1986年にバーンスタイン自身とも共演した映像が残されているツィメルマンが、生誕100年を機に演奏を熱望されたというストーリー性を抜きにしても、このラトル&BPOとのアルバムは、自作自演盤と並んでこの曲の代表盤として歴史に刻まれるのは確実だろう。ある意味、この盤は「不安の時代」の象徴的なスタイルのひとつとして、作風的にも語法的にも、むしろ現代にこそ必要な音楽であることに気付かされるほどの核心を突く演奏。尚、この録音はラトル&BPOの最後の定期公演をライヴ収録したもので、後半はマーラーの悲劇的というのも興味深い。