サン=サーンス最晩年の傑作、クラリネット・ソナタを1870年製の時代楽器で演奏、しかもピアノはインマゼールの弾く1930年製ベヒシュタイン……。これだけでこのアルバムの魅力は十分伝わるのでないだろうか。時代楽器の音はモダン楽器と比べると軽い、そういうイメージがあるかもしれないが、CDを実際に聴いてみると非常に存在感のある音がしていて、むしろ重たい印象を受ける。遅めのテンポでじっくり吹いているせいもあるだろう。これがミヨーの《スカラムーシュ》では面白い効果となって表れる。クラリネットの発明者デンナーに捧げられたブロック《デンネリアーナ》の発見も嬉しい。

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