gap Band IV Total Experience(1982)

鶏の鳴き声で始まる“Early In The Morning”を筆頭にシングルがすべて大当たりしたピークの一作だが、中身は昼下がり系AORからドゥービー風、Pファンクへの憧れまで多彩。気怠いめまいに襲われるレイモンド・カルホーン作の傑出したスムース・クラシック“Outstanding”はボートラ収録の12インチ版で聴かれたし。 *出嶌

 

 

GAP BAND Gap Band V -Jammin’ Total Experience(1983)

汽笛音の鳴り響く“Party Train”のような従来通りのヘヴィー・ファンクもありながらポップ感を強めた意欲作。AORムード漂うラヴ・バラード“You're My Everything”をはじめ、切なげなアップ“Someday”にハーモニカ&バック・ヴォーカルで参加したスティーヴィー・ワンダーからの影響が全編に色濃く滲む。 *林

 

 

GAP BAND Gap Band VI Total Experience(1984)

ミッド80sらしいデジタル・ビートのブギー・ファンクが中心となる快作。R&Bチャート2位を記録した“Beep A Freak”はラップをフィーチャーしたソリッドなミネアポリス風ファンクだ。“I Found My Baby”は明らかに“Outstanding”狙い。インタールードにおけるエスニック趣味はチャーリーの2009年作で蘇る。 *林

 

 

GAP BAND Gap Band VII Total Experience(1985)

ここからチャーリーがプロデューサーに名を連ねるも、バンドでは最後のTOP10入り作に。フレンズ・オブ・ディスティンクションのカヴァー“Going In Circles”など紳士的なスロウの意匠が光る一方、自作のファンクではP様式のロウな導入ぶりも目立ち、特に“L'il Red Funkin' Hood”はガイのプロトタイプのよう。 *出嶌

 

 

THE GAP BAND Gap Band 8 Total Experience(1986)

ロニー・シモンズとのコラボも8回目。重厚かつソリッドな打ち込みファンクもあるが、“I'll Always Love You”など後のチャーリーのソロを思わせるメロディアスなバラードを挿みながら展開していく本作はマーキュリー移籍直後のムードが漂う。レーベル仲間だったプライム・タイムの“I Owe It To Myself”もカヴァー。 *林

 

 

CHARLIE WILSON Bridging The Gap Major Hits(2000)

前年の〈United We Funk〉参加やバンドでの『Y2K』発表などファンク再評価の流れを追い風に、マーロン・マクレイン仕切りで発表した2枚目のソロ作。レッドゾーン主導でアンジー・ストーンマーク・ネルソンも時流に則ったミッド中心の濃密世界を仕立てている。エンジニアのワーリー・モリスとも邂逅。 *出嶌

 

 

CHARLIE WILSON Charlie, Last Name Wilson Jive(2005)

ジャイヴ移籍第1弾にしてR・ケリーが総指揮を執ったソロ3作目。スヌープ・ドッグトゥイスタジャスティン・ティンバーレイクウィル・アイ・アムをゲストに招き、憧れのチャーリーをシーンのド真ん中に降臨させた祝賀的な一枚だ。エール交換とも言えるガイ“Let's Chill”のカヴァーも話題。 *林

 

 

CHARLIE WILSON Uncle Charlie Jive(2009)

アンダードッグズら多数の〈甥っ子〉を従えて『Gap Band VI』以来25年ぶりにR&Bチャート首位を記録した、第2黄金時代の本格スタート。ニーヨ以降のマイルド美メロ曲やT・ペインとのコラボなどにも余裕で応じつつ、ベイビーフェイスもペンを交えたロマンティックなバラード“There Goes My Baby”が新たな定番に。 *出嶌

 

 

CHARLIE WILSON Just Charlie RCA(2011)

ワーリー・モリスがメインで制作を手掛けたメジャー復帰後の3作目(ソロ通算5作目)。即クラシックとなったスケールの大きいバラード“You Are”など、伸びやかな熱唱が絶好調を伝える。ファンテイジアと歌ったロジャー曲のカヴァー“I Wanna Be Your Man”は、かつて共演したこともある故人へのトリビュートだろう。 *林

 

 

CHARLIE WILSON Love, Charlie RCA(2013)

ワーリー・モリスとパガーニの二本柱にインソムニアックスも加え、チャートを制した大ヒット作。MOR気分に乗せて熱唱をフル解放する冒頭曲からキース・スウェットを呼び寄せた結びの“Whisper”までほぼ全編がスロウという作りに自信が滲む。チャーリー・シングルトンとの鋭角的なファンク“My Baby”もあり。 *出嶌