1. DIANA ROSS & TAME IMPALA Turn Up The Sunshine
幕開けを晴れやかに飾るのは女帝ダイアナ・ロスによる70年代ディスコ風のオリジナル曲。ジャック・アントノフも助力した昨年の『Thank You』(Decca)に通じるゴージャスな存在感は流石で、テイム・インパラの『The Slow Rush』(Island)も記憶に新しいケヴィン・パーカーがエスコート役を担ったほか、ダイアナのお孫さんが登場するのもポイント。
2. BRITTANY HOWARD Shining Star
アラバマ・シェイクスを経て初ソロ作『Jaime』(ATO)も高評価で、コモンとのコラボなども行っているブリタニーは、75年の『That’s The Way Of The World』(Columbia)に収められたアース・ウィンド&ファイアの象徴的No.1ヒットをパワフルにカヴァー。本家のヴァーディン・ホワイトもベースで参加している。
3. St. VINCENT Funkytown
アントノフとガッチリ組んだ昨年の『Daddy’s Home』(Loma Vista)でもまさに60~70年代リヴァイヴァルに挑んでいた聖ヴィンセント。これは79年作『Mouth To Mouth』(Casablanca)から世界中でNo.1に輝いたリップス・インクの代表曲で、原曲のテクノ・ポップな未来感を再現している。
4. BROCKHAMPTON Hollywood Swinging
昨年『ROADRUNNER: NEW LIGHT, NEW MACHINE』(RCA)をリリースするも今年初頭に無期限活動休止を発表、その後の〈コーチェラ〉出演も話題になったブロックハンプトン。数々のリサイクルでも知られるクール&ザ・ギャングのヒット・チューンですこぶるファンキーに盛り上げてくれる。
5. KALI UCHIS Desafinado
アントニオ・カルロス・ジョビンのボサノヴァ・スタンダードに挑んだのは、ラテン・ルーツに根ざした意欲作『Sin Miedo (Del Amor Y Otros Demonios) ∞』(EMI)で表現の幅を広げたカリ・ウチス。優美な歌声とテンポ感が心地良い。
6. CAROLINE POLACHEK Bang Bang
チェアリフトでの活動を経て19年にソロ作『Pang』(Perpetual Novice)をリリースしたNYのシンガー・ソングライターは、初期シェールを代表する66年のヒットを披露。ナンシー・シナトラらのカヴァーによってスタンダード化した名曲ながらも妖しい個性を見せつけている。
7. THUNDERCAT Fly Like An Eagle
20年作『It Is What It Is』(Brainfeeder)発表後に延期していた来日公演の実現も記憶に新しいサンダーキャットは、76年作『Fly Like An Eagle』(Capitol)から生まれたスティーヴ・ミラー・バンドの名曲を披露。ベースと鍵盤を自身で演奏してアーシーかつサイケに聴かせる。かつてのシール版との聴き比べもおもしろい。
8. PHOEBE BRIDGERS Goodbye To Love
カーペンターズの72年作『A Song For You』(A&M)に収録された名曲を歌うのはカリフォルニアのシンガー・ソングライター、フィービー・ブリジャーズ。20年の『Punisher』(Dead Oceans)以降はさらに大物感を増しているだけに、翳りのあるエモい解釈が素晴らしい。
9. BLEACHERS Instant Karma!
本作収録のほぼ全曲をプロデュースするジャック・アントノフ自身のプロジェクト=ブリーチャーズはジョン・レノンのカヴァーで登場。昨年の力作『Take The Sadness Out Of Saturday Night』(RCA)にも通じるシンプルなテイストで、原曲の昂揚感をアコースティックに再現している。