年末年始に聴き込みたいリイシュー

VARIOUS ARTISTS Love & Affection: More Motown Girls Ace(2015)

 年が暮れても明けてもリイシューの宝船は山盛りです。今回はまず、安心の英エース編纂によるモータウン発掘シリーズから『Love & Affection: More Motown Girlsを推薦。女性アクトのレア音源をまとめたコンピの第2弾で、今回は未発表曲orヴァージョンのみの全25曲という凄まじさ(5曲は配信の『Motown Unreleased 1964』で既出)。リタ・ライト(後のシリータ)の“Give Back The Good Things”など名曲を惜しげもなくボツにしてきた黄金期モータウンの異常さを改めて実感させられますよ。

 

THE EDGE OF DAYBREAK Eyes of Love Bohannon's/Numero(1979)

 一方、レアリティーの点で他の追随を許さないヌメロからは、ヴァージニアの刑務所内で服役囚によって結成されたエッジ・オブ・デイブレイクの激レアな79年作『Eyes Of Love』が奇跡のCD化です。いわゆる囚人ソウルといえばエスコーツが有名ですが、スウィートネスの面でも負けず劣らずのヤバさで、真摯なハーモニーは絶品! 凝ったパッケージもいい感じです。

 

FRANTIQUE Frantique Philadelphia International/BBR(1979)

 初CD化モノだと、同じ79年にフランティークPIRから出した『Frantique』も聴き逃し厳禁でしょう。グロリア・ゲイナーらを手掛けた面々によるスタジオ・プロジェクトで、ディスコ爛熟期らしいアレンジの洗練と欧州ウケしそうな歌謡性♂がポイント。DJスニークのリサイクルでも知られる全英ヒット“Strut Your Funky Stuff”をはじめ、このへんの機能性は2016年も有効でしょう。

 

AURRA Body Rock Family Groove(2015)

 で、それ以上にナウな気分で楽しめそうなのが、オーラの『Body Rock』。2013年の『Satisfaction』と同じく83~84年の未発表曲を本人たち主導でまとめた逸品で、スレイヴ周辺の再評価が進む時節に相応しい、洒落たブギー・ファンクが堪能できます。“Somebody”のリミックスを担当したデイム・ファンクはライナーノーツも執筆していて……どんだけ好きなんだ!

 

KASHIF Who Loves You? Expansion(1998)

 最後は、名匠カシーフの98年作『Who Loves You?』の新装リイシューを。トニーズDJクイックにも通じる安定の西海岸フィーリングが爽快に広がります。これは最高!

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